金曜日の午後11時30分からBS ジャパンで放送している、メンズが温泉に入るバラエティ「メンズ温泉」。「すべての女性を癒す」がコンセプトのこの番組、ちょっとBLっぽくないですか……?
テレビ東京の五箇公貴プロデューサーインタビュー後編です。

前編【30分まるまる「イケメンが温泉に入る」コンセプトの背景「メンズ温泉」プロデューサーに聞く】はこちら

「メンズ温泉」とBL


──「メンズ温泉」にはかなりBL的な匂わせを感じます。
五箇 ディレクターのペヤンヌマキさんの演出に引っ張られて、そうなっていっています(笑)。「メンズ温泉」のスタッフは僕ともうひとりのディレクターの松井さんを除けばほぼ全員女性なので、女性に言われたことは全部聞こうと思っています。……思った以上にけっこう言われましたけど(笑)。
──どういうことを言われることが多いですか?
五箇 残念ながら僕もは男なので(笑)、探り探り。ペヤンヌさんが担当した第4回の伊東温泉では、男3人が初キスの話をして、シチュエーションコントみたいになっていた。ペヤンヌさんは劇作家であり演出家だから、編集の見せ方がドラマ方向に向かうんですよ。試写で、女性スタッフが「ワー!」「キャー!」と叫んでいて(笑)。僕が「この部分、ちょっと長くないですか?」と聞いたら「全然! まだまだ見れます!」みたいに返ってくる。そういうやりとりが常にありますね。
──第6回の石和温泉では、寝ているモリショーにぶどうを食べさせるシーンがあって、「これは一体なんなんだ?」と衝撃を受けました。
五箇 ぶどうね! あれ頭おかしいですよね! 構成会議で湯山さんが「ぶどう食わせて! キリストの宗教画よ。あれをやってきて!」と言い出したんです。
──キリストの宗教画……!?
五箇 僕らはキョトンとしてましたが、ペヤンヌさんはそれを受け取ってああいう映像に。会議で湯山さんが「寝ブドウ!」と連発していたのが形になってやっと納得しました。美しいですよね。


──BL感に対して、視聴者の女性の反応はどのようなものなのでしょうか。
五箇 賛否両論でしょうね。「来た!」という人もいれば、「ちょっとこのノリにはついていけんわ」という人もいます。こっちから「こういうのが好きなんでしょ?」と強制しているわけではないのですが。ぺヤンヌさん回をきっかけに、いろんなスタッフの女性がBLに覚醒しているというのもあるかもしれませんね(笑)。

男性向けと女性向け、どちらが難しい?


──五箇さんは、「ゴッドタン」の「キス我慢選手権」のような男性向け番組も担当しています。女性向け番組と難しさの違いはありますか?
五箇 「メンズ温泉」のほうが難しいです。さじ加減がわからないのと、今までにない分野を開拓している感じがあって。「キス我慢」は、劇団ひとりという存在があって、スタートからゴールに向かっていくアドリブ即興劇という明確なルールがあるから、どう見たらいいのかわかりやすい。映画にできたのも、「キス我慢」はわかりやすいから、お客さんはついてきてくれるだろうと思ったからです。映画「キス我慢」がお祭りなら、「メンズ温泉」はテレビを使った実験ですね。
──「メンズ温泉」という新しいジャンルを作る実験、ということですか?
五箇 そうですね。今まで、イケメンを使ったドラマはいっぱいあります。でも今回はそうじゃなくて、ドキュメンタリーで男の子が素でロケにいってるのに、妄想的な萌えカットも入ってくる。そういう番組はあんまりない。バランスが難しくて、彼らが勝手にドラマっぽくなっていくのはいいけど、ただの創作になっちゃうと面白くなくて、ブレーキをかける必要がある。
──そうかもしれません。「BLドラマです!」となると、引いちゃう人も出てくる可能性がありますね。
五箇 男の子たちが温泉旅行に行っているだけなら、男の人だってそんなに構えなくても見られる。「やけに脱ぐな……」とは思うかもしれないですけど(笑)。
──いやいや、お風呂ですからね、脱ぐのは当たり前ですよ!
五箇 最近だと、風呂に入る前に脱いでることも多いですけどね(笑)。あくまで彼らの持つキャラクターを守りつつ、バランスをとっています。


