新聞やニュースなどで見かけることが多くなった「ジュニアNISA(「じゅにあにーさ」と読む)」。2016年4月開始の未成年者向け税金制度である。「金融商品の取引で税金が免除される制度でしょ」とか「高齢者が持つお金を若年者に流して資産の偏りを解消させる制度だろう」と、なんとなく理解している人は少なくないはずだ。今回は、そんな「ジュニアNISA」について、ビジネスパーソンとして最低限知っておくべき制度の概要や注意点を紹介する。

■投資に対する税金が非課税となる「NISA」がベース

 まずは、ジュニアNISAの元になっている「NISA(「にーさ」と読む)」の概要を整理しよう。
 そもそもNISAとは、「株式や投資信託の取引で得られる利益や、これらを保有しているともらえる配当金・分配金に対してかかる税金が非課税(0%)になる」という制度だ。2014年1月から適用されており、非課税となる株式や投資信託の購入可能金額は、年あたり100万円である。この金額のことを非課税枠という。2016年から、非課税枠が20万円増えて、年あたり120万円となる。非課税となる対象期間は5年間と定められているので、1年目は100万円、2年目に100万円増えて、合わせて200万円。3年目にまた100万円増えて、合わせて300万円分…と5年間非課税枠が積み上げられていく。

 例えば、2016年にNISAを利用し始めたとすると、2020年までの5年間で、120万円/年×5年=600万円の投資に対する税金が非課税になる。5年経過後、NISAで投資した株式や投資信託を保有したままであるときは、税金のかかる方の口座に移管したり、次の5年間で使える非課税枠に引き継いだりできる。引き継ぐことを「ロールオーバー」という。また、利用できる金融機関は1金融機関だけに限られ、1年ごとに金融機関の変更ができる。

NISAのイメージ図。
NISAのイメージ図。非課税枠は100万円ずつ増えていくが、前年以前の枠を使うことはできない。また、5年経過後、未売却の株式や投資信託を保有している場合は、次の対象期間の非課税枠内に組み入れることもできる。

■キーワードは「80万円×5年間」と「18歳まで払出不可」

 では、本題に入ろう。ジュニアNISAの概要と、比較のためのNISAの概要を以下に表でまとめた。

ジュニアNISAとNISAの概要。
ジュニアNISAとNISAの概要。

 ジュニアNISAの概要を理解するには、NISAと比較するのが手っ取り早い。したがって、ジュニアNISAとNISAの異なる点を整理しよう。異なる点は、(1)1年あたりの非課税枠と、(2)払出制限の2つである。順に解説する。

(1)1年あたりの非課税枠
NISAの場合は、120万円(2015年までは、100万円)。ジュニアNISAの場合は、80万円と、40万円の差がある。対象期間は、どちらも5年間なので、NISAでは、600万円、ジュニアNISAでは、400万円まで積み上げられる。もちろん、ジュニアNISAも1人1金融機関でしか利用できない。

(2)払出制限
ジュニアNISAには、子どもの進学や就職のための資金を準備する目的がある。したがって、18歳になるまで、払い出しができない制限がかけられている。正確にいうと、「3月31日時点で、18歳となる年の1月1日以降でないと、払い出しできない」もっと簡単に言えば、「普通に子どもが進級・進学していった場合で、高校3年生となって卒業式をする年の1月1日まで払い出しできない。」ということになる。ちなみに、払い出し可能になるまでに発生する分配金や、株式売却後のお金を管理しておく口座を「払出制限付課税口座」という。

どうしてもというなら、払い出しも可能だが、それまでに得た利益などに対して課税されることになる。

 他には、5年の対象期間が終了するまで、利用金融機関の変更ができない、投資運用は、父母などの親権者が代理でできるなどの違いがあるが、まずは、大きな2つの点を理解しておこう。

ジュニアNISAの説明イメージ図。
ジュニアNISAの説明イメージ図。金融庁ホームページに掲載のリーフレット「平成28年からジュニアNISAが始まります!」より引用。払出制限や非課税枠の説明などがわかりやすい。

■贈与税とジュニアNISAを始める年齢の2つが注意点

 さて、ジュニアNISAの概要が何となくでも頭に入っただろうか。では、続いて注意点を整理しよう。注意点は、(1)贈与税の基礎控除110万円、(2)若すぎるジュニアNISAは資金凍結と同じの2つである。順に解説する。

(1)贈与税の基礎控除110万円
ジュニアNISAでの投資の元になるお金を、父母や祖父母が子どもに贈与する場合、ジュニアNISA以外での贈与がないか確認が必要だ。ジュニアの上限である80万円であれば、非課税となるが、その他の贈与を合わせて110万円を超えるようなら、贈与税の支払いが必要になる。

(2)若すぎるジュニアNISAは資金凍結と同じ
この注意ポイントは、「ジュニアNISAの場合は、18歳になるまでに払い出しができない」の裏だ。もし、5歳の子どもがジュニアNISAを始めたとすれば、18歳になるまでの13年間、払い出しができない。もし、18歳になるまでに払い出しすると、過去の取引に対して、課税されることになるので、ジュニアNISAを利用するメリットが無くなってしまう。したがって、18歳になるまで、ジュニアNISAの口座に資金を入れておかなければならない。いわば資金凍結ということになる。

 以上が、ジュニアNISAの概要と注意点である。2016年4月の開始に先立ち、2016年1月から証券会社などの金融機関で申し込み受付が始まるが、5年間金融機関が変えられないので、各金融機関とも、口座獲得キャンペーンが必至だ。

0-001_キャッチ用

文/久我吉史