朝ドラ「まれ」(NHK 月〜土 朝8時〜)9月2日(水)放送。第23週「いっぱい失敗タルトタタン」第135話より。脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出:渡辺一貴


135話は、こんな話


希のケーキのファンでお店の常連客・沢沙耶(飯豊まりえ)が、希(土屋太鳳)に弟子入りしたいと言ってきた。彼女はもともと大悟(小日向文世)のケーキのファンで、その弟子・希に憧れを抱いている。後輩ができた希だったが、子どもたちからは「世界一のパティシエにはいつなるのか」とつっこまれ、答につまる。

今日の、つっこ「まれ」


「(世界一のパティシエなるということにたいして)ふつう言いませんよね、こんな恥ずかしい事」(沙耶)なんて悪気なく言われてしまったうえに、
歩実(横山芽生)に「いつなるが、世界一?」「だってお母さんもう大人やろいつなるの?」と聞かれてしまいます。
希「いつねんろ?」
みんな シーン・・・
子供たちは希に容赦ない視線を浴びせ、大人たちは目を逸らす。
でっかい夢を掲げながら、回り道ばかりしてゴールに邁進しない希が、いよいよ結果を出さないとならない状況に追い込まれそうです。

今日の、教訓


希が子供たちに追求される場面は痛快でしたが、135話で、一番刺さったのは、圭太(山崎賢人)の十八番「漆は嘘をつく」話です。
16話に初登場して以来、おりにつけ語られている圭太の信条で、上から綺麗に塗ってしまえば中はわからない。中身を手抜きしていても騙そうと思ったら騙せる。だからこそよけいに騙したら駄目なのだ、というものです。
これを聞いて、オリンピックのエンブレム問題が思い浮かびました。
既存のデザインのパクリだとか、プレゼン用の資料作成のために、無断でネットから写真を使用したとか、いろいろな事情が重なって、使用中止になってしまいましたね。パクリなのかオマージュなのかたまたま似てしまっただけなのか真相はわかりませんが、無断で写真を使用して著作権者のクレジットを消していた事実については責められても仕方ないようです。
その件に関して、圭太が苦言を呈したかのようにも思える、絶妙なタイミングでの「漆」話でした。
こんな感じ?
「何べんも何べんも、素材をちゃ重ねていくがや本物やけど。手抜きしてとりあえず上からきれいに修正してしもうたら、パッと見は分からん。だまそう思たらだませるげ。ほやからこそ、だましたら駄目ねん。見えんでも嘘ちゃついたら駄目や。ほれがデザインや。」(お断り:16話の弥太郎の台詞をベースにしました)

元の台詞の確認のために16話をオンデマンドで見返すと、この頃、希がロールケーキコンテストで始めて大悟に出会っていて、希にとっても、漆の魅力に取り憑かれた理由を始めて熱く語った圭太にとっても、共に夢のはじまりが描かれていたのです。
時を経て、希の夢の再認識、大悟が結びつけてくれた沙耶との出会い、圭太の漆愛を子供たちに伝える・・・とみごとに16話で芽生えたものが育って2015年に繋がっているかのようです。
ついでに圭太は、昔、つきあってた頃、一子(清水富美加)にあげようとした箸置きを歩実にみつけられて焦ります。なぜ今更、とっくに終わったはずの過去の恋愛を蒸し返すようなエピソードが出てくるのか謎ですが、希に、箸置きのいきさつを曖昧にする圭太に、上塗りして騙しちゃ駄目ですよ〜と言ってさしあげたい。
(木俣冬)
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いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))