9月1日仙台市体育館で行なわれたワールドカップ2015女子大会第8戦、日本はフルセットでセルビアに惜敗し、6勝2敗勝ち点19で5位に後退。2位以上が条件となるリオ五輪への切符獲得は残り3戦を全勝でいかなければ苦しくなった。

 ここまで振り返ると、日本の大きな収穫は19歳の古賀紗理那(NEC)の予想以上の活躍ぶりだ。もともと高校時代から大型レセプションアタッカーとして注目され、「木村沙織の後継者」とも呼ばれてきた。高校時代は日本一のタイトルを獲ることなく終えたものの、新人として参加した2014/15V・プレミアリーグ女子ファイナルでは途中投入されて大活躍し、NEC10年ぶりの優勝の立役者となった。

 本格的なシニアでの活動は今年度が初めて。7〜8月に行なわれたワールドグランプリのファイナルでは全試合に出場するも全敗し、ワールドカップ直前合宿でも「あまり調子が良さそうには見えなかった」(眞鍋監督)。ところがフタを開けてみれば、ベストスコアラーランキングがチームトップの5位、ベストサーバーランキングがチームトップの2位、ベストレシーバーもチームトップの2位。ベストディガー(スパイクレシーブ)が14位とユーティリティプレーヤーぶりを見せつけることとなった。眞鍋監督も「直前合宿では、少し手を抜いていたのかもしれませんね」と苦笑した。

 8月31日の韓国戦では、木村沙織(東レ)と対角を組んで3−0のストレートで勝利。木村のサーブで崩してラリーに持ち込んだものを古賀がトランジションアタック(※)で決める場面が何度もあった。1日のセルビア戦でも、第1セットではそれが見られた。しかし、第2セット以降はセルビアの高い位置からのサーブで木村、古賀、レセプションリベロの座安琴希(ざやすことき・久光製薬)が大きく崩され、セッターがまともに攻撃を組み立てられなくなり苦しんだ。
※スパイクレシーブをしてからの攻撃

 眞鍋監督も「古賀の課題は、今も頑張ってはいますが、レセプション(サーブレシーブ)をもっともっと安定させることですね」と、残り3戦に向けての修正点を挙げる。しかし、攻撃面では、木村が下がった2セット目以降、勝負どころで何度もスパイクを決め続けるなど、引き続き好調。この新星に、日本のリオ切符獲得がかかっていることは間違いない。古賀も「これまでは、最初硬かったり、途中で抜けてしまったりしたところがありましたが、名古屋では最初からエンジン全開で、最後まで集中して勝ち抜きます」と力強く宣言した。

 本人は「木村沙織2世」と呼ばれることに「特に意識はしていません」と受け流すが、もちろん、これまでテレビで見て憧れの選手ではあったという。一緒のコートでやってみて「細かいところの処理がすごいということが改めてわかりました」

 木村は「紗理那は紗理那なので、私2世と言われて、かわいそうだなと思いますけど、若手なのにいろんなプレーがしっかりしていて、頼りになる存在ですね。一緒にレセプションをする選手ですし、コートの外でもなるべくコミュニケーションをとるようにしています」とコメント。実際に"ヒロインインタビュー"を受けている古賀をバボちゃん人形で隣から突いたり、ミックスゾーンでも取材を受ける古賀を、パネルの陰から何度ものぞき込んでいじったり、仲むつまじい様子がうかがえた。

 古賀が思った以上に"使える"ことがわかったのはよかったが、もちろん主将の木村の復活も"3連勝"の必要条件となる。大会前には、ロングヘアをばっさりと切って周囲を驚かせた。「みんなが思った以上のリアクションをしてくれて満足です。そういえば、髪を切ったおかげでスッキリして身体が軽いかも?」。その言葉通りか、難敵ロシア戦(8月23日、2−3で敗戦)では体重を乗せたスパイクでコースを打ち分けて連続得点するなど、ロンドン五輪の頃のプレーが復活しつつある。なかなか調子が上がらず苦しんだワールドグランプリでは、ラリー中にスパイクを打つ助走を、早く入りすぎてベストの体勢で打てていなかったのを修正したのが功を奏した。

 残り3戦、ランキング23位のアルジェリアにはほぼ勝ち点3を見込めるが、同1位のアメリカ、同3位の中国との対戦では、木村と古賀の両エースがフル回転して初めて勝機が見えてくるだろう。今大会でアメリカも中国も1敗ずつしており、つけ込む隙は十分にある。9月1日に21歳の誕生日を迎えたセッター宮下遥(岡山)の「死んでもいいと思ってやる」の言葉通りに食らいついていきたい。第9戦は4日、舞台を名古屋に移して行なわれ、日本はアルジェリアと対戦する。

中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari