「競馬ソフトの必勝法」はどこまで本当なのか?
外れ馬券男のみならず予想ソフトを利用して利益を出す人たちの「外れ馬券は必要経費」をめぐる民事訴訟が相次いでいる。競馬は投資対象となり得るのか? 検証してみた。

◆3年30億円の“外れ馬券男”騒動で注目された予想プログラムの勝利の法則とは?

「30億円近い外れ馬券の購入費は必要経費か否か」をめぐる、いわゆる“外れ馬券男”騒動。インターネットで購入した馬券の払い戻金を申告せず、所得税約5億7000万円を脱税した罪に問われていた男性に対する最高裁判決は「外れ馬券も必要経費に認める」というもの。インターネットや予想ソフトを利用して継続的に大量購入する手法が“投資”と認められたわけだが、この騒動で注目されたのは「競馬予想ソフトってそんなに勝てるものなの?」ということ。事実、3年間で28億7000万円の馬券を購入し30億1000万円の払い戻しを受けた男性の純利益は3年間で1億4000万円。既存の競馬ソフトに独自の予想ファクターをプログラミングしていたという。

「男性が使っていたソフト自体は市場に出回っていて、いろいろな亜種があるんです。僕はDataMasterというソフトをインストールして使っています」

 そう語るのは会社経営者の和田泰之さん(仮名・35歳)。競馬はもとより「ギャンブルは一切しない」という和田さんは、あくまでも資産運用の一環としてソフトを利用しているという。

「まず、インターネットで馬券購入のできるJRAのIPATと紐付けるなど、簡単なPCのセッティングを済ませます。あとはレース前日に運営会社から送られてくる推奨設定に合わせてチェック項目をイジって起動すれば、遊んでいてもソフトが自動で馬券を購入してくれます。利益が出るまで購入額を調整して買い続ける仕組みなので、損を出すことなく、順調に資産は増え続けています」

 この“利益が出るまで購入額を調整して買い続ける”とは、いわゆるギャンブル必勝法として有名なマーチンゲール法のことを指す。1000円からスタートした場合、最初のレースに負けたら1.3倍の1300円、次のレースも負けたら1.3倍の1700円と額を増やしていき、“どのレースで当たってもその日の利益は出る”というもの。11Rまで当たらない場合、最終12Rには1.3の11乗となる17.9倍の約1万7900円を一レースに投じることとなる。仮にこのレースもハズして、一日1回も当たらない不適中の場合、最大14万7600円が損失となる。

◆期待勝率より割のいい異常オッズを洗い出す

 和田さん曰く「この1年間で不的中は3回しかない」とのこと。一レース2、3点の買い目であることを考えると驚異的な的中率といえるが、そもそもの予想ロジックはどういったものなのか。競馬ソフトに詳しい攻略ライターのX氏に聞いてみた。

「競馬の予想手法にはさまざまなやり方があるのですが、運用型の競馬ソフトにプログラミングされているのは、レースごとのデータ統計です。項目内容は多岐にわたるのですが、例えば1番人気の馬が内枠に入った場合の連対率、同距離のレースでの連対率との相関性などで期待勝率を弾き出し、実際のオッズとの乖離があるものをソフトで洗い出す仕組みです」

 仮に、ある連帯が10%の確率で入賞するとソフトが予想したのに実際のオッズは16倍だったとすれば、“期待値プラス”と判断して投資する価値は十分あるとなり、買い目に入る。逆にある馬が50%の確率で勝つと予想したのに実際のオッズは2倍以下だとすれば、投資妙味なしと判断して切り捨てることになるというわけだ。

 単純にソフトの勝率を上げるだけなら、ひたすら単勝1番人気に賭け続ければ数字は出そうだが、あくまでも狙いはカネを増やすこと。こうした“異常オッズ”を見つけるのは、確かに人間ではムリな作業といえる。和田さんが続ける。