リストランテからバールまで100軒を超えるイタリアンの店があり、時代を築いた老舗から新興の注目店までがしのぎを削る恵比寿。

腕利きの料理人らが路地裏を中心に出店し、大人の隠れ家が点在するエリアに変わりつつある渋谷。人気の両エリアで、注目のイタリアンのお店を一挙ご紹介!



鰯とウイキョウのカサレッチ
郷土の味をそのまま伝える石川シェフの真骨頂『ドンチッチョ』

渋谷


太陽の輝きを感じさせるような明るさと力強い味わい。そして、どこか懐かしい温もりに溢れたシチリア料理。その醍醐味を存分に楽しめるのが『ドンチッチョ』だ。

数ある名物料理の中でも1、2を争う人気メニューが、ご覧の“鰯とウイキョウのカサレッチ”。石川シェフによれば「日本で言えば、カツ丼みたいに、シチリアではどこにでもある庶民的なパスタ」だそうで、味の決め手は何といっても鰯とウイキョウのバランス。

なるほど口にすれば鰯が持つ青魚特有のコクのある旨みとエキゾチックなウイキョウの香りが、互いの個性を引き立てあいつつパスタとよく絡み、噛み締めるほどに、しみじみとしたインパクトを舌に残す。見た目は地味ながら、トマトの仄かな酸味や麺を口にした時の程よいウェット感など細やかな味への配慮が、完成度の高いひと皿を生み出している。



空豆とリコッタペコラのディータリー。短いマカロニのようなパスタと空豆の食感が絶妙。軽やかにして味わい深い。メニューは季節などにより異なる。写真は一例

この毎日食べても飽きない美味しさこそがシチリア料理の魅力であり、石川料理の真骨頂でもある。



マリネの盛り合わせ。カジキの燻製のオレンジマリネ、シマエビのマリネ、タコのマリネオレガノ風味など。メニューは季節などにより異なる。写真は一例



彼の地に来たかのような空間に思わず和む


つづいて、新風を巻き起こす料理人のイタリアンとは?



北海ずわい蟹と加賀太胡瓜のミルフィーユ仕立て 青唐辛子とフレッシュトマトのサルサケッカ。料理は全てディナーコースの一例
新風を巻き起こす料理人の飛躍がシーンを活気付ける『パスタフレスカ マンサルヴァ』

恵比寿


店の界隈は、恵比寿駅周辺でもとりわけイタリアンが多い一角。直径1km以内に何軒?というほどのヌ集地帯イ如悒僖好織侫譽好 マンサルヴァ』の圧倒的存在感を誇る。

西洋漆喰の白壁にシチリア「デ・シモーネ」の陶器が飾られた店内はいかにも女性が好みそうな爽やかな雰囲気。ディナーはコース主体で用意する。が、だからといってコスパがウリの店だと見くびってもらっちゃ困る。シェフの郄橋恭平氏は、イタリア最高峰といわれる『ヴィッサーニ』で修業を始め、トスカーナのレストランでシェフを務めた人物だ。



鴨胸肉のアストロ しし唐のサルサヴェルデ添え 粒マスタード風味のソース。旨みも充分

さらにスペイン、イギリスと食材を探究する旅を続け、計10年もヨーロッパに滞在した。イタリアから出ることで、世界中の一流店で求められる食材を知り、新しい調理法に触れた。ここで供されるのは7年間をかけて身体で覚えたイタリアの味をベースにした、ひとつの表現としての皿だ。魚介を活かした前菜やハーブや野菜を多用した軽やかなパスタやセコンドからはどことなく地中海の香りを感じることができる。

気取りのないサービスも好印象。女性客だけでなく男性客や年配のゲストまで、幅広い層から高い評価を受けている。



サフランのタリオリーニ 富山新湊産白海老のタルタルをのせたポルトフィーノ仕立て



地下1階、21席という小箱ながら窮屈さがないのが嬉しい


次は、本場で培った食文化への想いが詰まったひと皿



ホロホロ鳥のロースト ポルチーニのソース。添えた野菜のソテーは川田農園から取り寄せ。メニューは一例
本場で培った食文化への想いをひと皿、ひと皿に『オステリア アッサイ』

神泉


99年にフィレンツェに渡り、’08年に帰国するまでの9年間。星誠シェフは料理人として一番大切な時期をイタリアで過ごした。
「オリーブを摘んだり、休日にサッカーを見たり。料理だけでなく、イタリア人と同じ暮らしをしたかったんですよね」

少し照れながら、長期の渡伊理由をそう語る。滞在中、街場の家庭料理店から三ツ星『Dal Pescatore』まで、イタリア各地のレストランで研鑽を積み、帰国前の数年間はフィレンツェ郊外でシェフを任された。



マグロのシチリア風ラグー ミント風味 キターラで。トマトとミントを利かせたソースが美味。メニューは一例

骨の髄までイタリアの感覚を身に付けたシェフは、自らの店でも本場らしさを追求。その象徴がパスタだ。粉の風味を強く感じる手打ちのキターラは、フライパンの中でじっくりソースを絡ませる。「日本は和える感覚。現地は、パスタ1本1本に味を染み込ませるように作ります」

こんがり焼き上げたホロホロ鳥のローストや甘さ際立つ有機トウモロコシのリゾットなど、食材の持ち味をシンプルに生かすのも現地そのままのスタイルだ。

基本はシェフひとりでサービスまで担う。「まあなんとかなるでしょう」と、飾らないのも本場らしい。まさに、生粋のイタリアンが渋谷に根づいた感覚だ!



