NASA、ハワイで火星滞在の模擬実験開始。有人探査に向け1年の引きこもり生活

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NASA がハワイ・マウナロア火山の北側斜面に設置した火星模擬体験施設 HI-SEAS で、4度目の隔絶実験が始まりました。今回の実験期間は1年間。今回は20〜30代の6人のクルーが参加します。
 

 
 メンバーが生活するのは、大きな白いドームが目立つ施設 Hawaii Space Exploration Analog and Simulation (HI-SEAS)。施設内部には折りたたみベッドと事務作業用スペースが備え付けられた(決して広くはない)個室が用意され、その他は共有スペースでの生活となります。

実験期間中は完全に火星での生活をシミュレーションするため、食料はツナの缶詰やフリーズドライ食品、粉チーズといった保存食で提供。シャワーは利用可能な日が制限され、1回につき数分しか時間が与えられません。

屋外活動(EVA)の際は宇宙服を着用が義務付けられます。さらに外界とのコミュニケーションには火星環境と地球の間の電波到達時間を想定した「時差」を付け加えます。
 

 
2013年の HI-SEAS 、2014年の HI-SEAS II は4か月、2014年秋から2015年にかけての HI-SEAS III では8か月、そして今回の HI-SEAS IV では1年間と、回を重ねるごとに期間を延ばしています。

実験の目的は、長期間におよぶ隔絶生活がクルーの心身におよぼす影響や、プライバシーを制限される共同生活がで起こりうる問題を知るため。前回のHI-SEAS IIIではクルーの間で若干の問題が発生しはしたものの、プロジェクトそのものは滞りなく終了しています。

HI-SEAS プロジェクトの主任研究員キム・ビンステッド氏は、前回の実験では「どんなに訓練を積んだ有能な人間であっても対人的な問題は起こりえる」ことがわかったとし、「うまく問題を解きほぐし、和解に導くことでクルー全体のパフォーマンスを維持できるはず」としています。
 

個室のようす
 
ちなみに、HI-SEAS 以外でも火星滞在をシミュレーションする実験は行われています。たとえば2010〜2011年の MARS500 は欧州宇宙機関(ESA)とロシアによる520日もの長期ミッション。ただこちらは地球を出発して火星に到達し、30日間の滞在を経てふたたび地球へ戻るというストーリーに則って実施されました。

一方、ISS ではスコット・ケリー飛行士がロシアのミハイル・コルニエンコ飛行士とともに1年間の滞在ミッションを遂行中。通常、ISS クルーの滞在期間は6か月ですが、月や火星への有人探査のために、無重力下の長期滞在がおよぼす身体的な影響を調査しています。