ハイハイができなくても大丈夫!? shutterstock.com

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 赤ちゃんの成長と発達は、実に目まぐるしく、微笑ましい。生まれたての新生児は身長50cm、体重3kg程度だが、約1年で身長は約1.5倍、体重は約3倍に。大人になれば、身長は3〜3.5倍、体重は15〜25倍にもなる。

 赤ちゃんは、いつ頃からどのような運動ができるようになるのだろう?

 首すわり、寝返り、お座り、這い這い、立ち歩きと進んでいくが、順番どおりにできるとは限らない。省いても順序が違っても、あまり問題にしなくていいようだ。

 首すわりは生後3〜5カ月頃から、寝返りは5〜7カ月頃からができるようになる。8〜9カ月頃まで寝返りしない赤ちゃんもいるが、成長のスピードは、それぞれ違うので、神経質になる必要はない。

 8カ月頃、ほとんどの赤ちゃんは、手で支えなくても、背中を伸ばして安定したお座りができるようになる。体をねじって後ろにあるモノを取ろうとしても倒れない。腹這(はらば)いの姿勢から、体を起こしてお座りもできる。これは、大脳の神経が背骨の末端部をコントロールできるように発達したからだ。首すわり、お座りは、赤ちゃんの運動機能の発達を知るための重要なポイントになる。

 運動機能の発達は、さらに腰から足へと進む。両足を揃えて動かしていた動作が、左右の足を交互に出す動作に変わる。7〜8カ月頃には、お腹を床に付けた摺(ず)り這いが始まり、ようやく四つん這いになって、足を交互に出す這い這いができるようになる。

 四つん這いにならず、お座りのままお尻をすって移動したり、お尻をピョンピョン浮かせて移動(シャッフル)する赤ちゃんもいる。膝を浮かせて足の裏をつけた高這いを始める子もいる。9〜10カ月頃には、這い這いが少しスピードアップする。

 赤ちゃんの這い這いは、運動機能の発達という体の準備だけでなく、赤ちゃん自身に移動したいという欲求を持たせることが大切だ。目についたモノに興味を持ち、触りたいという気持ちが、赤ちゃんを這い這いへと駆り立てる。赤ちゃんの喜ぶおもちゃを目の前に置いて、這い這いのきっかけを作ってあげたり、公園の芝生の上などの広い場所で腹ばいにしてあげるのもいいだろう。なかなか前に移動できないなら、足の裏をちょっと押してあげるのも一法だ。

 このように赤ちゃんの運動機能の発達は、片方の手足が先に発達したり、片方が遅れたりして、左右同時には進まない。左右がアンバランスの這い這いでも、やがては、つかまり立ちや伝い歩きを覚え、あんよ(歩行)ができるようになる。前へ移動すれば良いので、這い這いのスタイルが多少カッコ良くなくても気にしないことだ。

這い這いしなくても、あんよできるの?

 生まれたばかりの赤ちゃんは、大脳の発達に伴って原始反射が始まっている。そのひとつに非対称性緊張性頸反という反射運動がある。

 この運動は、赤ちゃんを仰向けに寝かせた時に、顔を向けた側の手足が伸び、反対側が縮む反射運動だ。生後2〜4ヶ月頃から見られなくなるが、這い這いするためには、この反射が消えていなければならない。脳性麻痺の赤ちゃんでは、この反射が長く残るために、這い這いできない場合がある。

 赤ちゃんが這い這いできるためには、上肢と下肢を交互に動かす交互運動ができること、首が座り、手足の位置に関わらず顔が前を向いていること、奥行きを理解できること、この3つの身体機能の成熟が前提になる。

 小児科学の立場から見ると、這い這いは、運動機能の発達に欠かせない。歩くための予行訓練だが、這い這いできなければ、あんよ(歩行)が遅れるということはない。

 また、最近の研究によれば、およそ10%の赤ちゃんは、お座りの姿勢のまま腰を浮かせて前へ進むシャッフルで歩き始めるという。這い這いしなくても、運動機能は正常に発達する。這い這いは、あんよ(歩行)のために必ずしも必要不可欠ではないのだ。
(文=編集部)

●参考資料
榊原洋一「大人が知らない子どもの体の不思議」(講談社)
榊原洋一「赤ちゃんの体と心の発達24カ月」(主婦の友社)