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■お金持ちは人並み以上に時間に気を使う

人に与えられた「1日24時間」は誰でも同じ。だが、その使い方は人によってマチマチで、それが収入にもかなり影響しているはずだ。果たしてお金に困ることのない富裕層は、一般の人と時間の過ごし方がどう違っているのだろう。独特な時間術が巨万の富を築く秘密になっているかもしれない。

そこで、ふだんお金持ちと接し、その習慣に詳しい2人に、富豪の時間術を教えてもらおう。

1人目はプライベートFPの先駆け、中桐啓貴氏だ。山一証券とメリルリンチ日本証券で富裕層向けのファイナンシャルコンサルタントを経験し、現在はプライベートFP事務所であるガイアの代表取締役。日々、富裕層から資産運用の相談を受けている。

「お金持ちは、人並み以上に時間に気を使う人たち」というのが中桐氏の富豪観だ。中桐氏には年収5000万円以上、現役バリバリの日本の富豪の時間術を披露してもらう。

2人目は大富豪専門の執事、新井直之氏。新井氏は日本バトラー&コンシェルジュの代表取締役社長。顧客は総資産50億円以上の富裕層でもトップクラスの人たちだ。海外の顧客も多く、なかには世界の長者番付に顔を出す資産数兆円という大富豪もいる。

著書『執事だけが知っている世界の大富豪58の習慣』で、「大富豪の方々は総じて『一番欲しいのはお金で買えない時間だ』と言います」と明かしていることからも、お金持ちにとって時間がどれだけ貴重なものかわかる。365日24時間、彼らに“お仕えする”執事しか知りえない、総資産50億円以上を有する国内外の大富豪の時間術を聞こう。

中桐氏と新井氏、2人の立場や、相手にする富豪のカテゴリーは違えども、お金持ちには共通する時間習慣があるようだ。

まず早寝早起きであること。新井氏が「朝4時か5時には起きる方も少なくありませんね。起きてすぐ、海外の株価の動きをチェックしている人もいます」と言えば、中桐氏も「5時には起きていて、経営者なら社員が会社に来る前に出勤する人も多いです」と富豪が早起きであることに太鼓判を押す。

ちなみに富豪はほとんど通勤時間がないのはうらやましいところだ。オフィスの近くに自宅があるか、平日の仕事用にマンションを持っているので30分を超えることはなく、10分、15分という人もたくさんいる。ときには「ご自分の会社が入っているビルの上階のレジデンスにお住まいの方もいらっしゃいます」(新井氏)と、通勤時間0分という人や、会社を自宅の近くに移転させてくる大富豪もいるという。

ところで朝早く起きるのは寝るのも早いということ。お金持ちならさぞ深夜まで銀座や赤坂、六本木などで好きなだけおいしいものを飲み食いしているのだろうと思われがちだが、意外にも深酒することはなく、たいていは1次会で切り上げる。

「どんなに飲んでも夜11時ころには帰宅されます」(新井氏)というのが実態だ。宴席がなければ「残業することもなく」(中桐氏)、遅くても9時までには帰宅し、10時か11時に寝てしまう、というのが富豪の習慣のようだ。

朝食にあまり時間をかけないところも、大富豪に共通するところ。というか、食べるものがとてもシンプルなので時間がかからない。「フルーツをちょっとつまむくらい」(新井氏)、「最近はやりのスムージーで済ませる方が多いですね」(中桐氏)と語るように、朝からソーセージやハンバーグなどをガッツリ食べる富豪はいない。

朝食を簡単に済ませるのは体へのいたわりを感じさせるが、そのほかのことに関しても健康に対して非常に気を使い、時間もお金も使うのが富豪の特徴だ。夜早めに帰るのも、せっせと会員制ジムに通ったり、朝起きたらストレッチをする人が多いのも、体を健康に保つため。中桐氏も新井氏も「健康にかけるおカネに糸目はつけない」という。

■ネットはもちろん、テレビ、新聞も信用しない

情報の取り方にも、共通項があるようだ。一般の人のようにパソコンやスマホをいじってネットサーフィンすることもなく、匿名のネット情報はもちろん、フェイスブック、ラインから情報を得ようともしない。それどころか、テレビや新聞の情報も信用しないのが大富豪。

情報に対する慎重さは、「情報は何かしら意図があって流されることをご存じですから、必ず当事者や話題になった会社の関係者にアポを取り、ニュースソースに近づこうとされます」(新井氏)、「自分が、この人は信頼できると考えている人から出てくる情報しか信じません」(中桐氏)と、相当なものだ。

2人の話から、早寝早起きで、朝食はごく簡素なものを食べ、健康に人一倍気を使うので深酒はしないし、健康によいとなれば時間とお金には糸目をつけないといった富豪のリアルな全体像が見えてくる。

(伊田欣司、大下明文=構成 PIXTA=写真)