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僕は一切関わっておりません!

積極的にロクでもなさそうなものに突っ込んでいくチャレンジャー気質。ある意味で僕はYoutuberに向いているのかもしれません。新しいもの、未確認なもの、謎深いもの。そうした新商品に胸をときめかせ、そのトキメキを動画で発表したら、あるいは僕も「好きなように、生きていく」ことができるのかもしれません。

しかし、僕は「ブロガー」です。ちょっと恥ずかしい「ブロガー」です。Youtuberの人が「ハイ、僕がYoutuberです!」と誇らしく名乗り上げるのに比べると、「すげぇ蔑称みたいで恥ずかしいんですけど、世間がそう呼んでいる対象そのものであることは認めざるを得ない」という諦観をともなった「ブロガー」です。あぁ、ブロガーですとも。名刺の肩書欄にはできれば書きたくないカテゴリ名ですが、どう考えてもブロガーです。ブログ以外、何やってるかよくわかんない人ですしね!

そんなチャレンジャー×ブロガーに「俺を買ってみろよ!」と挑戦状を叩きつけてきた新商品。それが「フィギュアスケート日本男子応援ブロガーブック」(ダイアプレス)。シレッと言い放ったので一瞬スルーしてしまいそうになるも、バックステップしてオイッ!と首根っこをつかまえざるを得ない「ブロガーブック」なる新概念。ブックブロガーはどこかにいそうだけど、ブロガーブックってのは耳慣れないぞ。何だそれ!買おう!

同好の士のみなさんも同好じゃない士のみなさんも、謎が深まるでしょう。「何やねんソレ」という気持ちが沸き起こるでしょう。ガマンできない気持ちわかります。そして、僕は堪え性がなくてガマンできませんでした。少し先の地雷原を歩く兵士でも見るような気持ちで見守ってやってください。念のため、自分も載ってるんじゃないかと思って全ページをめくり、「載ってないな」と確認したチャレンジャーの姿を…。

ということで、今後さまざまな局面で応用が利きそうな新フレームワークについて、「フィギュアスケート日本男子応援ブロガーブック」(ダイアプレス)からチェックしていきましょう。

◆イケてる話題にダメ元で「●●ブロガーブック」で突っ込む大作戦!

大きく打ち出された書名。そのド真ん中にはピンク色で強調された「ブロガー」の文字。「Yuzuとファンのエピソード満載」「ブロガーの羽生結弦日記」「ブロガーが熱く語る!!スケオタ大集合」などの見出し群。さらに2人の人物写真が写っているのにどっちも羽生結弦氏という、鏡の館みたいなレイアウト。チャレンジングな感じを表紙全体からビンビンと発してきます。

↓何かよくわかんないけど、観葉植物とかと一緒に撮ったらブロガーっぽいかなと思ってやってみた!


ブロガーって謎だな!

ずいぶん長いことやってるけど、いまだに何なのかよくわからんわ!

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表紙をめくるとそこには再び大きく羽生氏の写真が掲載されています。そして、その写真に添えるように「\とにかく演技が神がかっている/」「\これは芸術です/」「\お疲れ様ゆっくり休んでね/」「\SPもFSもドキドキしながら観てました/」「\「壁の先には壁しかない」という言葉にハッとさせられました/」などの「\横浜優勝/」みたいなフキダシが。何だろう、コレ。

もくじを眺め、全体の構成を見ていくと総計100ページあまりの本書のうち、3分の2ほどは「ファンが独自の視点でレポート ブロガーのゆづ日記」なるコーナーで構成されている模様。どうやらそれが本書のメインコンテンツのようですね。

そしてページをめくると、ようやく「ブロガーブック」という概念の正体が見えてきます。本書の基本構成は「何かのときの羽生氏の写真」を大きくドンと掲載しまして、その横に「そのときのブログ記事」を添えるというスタイルだったのです。なるほど、確かに「ブロガーブック」です。

ブロガーの熱いブログ記事。見たことのあるブログもないブログもありますが、いずれもが高い熱量をもってブログをつづっています。状況説明とか技術解説とか以上に、ありふれた雑誌記事には込められない「熱」がブログ記事にはある。世に羽生氏関連商品は数あれど、ここまでの「高熱」はなかなかお目にかかれません。それだけでも十分な独自性がある。独自性が。

商品はどうしても「冷静」「公平」「客観的」であることが求められがち。プロの評論などが入れば、そっち方向へグングン進んでいくのが自然です。荒川静香さんとかが「ゆづぅぅぅぅ〜」とか書くわきゃないのです。青い果実をペロペロしたい(※都内在住、男性ブロガーのブログより)とか書くわきゃないのです。いきなりそんなの出てきたら「荒川さん気を確かに!」「一番強いクスリ買ってきます!」「念のため気付け用ハンマーも!」となるでしょう。ただ、冷静だけじゃあ世の中のすべてを表現できているわけではないのも確か。高熱と冷静、どちらもあったほうが面白い。そのような気持ちが本書には込められているようです。

