8月28日から公開している「劇場版 弱虫ペダル」。原作者:渡辺航がストーリーを書き下ろした、初めてのオリジナル劇場長編作品だ。物語は、アニメの最終回──自転車競技のインターハイでの決着の後を描いたもの。


インハイで総合優勝した総北高校は、秋に熊本で行われる「熊本 火の国やまなみレース」に招待された。総北高校の参戦を聞いた宿命のライバル・箱根学園も参加を決定! 3年生が引退してしまう前に、このメンバーでできる最後のレース、そして「インハイの再戦」ができると志気の上がるメンバーたち。
ところが3年生の巻島裕介は、ひとりイギリスへ留学する準備を進めていた。
「オレたちの総北を たのむぜ坂道」
そう同じクライマーの小野田坂道に告げ、自転車競技部を退部してしまう。巻島の不在に大きな衝撃を受ける坂道。いったいレースはどうなってしまうのか……?


映画の前半で描かれるのは、原作の28巻にあたるエピソード。原作ではそのまま「3年生が引退した、2年目の総北高校」に向かっていくが、映画では最後にお祭り的なレースを挟んだ。
インハイでは勝者と敗者がはっきりとわかる。泣いても笑っても勝負の結果は変わらない。でも、もう一回ぶつかってみたらどうなるんだろう……? そんなファンの想いを反映するような勝負が展開される。

映画の軸にあるのは「巻島の不在」。ヒロインかと思うくらい、90分間に多くのキャラが巻島の名前を呼ぶ。坂道はもちろんだが、坂道と同じくらい巻島のことばかり喋っているキャラクターがいた。
箱根学園の東堂尽八である。
巻島をライバルと認め、「巻ちゃん」と呼ぶ東堂。スクリーンに登場するたび「巻ちゃん」と叫ぶ。予告にも使われている「ウソだろ、なぜだ巻ちゃん、なぜ来ない?」に代表するように、語尾にだいたい「巻ちゃん」がついている。
こ、こいつ、50回くらい「巻ちゃん」って言っているのでは……? 気になったので、2回目を見に行って数えてみた。


結果、90分のうち、「巻ちゃん」呼びは……19回!
ちなみにその他の巻島を指した表現は、「あの男」が2回、「やつ」「やつ……彼ら」「お前」が各1回。それらを合わせると、計24回巻島について語っていることになる。なお、叫んでいてやや不明瞭な箇所もあるため、プラスマイナス1くらいの誤差があったらすみません!
じゃあそれだけ連呼される巻島のほうは、どれだけ東堂について言及しているのか? そちらも数えてみた。
結果、「アイツ」が2回、「東堂」が3回、「尽八」が6回。合わせて11回で、東堂のだいたい半分くらいの結果になった。
「弱虫ペダル」は基本的にチーム内のメンバーやライバルの名前を呼ぶシーンが多い作品なので、巻島からの「坂道」、東堂からの「真波」、荒北靖友の「福ちゃん」、新開隼人の各メンバー下の名前呼び「寿一」「靖友」も印象に残る。しかしその中にあって、「巻ちゃん」呼びは量的に目立つ結果となった。

雄大な阿蘇の景色の中、真剣にレースを走る彼らが、何回相手の名前を呼ぶか? そんなところにも注目できる「劇場版弱虫ペダル」。インハイでしのぎを削ったもうひとつのライバル・京都伏見はあまり目立たない描かれ方だが(御堂筋をしっかり描こうとすると、90分で終わらなくなってしまうからか)、それは現在連載中の原作を追いかけてみてほしい。

(青柳美帆子)