資金調達だけじゃない!新たなマーケティングとして注目の「クラウドファンディング」に動画を活用する

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日本でクラウドファンディングが急速に広まったのは、東日本大震災後、復興支援にクラウドファンディングを活用する人々が増えたことがきっかけでした。それ故に、国内においてクラウドファンディングは社会貢献や地域活性を目的として実施されるイメージが強いと言えるでしょう。

しかし近年、海外では事業資金の調達だけでなく、テストマーケティングやプロダクトのPRにクラウドファンディングを活用する企業が増えています。

認知獲得やファンづくりにも

クラウドファンディングは、目標金額に達しなければそのプロジェクトを行わなくてもよいという「オール or ナッシング」のシステムが一般的です。そこでこの仕組みを利用し、企画・検討中のプロジェクトをクラウドファンディング上に提案し、そのサービスやプロダクトにお金を払う人がいるのか、どのようなユーザーが興味を持ってくれるのかを調査する企業が増えているのです。

近年は国内でも、企業のマーケティング手法の1つとしてクラウドファンディングが注目され始めており、神奈川県の産業振興課や大阪商工会議所といったさまざまな機関でクラウドファンディング活用セミナーが開催されるほどです。そしてこの流れは、元手が少ないスタートアップベンチャーや中小企業だけでなく、大手企業にも広がってきています。

例えば日産自動車株式会社は、今年3月に国内のクラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」において「究極のスマートバーベキューカープロジェクト」を発足し、成功させています。

画像参照元:https://greenfunding.jp/lab/projects/1019

この取り組みの目的は電気自動車の認知拡大と普及促進。100万円という目標金額の調達は元より、さまざまなメディアで取り上げられたことで、潜在顧客を含む多くの人の電気自動車への興味喚起に成功したのではないでしょうか。

 

クラウドファンディング×動画

クラウドファンディングを活用する企業や団体が増える中、その想いや優れた製品を多くの人に届けるためにはプロジェクトの魅力訴求が欠かません。そこで効果を上げているのが、動画によるプロジェクト紹介です。上述の日産自動車の事例でも、クオリティの高い動画を制作し、価値訴求を図っています。

クラウドファンディングの目標金額達成における動画活用効果も明らかになっています。アメリカの大手クラウドファンディングサイト「Kickstarter」によれば、動画がないプロジェクトの成功率が30%なのに対して、動画が掲載されている場合の成功率は50%。以前movieTIMESでご紹介したように、サイトを訪れた消費者の59% が「動画が掲載されていれば視聴する」と答えており、動画は文字で構成される記事型のコンテンツの2倍、人の記憶の中に留まり続けるという効果もあります。「Kickstarter」では80%以上のプロジェクトで動画が掲載されていることからも、動画の有効性が認められていると言えるでしょう。

そこでここからは、実際にクラウドファンディングを成功させた3社が活用した動画を取り上げ、効果的な動画企画を考察します。

プロジェクトの概要を端的に伝え、支援者の興味喚起を図る

日本のクラウドファンディングサイト「Makuake」で2,545万円(目標金額の1696%)もの金額を集めたOurio株式会社。そのプロジェクトページのトップに掲載されていたのがこちらの動画です。

 

プロジェクト名:世界最小!「Qrio Smart Lock」で世界中の鍵をスマートに
プロジェクトページhttps://www.makuake.com/project/qrio-smart-lock/

プロジェクトについて何も知らない状態でページを訪れた人に対して、「出資をしたい」と思うほどの興味を持ってもらうためには、限られた接触時間の中で、そのプロジェクトの魅力を過不足なく伝えることが重要になります。

Qurio社のこの動画には開発メンバーたちが次々と登場し、プロダクトにかける想いや機能、利用用途などを含めたプロジェクトの全体像を、約90秒という短尺でコンパクトにまとめています。目指す世界観のイメージを動画を介して視聴者と共有した上で、機能の詳細はサイト内の文章で読んでもらうという「興味→理解→支援」の導線を動画と文章でうまく形成している好例です。

利用シーンや機能を伝える製品紹介動画でプロダクトの魅力を訴求する

アメリカでおよそ1億2千万円(目標金額の2575 %)の調達に成功したGOdevices inc.は、日本のクラウドファンディングサイト「Shooting Star」でも同製品でクラウドファンディングを実施し、プロジェクトページに動画を掲載しました。

 

プロジェクト名:全米で13,000人以上が殺到した話題沸騰中の超クールな次世代スマホ充電器『GOkey』
プロジェクトページ:http://shootingstar.jp/projects/1644

新しいアイデアや技術から生まれたプロダクトの製作資金を募る場合、それが革新的なほど、機能やメリットをユーザーがイメージしにくいことが課題となります。

こちらの動画では、さまざまな機能を持つプロダクトの特徴や利用シーンを、実写だけでなく図やイラストも組み合わせ丁寧に説明。支援者自身がそのプロダクトを使っているところをイメージしやすく、文章や写真による説明よりも製品の価値を直感的に理解できる構成になっています。また、たくさんの機能があるからこそ、その単調な羅列にならないよう、音楽をつけてテンポよくストーリーを展開させるといった工夫も参考にしたい点です。

メンバー自身が熱い「想い」を語り、共感を得る

上記のような新プロダクトの開発ではなく、無形商材である新サービスの立ち上げを目的としたクラウドファンディングも多く展開されています。例えば、男性美容会社の株式会社BULK HOMMEは、青山にメンズフェイシャルエステを構えるために「Makuake」でクラウドファンディングを実施し、エステサロンのオープンを実現させています。

プロジェクト名:世界一のメンズフェイシャルエステを造り、「日本の男はカッコいい!」未来を創る
プロジェクトページ:https://www.makuake.com/project/bulkhomme/

有形プロダクトであればその姿を映像や写真で示すことができるため、支援者の理解を得やすいと言えますが、この事例のように無形商材が対象となる場合、プロジェクトにかける想いとともに、企画の具体性や実現可能性、人材の有望性なども的確に伝えることが重要です。BULK HOMME社の動画のように、事業のバックグラウンドや理念、ビジョンなどをプロジェクトメンバー自らの言葉で表現し、信頼度や説得力を高める工夫が必要だと言えるでしょう。

新たなマーケティングの選択肢として

クラウドファンディングへの支援を得るには、プロジェクトへの強い共感を得ることが不可欠です。そして支援者の心を動かすためには、プロジェクトの背景や想いなどを「ストーリー」で訴求するのが効果的です。その点で動画が有効であることは言うまでもありません。実際、多くのクラウドファンディングサイトがプロジェクトページのトップに動画を掲載できる仕様になっていることも、相性の良さの表れと言えるでしょう。

斬新なコンセプトを持つ製品の開発や社会貢献型のサービスのローンチなどを企画している際は、新しいマーケティング手法の1つとして「クラウドファンディング×動画」を取り入れてみてはいかがでしょうか。