↓だから、ブロガーたちの高熱ブログ記事のあとには、編集部からの一言冷静コメントがとってつけた感じで添えられているぞ!
●2013年GPファイナル優勝を語るブログ記事に添えて
編集部からのコメント:「この1勝がソチ五輪の金メダルへとつながっていきました」

●2014年世界選手権優勝を語るブログ記事に添えて
編集部からのコメント:「完璧な演技を披露。羽生選手は本当に強いですね」

●2014年ソチ五輪優勝を語るブログ記事に添えて
編集部からのコメント:「これこそドラマでした。五輪の舞台で羽生選手は輝きました」

●2014年GPシリーズ中国杯を語るブログ記事に添えて
編集部からのコメント:「記憶に残る滑りを見せてくれました」

●2014年羽生氏20歳の誕生日を語るブログ記事に添えて

編集部からのコメント:「GPシリーズ中だったけど、どんな誕生日を過ごしたことでしょう」

●2015年世界選手権SPの模様を語るブログ記事に添えて
編集部からのコメント:「完璧な演技を見せてくれました」

●2015年国別対抗戦に臨む記者会見を語るブログ記事に添えて
編集部からのコメント:「勝負師という言葉はまさに羽生選手のためにあるようなものですね」

●2015年アイスショーでの「SEIMEI」披露を語るブログ記事に添えて
編集部からのコメント:「羽生選手の想いがしっかり伝わります」

●2015年アイスショーでの「SEIMEI」披露を語るブログ記事に添えて
編集部からのコメント:「本当にどこまで進化しつづけるのでしょう」

その直前まですごい熱い想いがつづられてるのに、ストンと現実に引き戻す編集部コメントだなwww

この淡白なコメントいるのかwww

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しかし、このコメント群にはひとつの誠実さもあります。わからないこと知らないことを無理して書かない、という正しい意味での誠実さが。昨今の羽生氏関連商品においては、写真をドンとのっけてあとは何か雑誌っぽい体裁に整えるというものが散見されます。重要なのは写真で、テキストは副次的なもの。ヒドイときには「テキストは飾り」なんてことも。

特に現場とのつながりはない、でも羽生氏の写真を載せた本を出したい。そのとき、どうしても雑誌編集部というのは無理に作ったテキストを載せてしまいがち。書こうと思ったらとりあえず何でも書けるライターさんなりはいるわけですから。ウィキペディアもありますし。

だが、ブロガーブックはそうしなかった。「熱」という意味では、世の解説者では持ちえない領域まで到達したブロガーたちを招集することで、ライターがふわっと作ったテキストではない何かをメインに据え、ふわっと作ったテキストは「編集部コメント」という形でサブにもってきた。自分たちだけで作れば「編集部コメント」を書きのばした感じのテキストで余白を埋めていただろうところを、それをしない誠実さを見せたのです。

そうしたブロガー優先という編集方針により、マダム・タッソー(※羽生氏の蝋人形が展示されている)訪問記事や、弓弦羽神社(※羽生氏も参拝している)訪問記事や、晴明神社(※阿部晴明をまつる)訪問記事などにもつながり、ファンブックとしてのポジションも打ち出すことができました。また、誌面後半ではブロガーへの質問コーナーや、ブロガーのお宝紹介、さらにブロガー自身が起こした応援活動のレポートなどを紹介し、リアルなファン活動というものを届けてくれました。

ファンが、同じファンであるブロガーの動向を知りたいかと言うと必ずしもそうではないかもしれませんが、それは結果的にそうなっただけのこと。「羽生氏の写真を売りたい!」という商魂と、ウソはつきたくないという誠実さ、相反するふたつが噛み合った結果、思いがけない変わり種が生まれた。それがブロガーブックなのかもしれません。

刀剣だの軍艦だの流行りものジャンルにとりあえず突っ込んでいく雑誌編集部には大いに参考になる一冊ではないでしょうか。ブロガーブック形式なら、編集部的にはふわっとした状態であっても、確かな「熱」が誌面に載ってきます。ウィキペディアを見ながら頑張って書くよりは、誠実なふるまいである…僕はそのように思うのです。

いっそ今後は「ツイッターブック」とかもありかもしれません。写真につぶやきを添え、その瞬間の「熱」を記録する。すぐ読んでも「ツイッターのまとめ」としか思わないかもしれないけれど、10年後には往時を語る貴重な資料となる。専門誌との差別化を考えるなら、そこまで振り切ってもいいでしょう。安藤美姫さんのインスタグラム写真を、コメント欄での言い争いつきでまとめた本とか、ちょっと欲しいですしね。妙に冷静な「スマホで長文打つの上手ですね」なんて編集部コメントを添えつつ…。

↓「コレとブロガーブックと両方突っ込んでるブログ記事」に編集部コメントを添えるページとかどうですかね!
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編集部コメント:「お買いもの好きですね」
編集部コメント:「とりあえず買う、っていうタイプなんですね」
編集部コメント:「どうせなら5冊買ってください」

「ブロガーがつづる下ネタ」に編集部コメントを添えてもいいぞ!

もしくは「ブロガーがクリアファイルを買いに行く記事」に編集部コメントを添えるとかでも!

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実績ある出版社はブロガーを頼らずに本を作ってくださいね!