サマートリュフのふわふわフリッタータ。トリュフが豊かに香る上質なイタリア風オムレツ



カウンター5席、テーブル8席の小箱。自家製のバジリコ酒やリモンチェッロなど食後酒も美味


次は、シェフが修業先で惚れ込み作り続けた信念の皿



国内産の鳩を使用。栗と煮込んだラグーで和え、しっとりとローストした胸肉を添えて。和栗の優しい甘みと鳩の繊細な旨みが折り重なる
修業先で惚れ込み作り続けた信念の皿、堂々の復活『リストランテ ヤギ』

代官山


2011年に、八木康介シェフが日本へ帰ってきてから早4年。ご存知、中目黒の『ラ・ルーナ・ロッサ』を一躍人気店にし、銀座『ブルガリイル・リストランテ』で料理長を務めたその人である。

重厚な扉の奥に広がるのは、清々しく開放的なダイニング。地階ながら大きな窓があり、外に並ぶ木々が灯りに照らされて店内を彩る。牡蠣色のリネンのクロスは、黒が基調の空間の柔らかなアクセントに。洗練と温もりが心地よく共存している。



鮑と葉玉葱のスパゲッティ。アーリオオーリオに蒸し鮑の出汁と肝を合わせすだちで酸味を加えた

メニューを見れば、記されているのは食材名のみ。食べ手の想像力を刺激しながら、「素材ありき」という料理人の哲学を示す仕掛けにも心が躍る。

料理は7〜8皿のコースで供されるが、とりわけ八木シェフが力を入れるのが手打ちのパスタ。フィレンツェの『エノテカ・ピンキオーリ』でプリモを担当していただけに、並々ならぬ思い入れがあるのだ。



仔羊のロースト。北海道産の乳飲み仔羊は繊維が細やか。野菜にもジュの味がしっかり

そしてここに『ラ・ルーナ・ロッサ』時代のスペシャリテが復活する。「鳩と栗、茸のガルガネッリ」。10年前、同店のシェフに就任した直後から作り始めた品だ。
「当時は“鳩のパスタって何?”という時代。ガルガネッリを知らない人も多かった。プリフィクスのメニューに並べても一向に注文されず、一時はロングパスタに替えたことも。それでも食べてもらいたかった、僕が惚れこんだイタリアの味です」
濃厚な鳩と栗のラグーがしっかりと絡まったガルガネッリ。その生地にも栗の粉が練り込んであり、ローストした鳩の胸肉が添えてある。北イタリアらしく、そしてリストランテの皿ならではの風格が漂っている。

飲食店のカジュアル化が進む今、経験豊かな実力派のシェフが“日常使い”の店を開く例が増えている。そんな中、堂々とリストランテはかくあるべしを貫いている。シェフの心意気を存分に味わってほしい。



伊勢海老とほおずきのタルタル。ボッタルガを添えて。料理は全てディナーコースの一例



ワンフロアを独占する広々とした店内に、わずか26席と、空間使いも贅沢。〜6名の個室もある


最後は、どーんとまとめて4店!渋谷・恵比寿イタリアン名店をご紹介



丹波篠山産猪ほほ肉のトマト煮込み。イタリア産白ポレンタを添えて。写真は料理の一例
30品目を織り交ぜたシェフ渾身のコースを
『リストランテ・ダ・バッボ』

恵比寿


2014年4月、目黒区青葉台から移転。看板のない入口の先には、炎が揺らめくドラマティックなカウンター席が。

オーナーシェフの森田晃次氏は、成城学園『オーベルジュ・ド・スズキ』を経て、イタリアンに転向。渡伊後、羊を捌き野菜を育てる星付きの名店で影響を受け、素材と向き合い個性を際立たせた料理に挑戦する。

メニューは30品目もの品々を織り交ぜたおまかせコースは北海道産真鱈の白子、静岡の金目鯛、宮崎産の尾崎牛など。全国各地の素材と、炭火を駆使しながら華麗なひと皿を紡ぎ出す。また、21:00以降のBAR TIMEでは席に余裕がある時に限り、ワイン1杯に軽食なども味わえる。

その真価を堪能していただきたい。



赤イサキの備長炭炭火焼き。卓越の火入れを堪能したい。写真は料理の一例



オーナーシェフは森田晃次氏。店内はカウンターの他、2名利用の個室も4室完備。お忍びにもうってつけだ




骨付き黒毛和牛ロースの炭火焼き(400グラム〜)
料理から内装まで徹底的に本場仕込み
『ラ・ビスボッチャ』

広尾


料理から内装まで徹底的に本場仕込みのイタリアンレストランの定番メニュー。塩で味付けした黒毛和牛を炭火で焼いたビステッカは、肉の旨みを存分に堪能できる。

陽気で気取らない雰囲気は、仕事の打ち上げや仲間との語らいにピッタリ。ザックザックとイタリアンを食べたい時や、みんなで楽しみたい時に大活躍のお店だ。




シンプルにサルデーニャの味を再現『タベルナ アンド バール イタリアーノ タロス』

渋谷


海と山の恵みを活かしたシンプルなサルデーニャの味を再現する『タロス』。メニューも魚介料理をはじめ、小皿前菜、グリルなど、実にバラエティ豊か。

このところひそかに人気なのが、タロスの料理教室。料理後はもちろん美味しい試食付き。




本場のピッツァをもっと気軽に!
『ナポリマニア』

渋谷


ナポリ出身のジーノ氏が日本人の同士と共に「本場のピッツァをもっと気軽に味わって欲しい」との想いを凝縮し、2011年5月に誕生させたお店。
がっつりピッツァを食べたいときも、ワインを気軽に愉しみたいときも、その日の気分に合わせて使える自由気ままなイタリアン。