UFC日本大会のメインイベントで、ジョシュ・バーネットは強豪ロイ・ネルソンを迎え撃つ

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9月27日(日)にさいたまスーパーアリーナで開催される『UFC JAPAN 2015』のメインイベントに登場する“蒼い瞳のケンシロウ”ことジョシュ・バーネットに国際電話でロングインタビュー! 

後編では、かつてPRIDEで激闘を繰り広げたライバルたちへの思いまで語った!前編「UFC日本大会ではバックドロップで一本勝ちするよ!」)

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―五味隆典(たかのり)選手(元PRIDE王者)や山本“KID”徳郁(のりふみ)選手(元HERO’S王者)は今、UFCで苦戦しています。彼らは、全盛期には世界の頂点にいたと思いますか?

ジョシュ う〜ん…判断するのが難しいね。五味もKIDも、とてもタフな選手だと思う。だが、彼らにヘッドコーチがついてたら、もっともっと力を発揮できたはずだと思う。

特にKIDはね。「キミは素晴らしいアスリートだ。だけど、こことここを、こう変えるともっとよくなるぞ」と細かいところを修正し、練習全体を見てくれるコーチがいたなら、もっとすごい選手になったはずだ。彼は一時、総合格闘技を離れレスリングに再挑戦し五輪を目指したが、ケガをしてしまった…それは悪い選択だったとは思わないけどね。

―五味選手も36歳になり、ここ2戦で連続1ラウンドKO負けを喫してしまいました。彼はまだ再浮上できると思いますか?

ジョシュ わからない。五味はすでにできることを全てやり尽くしたかな、という気はする。でも、僕には彼の心の中まではわからない。それを決めるのは彼自身だ。

―あなた自身は今37歳ですが、世界のトップレベルで闘い続けられている秘密は?

ジョシュ 賢い練習の仕方をしてるからだろうね。エリック・パーソン(元修斗王者)という、いいヘッドコーチについて。様々な技術練習に力を入れているし。それを試合で生かせるようにスタミナトレーニングも欠かさない。

僕は技術の高い選手になろうとして長年、努力してきた。単に肉体の強さだけで闘う選手ではなくてね。身体能力に頼って闘っていると、ケガをしてすり減っていく。そうすれば身体能力も落ち、弱くなってしまう。現在の総合格闘技ではそういう選手をたくさん見ることができるだろう?

―PRIDEであなたのライバルだった“柔術マジシャン”アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(元PRIDEヘビー級王者、元UFCヘビー級暫定王者。39歳)も最近ではキャリア初の3連敗を喫し、デイナ・ホワイトUFC社長から引退勧告を受けました。ノゲイラについては、どんな思いがありますか?

ジョシュ 僕はノゲイラと3度目の試合をしたいとずっと思ってたんだよ。初戦(06年9月)では2−1のスプリット判定で勝ち、再戦(06年大晦日)では0−3の判定で敗れたけど、初戦は僕が2−1じゃなく3−0で勝ってたと思うし、再戦が0−3で僕の負けだなんて思えない。だから彼と3度目の闘いをして、僕の方が上だということをハッキリ証明したかったんだ。

だけど、ここ数戦の彼の様子を見ていて、彼は引退すべきだと思った。もう昔のノゲイラじゃない。すごく打たれ弱くなったし、スピードも遅くなったからボロボロにやられる。

彼は自分の打たれ強さに頼って闘いすぎた。いつも逆転勝ちしてきたが、そのツケが回ってきたんだ。もうお終いだよ。もし「ノゲイラと対戦してくれ」というオファーが来たとしても、僕は受けるかどうかわからない。今の彼と闘うなんて正しいことじゃないと思う。

―もしノゲイラが引退するなら、何か伝えたい言葉はありますか?

ジョシュ もしキミが選手を引退しても、それで人生が終わるわけじゃない。人生でキミにできることは、まだまだたくさんある。どんな選手でもいつかは引退せざるをえないんだ。その時が来たら、試合以外の人生の目的を見つけてほしい。

―PRIDE時代のもう1人のライバルだったミルコ・クロコップは4月のUFC復帰戦を勝利で飾りました。「ミルコは前以上に強くなった」という声もありますが、いかがですか?

ジョシュ 数年前に比べてずっと良くなったね。石井慧との再戦(昨年大晦日のIGF王座防衛戦。ハイキックとパンチで2ラウンドTKO勝ち)もよかったし。一度は引退を宣言した時期もあったけど、自分の中にまだ燃えるものを感じて戻ってきたんだろう。そして結果を出してるんだ。

―あなたはPRIDEでミルコと3度闘いました(ミルコの3勝0敗)。4度目の闘いをしたいと思いますか?

