専門誌では読めない雑学コラム
【木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第19回】

 その昔、ゴルフ雑誌全盛の頃、新人編集者が「雑誌をカラー化し、豪華にしても売れるんですか?」と、ベテラン編集者に聞きました。すると、ベテラン編集者は、「お前な、ゴルフっていうのは、1個700円のニューボールを谷越えで打って、平気でなくすんだぞ。そういう人がお客さんなんだ。雑誌代なんて、屁みたいなもんよ」と、高笑いしていたものでした。

 あれから20年、時代は変わりました。今や、谷越えでニューボールを使う人は少なくなりましたね。ゴルフ雑誌は、売れないがゆえに、価格を高く設定し、ますます売れなくなっているのが現状です。

 ただ、スキーやテニスなどのスポーツに比べて、ゴルフ雑誌の数は今でも多いです。それは、ゴルファーがなんだかんだ言っても、モノを買ってくれるからです。

 そこで今回は、現在のアマチュアゴルファーの購買意欲を、そこはかとなく探ってみたいと思います。

 まず、単純な疑問ですが、ドライバーはどれぐらいの頻度で買い換えるか、ってことです。

 個人的には、5年くらい前のドライバーをまだ使っています。だって、「飛ばなくていい」という考えですから、それでいいんです。ときどき、新しいドライバーを試すことはありますけど、自分のスイングにフィットさせるには、やはりシャフトをいじらないとね。それをやるのが面倒くさいので、昔のものを使っているんです。

 とはいえ、私もそろそろ買い替え時期かな、と思っています。話題の新作が出て、さすがに「これは飛ぶ!」と感じたら、検討するんじゃないですか。だから、いろいろな賞を獲って、口コミの評価が高いドライバーには、わりと気を配っていますね。

 個人的な印象で言えば、多くのアマチュアゴルファーも、同じような感じではないですか。ドライバーを新しいものに換えるのは、5年に1回ぐらいといったところでしょうかね。

 最近は、中古品のマーケットが充実しているので、発売されて半年くらい待てば、お手頃の値段で買えたりします。そこで購入するのもアリですね。そうなると、もっと短期間のうちに買い換えている方も結構いるかもしれません。

 また、クラブの購入を考えた場合、中古マーケットでは需要に対して価格が正直に反映されます。人気商品はなかなか値落ちしません。それだけ支持されているわけですから、そこを考慮に入れるのも、ひとつの選択肢です。

 ドライバーの次にモノが動くのは、ユーティリティーです。

 これは、いろいろな形状があるので、新作がどんどん出てきます。実用的ですから、飛距離や曲がりなど、自分の望む方向性を探して、1本は必ず入れておきたい代物です。ギアに凝る人にとっては、たまらないジャンルでしょう。そういう意味では、ドライバーよりも頻繁に買い換えられている可能性もありますね。

 アイアンはどうでしょうか。

 最近のアイアンセットは、5番から9番までぐらいが主流です。私なんて、7番から9番までの3本しか持っていないほどです。ピッチングからはウェッジ扱いで、用途に応じていろいろ変えています。

 昔みたいに、3番からサンドウェッジまで、アイアンを同じブランドでそろえることはありません。アイアンのマーケットは、ユーティリティーとウェッジにとられてしまっています。だから、アイアンを頻繁に買い換えるような人は、なかなかいないでしょうね。

 結局のところ、ギアは進化していますが、その進化の恩恵を得るのは、プロか、トップアマです。我々アマチュアゴルファーは、ナイスショットが少ないので、正直言って、どのクラブも大差はないんです。よく「クラブを買う前に練習しろ」と言われていますが、まあ、そういうことになります。

 消耗品ですが、ボールも同様です。新作が出だからといって、飛びつく人は減っているんじゃないでしょうか。

 そういえば、以前プロと一緒に、ボールの種類によって、これだけ飛距離が変わるし、スピン量もこんなに違うという、ボールの比較記事の企画をやったことがあります。プロの打つ、性能のいいボールはすごく飛ぶし、ピタッと止まりました。でも、私が打つと、あまり違いは出ませんでした。

 アマチュアは、ディスタンス系(飛距離重視)か、スピン系か、こだわるのはそれぐらいで十分でしょう。

 ボールにこだわらなければ、ゴルフ場で拾ったボールでも平気でプレーに使えます。"キャッチ&リリース"の精神ですか。拾ったボールは、また打ってコースに戻してやる――バス釣りと気持ちは一緒なんですね(って、ほんまかいな)。

 じゃあ、谷越えでニューボールを使用するのはダメなのか?

 いえいえ、逆にこれを谷に落としたら大損だから、「絶対に谷を越えて!」と願って打つテはあります。まあ、一種の願掛け、お守りみたいなものですか。

 というわけで、ゴルフ産業がすたれないように、たまには何か新しいものを買いましょうね。

【プロフィール】
■木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa