オンボロ打線で崩壊寸前の「勝利の方程式」。じり貧軍団を救うには補強しかない。金を積んで、誰を獲る!?

開幕前、「ぶっちぎりの優勝候補」だったはずの巨人が、もがいている。119試合を消化した時点で(8月27日現在=以下同)、首位阪神との差は3ゲーム。逆転優勝できるか、予断を許さない状況だ。巨人軍の渡邉恒雄最高顧問も、勇退も噂される原辰徳監督も、カリカリしているだろう。

「巨人がここまで苦しんでいるのは、打線の低迷とリリーフ陣の不安定さにある」(スポーツ紙デスク)

というのが専門家の分析。なにしろ、巨人はチーム打率・240で、セ6球団の最下位。チーム防御率2.82というリーグ首位の投手力で、なんとか持ちこたえているものの、

「リリーフの三本柱、山口、マシソン、澤村の3人合わせて15敗。リリーフがこんなに崩れては、"勝利の方程式"は成り立たない」(前同)

ということで、苦戦が続いているわけだ。

おまけにレギュラー陣の「ロートル化」も著しい。

野手の平均年齢が30.5歳、投手が29.2歳となれば、大改革は必至の状況だ。

巨人軍OBの野球評論家・関本四十四氏は、

「間違いなく、今オフの巨人は、FAなどの補強戦線に参戦する」

と見ている。

「一番のポイントは村田修一の衰え。彼が今でも.280の打率をキープし、本塁打も20本以上打っているならともかく、そうではありませんからねえ(.233、本塁打8本)。村田の代わりに三塁を守れて数字が残せる選手が、どうしても欲しい」(関本氏)

そこで、ポスト村田の最有力候補として白羽の矢が立っているのが、ソフトバンクの松田宣浩三塁手。松田は、13年オフの契約更改時にソフトバンクから複数年契約を提示されて2年契約を交わしたが、14年に獲得したFA権を、いまだに行使していない。

2年契約にしたのは、松田の側に、契約が切れた時点で改めてFA権を行使する腹づもりがあるということ。そして、ソフトバンクも暗黙のうちに、それを認めていたということを意味する。少なくとも巨人は、それを見込んで松田に狙いを定めた。

「しかし、この2年間に松田は急成長。昨年は3割を打ち、日本一を決める劇的なサヨナラヒットを決めていますし、今年もすでに27本の本塁打を放って、すっかりチームの顔になってしまいました。巨人がここに割って入るには、よほどの好条件を出さなければならないでしょうね」(スポーツ紙デスク)

現在の村田の年俸は3億円。当然、巨人は、それ以上の条件を提示して松田を獲りに行くだろう。

ただ、ひとつ気になることがある。10年前のドラフトの経緯だ。

05年の大学・社会人ドラフトで、巨人は一度、松田獲りに動き、土壇場で方針を変更した。そのときの因縁が松田の中で「シコリ」として残っていれば、今回の巨人の松田獲りは失敗に終わるだろう。

「05年当時の大学・社会人ドラフトは、各球団が希望枠で1名獲得できるシステムでした。当時の大学ナンバーワン、東北福祉大の福田聡志投手の獲得は困難と見て、巨人は松田にターゲットを絞ったんです。しかし、松田の説得にほぼ成功しかけたタイミングで、当時の長嶋監督が"希望枠は即戦力の投手"と強く主張し、独自のルートを使ってウルトラCで福田を獲得。宙に浮いてしまった形の松田がソフトバンク入りするという経緯がありました」(メディア関係者)

松田が当時のいきさつを引きずっているのかどうか、巨人としては気になるところだろう。さて、巨人の補強のもうひとつのテーマは、崩壊しつつあるリリーフ陣。勤続疲労の山口、フォームが安定しないマシソン、コントロールに難のある澤村。この3人で「勝利の方程式」を作るのは容易ではない。

そこで巨人が目をつけたのが、今シーズンいっぱいでソフトバンクとの契約が切れるサファテ。今シーズン3勝33セーブ、防御率0.87、連続32イニングを含む奪三振84と抜群の安定感を見せるこのリリーバーを、巨人はなんとしても獲得したいだろう。

1位指名はアノ甲子園投手か

「持ち駒があり余るほど豊富なソフトバンクにあっても、サファテに代わる守護神の適任者はいません。現在1億円の年俸を倍増してでも、ソフトバンクは引き止めにかかるでしょう」(パリーグ担当記者)

広島、西武、ソフトバンクと2年の契約切れとともに所属チームを変えてきたサファテ。ソフトバンク以上の金額を提示すれば、来季は巨人のユニフォームに袖を通すことになるかもしれない。

もうひとつ、オフの大きな補強ポイントになると目されているのが捕手だ。

「阿部慎之助の後釜として小林誠司がいるんですが、これがどうにも心もとない。一度は小林を育てると肚をくくったかに見えた原監督ですが、ここにきてフロントに捕手を獲りに行くように要望したようです」(事情通)

昨年、FA権を手に入れた嶋基宏(楽天)、炭谷銀仁朗(西武)の両名は、FA権を行使せずにチームに残った。

「しかも、2人とも球団が提示してきた複数年契約を断って単年契約したといういきさつがあります。これは、2人とも、いい話があれば"移る気満々"だということを意味します」(スポーツ紙デスク)

デーブこと大久保監督とソリが合わない嶋はチームを出たがっているのでは、という噂が飛び交っている。今のところ、嶋は中日、炭谷は阪神に移るのではないかという情報が有力だが、

「結局は、マネーゲーム。巨人の"やる気"次第です」(巨人軍担当記者)

もうひとつ、チーム補強の要となるのがドラフト。

「まだ2か月も先の話ですが、今年の巨人のドラフト戦略は、1位は投手、2、3位に野手というのが基本戦略のようです」(巨人軍担当記者)

巨人が1位指名するのは誰なのか?

「おそらく、東海大相模の小笠原慎之介投手でしょうね」(前出の関本氏)

との声が圧倒的。甲子園大会前から評判は高かったが、優勝でさらに評価はうなぎ上り。原監督の母校でもあることから、1位指名は確実視されている。

野手では関東一高のオコエ瑠偉外野手、明大の盪浬啌位郤蝓慶大の谷田成吾外野手が上位候補。即戦力では六大学のヒットメーカー・盪海最有力だが、素材としてはオコエの身体能力は捨て難い。

「どのチームもドラ1は投手で行くでしょうから、オコエ君は"はずれ1位"か2巡目あたりで指名される可能性が高い。いい素材だとは思うんですが、今のところバッティングはまだまだ。彼を1位指名するチームがあるかどうかがポイントです」(関本氏)

いずれにしても、ドラフトは運次第。巨人が最後に頼むのは、豊富な資金ということになるだろう。

松田、サファテ、嶋、炭谷……全員獲れれば優勝は間違いないところだが、果たして、どうなる?