居酒屋・山州屋の店内。オジサンとデスクは焼酎のオンザ・ロックを片手に談論風発。話題は、郵政民営化からペイオフに移っていった。

「ペイオフ」って、何?

オジサン ところで、4月から「ペイオフ解禁」って新聞が騒いでいるけど、チョットいろいろ教えてくれるかい?
デスク いいですよ。知っている範囲内のことなら、ですけど。
 要するに、お金を預けている金融機関が破綻したら、預金のうち1000万円とその利息分だけしか保護されなくなるっていうんだろ?
 まぁ、そうですね。
 頭のなかを整理するために聞きたいんだけど、なんで「ペイオフ『解禁』」なの?
 まず、「ペイオフ」(払い戻し)というのは、金融機関が破綻した場合に、預金保険機構が一定額を預金者に「払い戻す」というシステムなんです。
 預金そのものが保護されるわけではないってことね。
 そうです。
 破綻した金融機関は?
 消滅します。だから、金融機関に代わって預金保険機構が「払い戻してくれる」わけです。
 そのために、金融機関が預金保険機構に保険料を支払ってるっていうこと?
 われわれが預金すると、自動的に保険に入ることになっているわけです。
 なるほど。金融機関が破綻しそうになっても、受け皿になってくれる金融機関が現れてくれればいいわけね。
 おっしゃるとおりです。
 でも、なんで、わざわざそんな「ペイオフ」なってシステムをつくったんだい?
 株や社債は、その会社が倒産したときには紙くず同然になってしまいます。一方、預金だけは、たとえ金融機関がつぶれても全額保護されることになっていました。「保護する」というのは、要するに、最終的には税金で面倒を見ますよ、ということで、だから、日本の金融資産に占める「預金」(と郵便局への「貯金」)の割合が大きかったわけです。でも、「預金」だけを特別扱いすると、税金で面倒見てくれるならいいや、ということで金融機関は緊張感に欠けた経営になる、そんなことをしてたら、外国の金融機関と勝負できない、特別扱いをやめようということになって、「ペイオフ」にしたんです。

なぜ、ペイオフ「解禁」なのか?

 ただ、預金している人間から見れば、ペイオフになると心配だからお金を引き出してしまおうか、なんてことになるんじゃないか?
 そうなんです。だから、金融機関が多額の不良債権をかかえてアップアップしているようなときに「ペイオフ」を実施するのは、とりあえずやめようということになって、2001年3月末までは、ペイオフを凍結して、預金の全額を保護するという特別措置を設け、さらにそれを1年延期するという措置をとったわけです。
 それは、いつごろの話なの?
 いまから10年ほど前の話です。実は、定期預金などについては、2002年4月からペイオフが解禁されているんです。そして、今年の4月1日からは、無利息・要求払い・決済サービスという3つの条件を満たさない預金については、全額保護されることはなくなるということになっているわけです。
 だから、「ペイオフ」「解禁」というわけね。
 そういうことです。決済性預金については全額保護されますが、利息がつく普通預金、定期預金、金銭信託などは、合算して元本1000万円までとその利息だけが保護の対象になるということです。
 なるほどね。
 いま思い出したんですが、八ヶ岳の麓でガラス工芸をやっている友人がいるんですが、彼の行きつけのある飲み屋に入ったところ、店の大将から、「ペイオフ解禁になるけど、どうしたらいいか」って、相談を受けたんです。小さな金融機関しかないので心配なんだろうけど、小汚い店だったし、そんなに金持ちにも見えなかったんですが、お金っていうのは、あるところにはあるもんなんですね。
 そうなんだろうね。
 で、先輩は「ペイオフ」を気にしなければならないほどたくさんの預金をもっているんですか?
 鋭い質問だなぁ。(笑)「そんな金あるはずがない!」といいたいところだが、オレもサラリーマンだったわけで、定年になったときにいくばくかの退職金がでた。株を買うのも面倒だし、ハイリスクの投資をする気はない。定期預金にしても大した金利もつかない。で、普通預金にしてあるんだ。
 金持ちなんですね。じゃー、もう一杯飲んでもいいですか?
 それが目的で、ヒトの預金の話を引き出したわけ?
 そんなわけじゃないんですが……。ボトル入れちゃいましょうか?
 オマエさん、酔ってくると際限がなくなるね。まぁ、いいか。オッケー。(つづく)