ジョシュ ああ、やりたいよ。だがミルコにとって僕ともう一度闘うメリットはないから、受けないだろうな。それを非難することはできないよ。

―“ロシアン・ラスト・エンペラー”ことエメリヤーエンコ・ヒョードルが年内に復帰したいと言ってますね。

ジョシュ もしヒョードルが自分で闘えると思うならやるべきだ。キャリアの終わりのほうでヒョードルが連敗したのは、モチベーションが落ちていて練習に打ち込めなかったからだと思う。再び闘志が湧いてきたんなら、やるべきだと思うね。

―ヒョードルはかつて敗れたファブリシオ・ヴェウドゥム(現UFCヘビー級王者)と再戦したいと言ってます。ヒョードルはヴェウドゥムに勝てると思いますか?

ジョシュ ヒョードルなら勝てると思うよ。ただその前に、試合勘を取り戻すために、まず誰かほかの選手と調整試合をやった方がいいと思うね。

―あなたはヒョードルと同じ時期にPRIDEで活躍していましたが、彼とは闘ったことがないですね。ヒョードルと闘いたいですか?

ジョシュ うん、もちろんだとも! 僕たちはプロだし、友情とは関係なく闘う時は闘うよ。

―実現したら日本のファンも大興奮でしょうね!

ジョシュ 日本だけじゃなく世界中が注目すると思うよ。でも、その試合が実現するならば、日本でやるのがベストだと思うね。

―今、日本の格闘技人気は下火ですが、また盛り上がると思いますか?

ジョシュ 何とも言えないね。いい試合も多いし、いい選手もいるけど、どうやってファンを再び増やせばいいか…だけど、今回の『ROAD TO UFC JAPAN』のように僕たちがいい仕事をして、『UFC JAPAN』で僕とロイが素晴らしい試合を見せていけば、変えていけるんじゃないかな。

*『ROAD TO UFC JAPAN』=8人の日本人格闘家がUFC出場を目指す登竜門番組。ジョシュ・バーネットチームとロイ・ネルソンチームに別れ、勝ち残ったふたりが9月27日の日本大会で決勝戦を行なう。テレビ東京で月曜深夜1時から放送中

―この番組を見ている人から、あなたは非常にいいコーチだし、教え方がうまく、選手に対する接し方も優しく思いやりに満ちているので「こんな先生が学校にいてほしかった」と言われていますよ。

ジョシュ ホントかい? それはすごく嬉しいね! 日本の視聴者の反応がどうなのか、あまり聞いてなかったから。でも、僕のチームの選手はみんな、自分にできる最大限の努力をしてみせてくれた。練習や減量に十分時間がない時もあったけど、僕は彼らに自信を持たせ、精神的に強くさせることを心掛けていたんだ。そうすれば最高のパフォーマンスが出せるからね。

それで試合に負けたとしても、全力を尽くしたならば、僕はその選手につらく当たることなどできない。ただ、「努力は素晴らしかった。だけど少し改善すべき部分があるね。そこを直して努力を続けよう。そうすれば成功できるよ!」と伝えたんだ。

―そういう教え方こそ、スポーツだけでなく、勉強においても仕事においても人の才能を伸ばしていい結果を出すことに通じるものだと思います。ありがとうございました! 9月27日の試合、素晴らしい試合を期待しています!

ジョシュ こちらこそ、ありがとう! あと、これは是非書いておいてほしいんだけど、10月4日には僕の弟子がふたり、パンクラスのディファ有明大会で試合するんだ。ビクター・ヘンリー(バンタム級)とコリーン・シュナイダー(女子バンタム級)さ。彼らのことも、ぜひ応援してやってくれ!

■ジョシュ・バーネット

1977年生まれ、米国ワシントン州シアトル出身。レスリング、柔道、ムエタイを学び18歳でプロデビュー。2002年、史上最年少でUFC世界ヘビー級王座を奪取。03年には無差別級キング・オブ・パンクラシストとなり、04年からPRIDEに参戦し『PRIDE無差別級GP2006』で準優勝。13年、UFCに復帰しヘビー級トップ戦線で活躍中

■『UFC JAPAN 2015』

9月27日(日)/さいたまスーパーアリーナ/午前8:00開場、午前8:30オープニングファイト開始予定

●WOWOWで午前8:30から全試合生中継予定(対戦カードなど詳細はHPにて)

(取材・文/稲垣 收 撮影/長尾 迪)