臨機応変な対応をポイントに挙げる長谷部は、アンカーとして先発が予想される。シンガポール戦と同じ展開には持ち込みたくないところだ。写真:徳原隆元

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 ワールドカップ・アジア2次予選のシンガポール戦に引き分け、東アジアカップでは未勝利で最下位フィニッシュ。ここ4試合で勝利がない状況に、ハリルホジッチ監督は「私自身、経験のないこと」と頭を振る。今の日本代表には、間違いなく逆風が吹いている。

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 そんな風を真っ向から受け止めるように、長谷部誠は練習冒頭のランニングで黙々と先頭を走っていた。その引き締まった表情からは、強い責任感が感じられる。
 
「ここ最近は勝てていないので、自分たちの状況は選手みんなが理解している。だから明日の試合は勝利、そして観てくれる人になにかを感じてもらえるものにしなくてはいけない」
 
 とはいえ、特別な気負いはない。「どういう勝ち方をすれば周りが納得してくれるかは分からない。でも、まずはもう一度自分たちの自信を取り戻すことが大事だと思っている」と語る経験豊富なボランチは、カンボジア戦をやはり平常心で迎えるだろう。
 
 自身の課題としては、「ゴール前への怖さ」を挙げた。ハリルホジッチ監督からは、「シュートを打つことに関しては、しつこく言われている」。だからこそ、「代表の試合に限らず、最近は特に意識している」という。
 
「周りに良い状態の選手がいればパスを選択してしまいがちだけど、打てば相手に当たって入るかもしれない。そこはバランスを考えてやりたいと思います」
 
 バランスを考えて――。そう長谷部が語るように、カンボジア戦のもうひとつのキーワードが「臨機応変さ」だ。
 
「シンガポール戦では臨機応変さを発揮できなかった。そこは自分を含め、経験がある選手がやらなければいけないところ。だから責任を感じている」と長谷部は唇を噛み、次のように続けた。
 
「そこからいろいろ考えて、いろんな選手と話をして。引いてくる相手に対しては、縦に速い攻撃よりも、前からプレッシャーをかけてボールを取られたらすぐ取り返すのも大事になる」
 
 指揮官の意図するサッカーをピッチで表現しながら、状況に応じてチームを正しい方向に修正していく。そのための経験や戦術理解力でも、長谷部の代わりとなる男は見当たらない。
 
 カンボジア戦では、アンカーもしくは山口との2ボランチでの先発が予想される。きっと長谷部の舵取りが、乱れかけた日本の針路を正してくれるはずだ。
 
取材・文:増山直樹(サッカーダイジェスト編集部)