女性向けのポイントは「手が届く感じ」


──最近、女性向けのコンテンツが増えています。女性向けのポイントはどこにあると思っていますか?
五箇 たとえば「壁ドン」が一時期すごく流行りましたけど、「イケメンが視聴者に向かって壁ドン」みたいなものばかりだと、女性は「見ててこっちが恥ずかしいわ!」って感じになってしまう気がしています。「弱虫ペダル」や「テニスの王子様」のような、二次元のキャラクターにそれをやられたら完全に夢の世界として感情移入できるかもしれないですけど、現実の良い男にそれをやられると、逆に興ざめしてしまうんじゃないかな。
──「こんなのありえないでしょ」と冷める、ということでしょうか。
五箇  現実離れすぎて受け入れづらいんじゃないかなと。福士蒼汰くんに壁ドンされるなんてそうそうないから、1回や2回ならいいけど、全部そういう要素で構成してしまうと「あるある感」がない。完全にフィクションの世界にしすぎないで、手が届く感じ、共感を得られる感じを目指しています。「メンズ温泉」をやりながら勉強になっているところはあります。
──「メンズ温泉」でいうと、どういうポイントでしょうか。
五箇 本当に「一緒に出掛けてる感、自分たちが行ってる感」があるのは大事だと思います。あと、ヤスみたいな子は「頑張れば自分の彼氏として手が届くかもしれない」。モリショーは「女子の目から見ると、この子ダメじゃん!」みたいな。そういうちょっと隙がある子たちが男同士できゃっきゃ言ってて、「バカだよね〜、男って!」って言えたりするのがいいのかなと。女の人どうしで見て、騒いだり、会話のネタにできるようなものじゃないと、人気が出ないんじゃないかなとやっていて思います。


──確かに、「メンズ温泉」のネタは女子同士で会話にすごく出しやすいです。
五箇 うちのスタッフも「オンエアを女4人で酒を飲みながらワイワイ見て、すごく楽しかった!」と言ってました。そういうのを聞くと、いいなぁと思います。やってよかった(笑)。

これからの「メンズ温泉」


──「メンズ温泉」は全12回。折り返し地点もすぎましたが……。
五箇 ロケももう少しで終わりです。僕としては「メンズ温泉」は年1くらいでやっていきたいですね。DVDや配信の反応がよければ続けられるかもしれないので、「シーズン2」をやりたいです! それこそ「テラスハウス」だって続けたから人気が出たわけで、BSで深夜で単発の1クールを「やりました、終わりました、次!」というよりも、ちゃんとパッケージとシリーズを続けていったほうがいいと思うので、そういう番組にしていきたいですね。


──BSの番組は反響が少ないとおっしゃっていましたが、かなり反応が見えてきたのでは?
五箇 そうですね。おかげさまで、注目してくださっている方が多いのかなと。取材の申し込みなどもありましたが、圧倒的に女性の記者さんの方がテンションが高いですね(笑)。男性の記者さんは「いや〜面白いことをやりますね〜(苦笑)」以上。みたいな。その気持ちもわかりますけどね。
──私の周りは、けっこう男性も楽しんで見ていますよっ。
五箇 本当ですか? 大丈夫ですか、その男性は(笑)。
──これからの「メンズ温泉」の注目ポイントを教えてください!
五箇 モリショーですね!(即答)モリショーがどんどんすごいことになっていく。そして久々に5人が揃う最終回では「それ、やる!?」と思わず言ってしまうような、「男同士の○○○○○」が計画されてます。最終回の一番の注目ポイントは、第3回の熱海温泉からそれぞれロケを経て、みんながどう成長したか?後々DVDで見返したりするとすごく楽しいと思いますね、宣伝ですが(笑)
──ひとりひとりの成長だけじゃなく、個々の関係性も深まっていますからね。
五箇 深まってますよ〜。僕が個人的に気になっているのは、モリショーが最後、「誰と別れるのが嫌で泣く」か。モリショー、泣かせたいなと思ってるんですよ。泣くんじゃないかな?(笑)


「メンズ温泉」ダイジェストムービー公開中!
第1回 オーディション前編
第2回 オーディション後編
(青柳美帆子)