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「グローバル人材」を教育する上で絶対に必要な条件の一つは「英語」である。企業内で社員の英語教育を行うには、どのように進めていけばよいのだろうか。オンライン英会話サービスを提供するレアジョブ代表取締役社長の中村岳氏へ取材した。

○日本の英会話力

――御社は「日本人1,000万人を英語が話せるようにする」というミッションを掲げていますが、現状で話せる人はどの程度いるのでしょうか?

感覚値となりますが「英語が話せる人」は、2、300万人にとどまっていると思います。1990年代まで日本は韓国と同じくらいの英語力でしたが、金融危機があってから、韓国の英語教育はがらっと変わりました。これからは海外進出が不可欠だと、国を挙げて英語教育に力を入れ始めたのです。その結果、2014年度のTOEICの点数を比較すると、日本は平均512点、韓国は平均632点と大きな差が出ています。また、海外で生活している韓国人は、日本人の3倍とも言われています。

――韓国では、切実なビジネスニーズから英会話力の強化が行われたわけですね。英会話力の有無によって、どれくらいビジネスに影響してくるものなのでしょうか?

海外展開をしたい、しなきゃいけないという企業ニーズは多くあります。けれども、英会話ができないと、そこで二の足を踏んでしまいます。また、海外出張をする際にも、常に通訳の方に同行してもらわないといけないとなると、通訳の方の人件費や交通費などコストが発生しますし、急な出張には対応できません。海外企業からすると、英語でコミュニケーションが取れない企業とは、積極的に取引したいと思いませんよね。英会話ができるかどうかで、ビジネスの幅に大きな差が生まれてきます。

――今の日本企業は、社員の英語教育をどのように考えているのでしょうか?

企業規模にかかわらず、経営者の方々は、社員が英語をできるようにしなくてはならないと考えています。海外展開をする場合、自社のビジネスが分かっていて、現地の人とやり取りができるという2つのスキルが必要ですから、他人に任せることがなかなかできません。また、社内の英語力を上げることは外国人採用につながりますので、人事戦略としても重要視されています。

○英会話をビジネスに活かす秘訣

――「英語学習にチャレンジしたけどあきらめた」という人は多いように思うのですが、ビジネス英語を習得する上での秘訣はありますか?

学ぶ目的を設定することが重要です。英語をどう使いたいのか、きちんと目的を設定して、そこに向かっていくことをコミットすることです。この時、よくある間違いは、「英語がペラペラになる」「映画が字幕無しで楽しめる」「ネイティブと同じようにカッコよく話せる」ことを目指してしまうことです。これは相当難しいことです。このレベルを10とすると、「英語で相手と問題無く仕事ができる」レベルは3くらいです。

――これは驚きました。そんなにも違うのですか。

仕事上でのコミュニケーションの方が全然楽なんです。それに、ビジネスシーンでは必ずしもネイティブと話すわけではなく、アジアを含めてさまざまな国の人とやりとりするわけです。自分の言いたいことが伝わって、相手の言いたいことが理解できれば、発音や文法が多少おかしくても問題ありません。理解できなかった時に確認することができれば、英語力がそこまで高くなくても商談はできますし、仕事上の目的を達成することができます。「カタコトでもちゃんと仕事ができる」ことを目標に設定すれば、目に見えて効果が出ると思います。

○レアジョブの特徴

――御社のオンライン英会話サービスは、どのような業種で多く利用されているのでしょうか?

ここ数年はサービス業、特にホテルやアパレルといったインバウンド業態の企業さまが増えています。あるアパレル企業さまからは、外国人のお客さまを接客できるようになったことで、売上が上がったという事例を伺いました。もちろん、その他にも製造業やIT、観光から、「日本人選手をリオ五輪に連れていきたい」というボクシングのトレーナーの方まで、さまざまな業種でご利用いただいています。

――法人向けの英会話サービスにはどのような特徴がありますか?

法人向けサービスでは、ビジネスに特化した講師・教材を用意しています。講師はビジネス経験がある者を選抜していますし、ビジネスに直結するような言い回し、例えば「最初に結論を言ってから理由を3つ付ける」というパターンを学んでいきます。時間帯は朝6時から深夜1時まで、使いやすい時間を選んでご予約いただけます。企業さまの中には「夜6時から従業員全員がレッスンを受ける」という環境をつくってらっしゃるところもあります。

――社員が英会話のレッスンを受けて、どの程度上達したかという測定はできるのでしょうか?

見える化のためにスピーキングテストを行っています。最初に英会話力を測定し、それに合ったカリキュラムを受けていただいて、3カ月後、6カ月後にまたスピーキングテストを実施しますので、どれだけ効果が上がっているのか、人事担当者の方にきちんと把握してもらうことができます。きちんと受講していれば、必ず効果が出ます。

○レアジョブの今後の展開

――御社の今後の展開について教えていただけますか?

「日本人1,000万人を英語が話せるようにする」ために、コンシューマー向け、法人向け、学生向けのそれぞれにサービスを強化していきます。法人向けでは、7月に三井物産と資本・業務提携し、より多くの企業さまの英語力を伸ばすために、『従業員の「英会話力」見える化プロジェクト』を実施しています。これは、無料でスピーキングテストを100社に提供するプロジェクトで、従業員の英会話力を測ることで、今後の人事戦略の材料にしていただければと考えています。

海外に出るとさまざまな文化に出会うことができ、それらをミックスすることで新しいものが生みだせると個人的には感じています。最初は大変かもしれませんが、世界中で日本人が活躍して、多種多様な文化が混ざり合って、新しいことが起こる、そういった社会になるように取り組んでいきたいと思います。

(瀬戸義章)