ほしてこれから世界かえ…シーン「まれ」136話

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朝ドラ「まれ」(NHK 月〜土 朝8時〜)9月3日(木)放送。第23週「いっぱい失敗タルトタタン」第136話より。脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出:渡辺一貴


136話は、こんな話


「世界一のパティシエにはいつなるのか」と娘・歩実(横山芽生)に聞かれたうえ、弟子入りしてきた沢沙耶(飯豊まりえ)のひたむきさを目の当たりにして、自分の生き方に疑問を感じ始めた希(土屋太鳳)。
そんな時、匠(小山春朋)の姿が見えなくなって・・・。

今日の、つっこ「まれ」


沢沙耶(飯豊まりえ)から「シェフ」と呼ばれ、無理無理無理! シェフは無理! と焦る希。
「世界一のパティシエになる」とかつて豪語していたのはどこへやら・・・いまでは能登でひっそりお店をきりもりしていることに悩みはじめます。
沙耶は、昔、希が視聴者につっこまれてきたことをすべてクリア。商品知識はあるし、メレンゲづくりもうまいのにけっして調子にのらない。優秀なのに謙虚な若者を見て、希は過去の自分の根拠なき自信(父似?)を恥じいるばかり。
これをきっかけに希の巻き返しがはじまる。ここからが本番! とばかりに、脚本が生き生き走っている印象です。
それが端的に現れているのが、希と沙耶の母・葉子(峯村リエ)とのやりとり。

葉子「世界的コンクールにも出したりしてるんけ?」
希「いえ、一度も」
葉子「ほんなら。フランス行ったり」
希「いえ、一度も」
葉子「ほこで長いこと」
希「いえ、4年間くらい」
葉子「ほしてこの店は」
希「7年ですね」
葉子「ほしてこれから世界かえ」

シーン・・・ささやかにカメラが引いていく・・・。
視聴者が言いたかったことを葉子が言ってくれたことで、テレビの前で溜飲を下げる人続出だったことでしょう。
やはりこういうキャラ、大事。間合いの巧い峯村リエによって気まずさが一層極まりました。それを受けて土屋太鳳が目をおどおどと泳がせるのも、小姑心をくすぐります。
希の、
「なんかザワっとするげ」
「わたしのフランス菓子はまだまだ全然ほんものになっとらんがに、
いつかいつかで終わってしもうんじゃねえかなって」
という台詞も、ようやく腹の奥から出ている感じです。
土屋太鳳はほんとうに緩急自由自在。思慮の足りない能天気な表情から、いろいろ考え始め知性が動き出した表情までみごとに演じてみせます。
自分のやってきたことに悩む希には、「花子とアン」の花子が子供のときに詠んだ「まだまだと
おもひすごし
おるうちに
はやしのみちへむかうものなり」という歌を送りたい。
(木俣冬)

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いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))