米エンタメ雑誌「ナショナル・ランプーン」の歴史に迫るドキュメンタリー映画が2015年春先から各地の映画祭に出展され話題を呼んでいる......といってもアメリカの話なのでピンと来ないでしょうが、実は同誌は70年代から映画・TV番組製作も行っています。

 コメディ、特に近代アメリカンバカ映画(主に大学を舞台にしたエロバカ映画)の父とも讃えられる同誌ですが、特に有名な1本が『ホリデーロード4000キロ』(1983)。のちに『ホーム・アローン』シリーズで成功するジョン・ヒューズが製作と脚本を、監督は『ゴーストバスターズ』シリーズの脚本&エゴン役で知られるハロルド・ライミスが務めています。

 計4作ある"グリズワルド一家シリーズ"の第1作で、「NR」掲載短編コミックの"家族旅行あるある"ネタがベース。
 チェビー・チェイス演じるポンコツな父親クラークが、シカゴからカリフォルニアの遊園地「ワリーワールド」までの家族旅行を計画。家族の反対を押し切り、ファミリーワゴン車での4000キロのドタバタあるある旅行が始まる!という内容です。

 1983年当時のあるあるネタとはいえ、高速道路の出口を間違えたり、観光地のご当地ヒーローにあやかった店員の再現度にガッカリするのは今でもありそうな話。
 そして、途中で親戚の家に寄ったら、高齢のエドナ叔母さんとその愛犬ディンキーを別の親戚の家に送り届けることを頼まれる、というこれまたあるある展開へ。

 ところが、先を急ぐクラークはディンキーを車の後部バンパーに繋げたまま発進。白バイ警官に止められ、その事実に気付く有り様(つまり昇天なされたワケですね)。
 さらに、走行中の車内でエドナ叔母さんの御臨終(老衰)が発覚! クラークは「遺体を親戚に取りに来させるか、いや宅急便でも呼ぶか」とぼやき、長男ラスティも「(死体を食う)ハゲタカの群れを探せば良いだけ」と追随するクズっぷり。

 結局、死後硬直した叔母さんを車の上部に荷物と一緒に載せて、留守宅の親戚の家に勝手に置いて行く、もはや"あるある"じゃなくて、完全に遺体遺棄事件展開なんだけども、物語は何事も無く進みます!

 老女に絡む不謹慎ネタは、お下劣路線の90年代〜00年前半のAttitude期のWWEでもありました。「セクシャル・チョコレート」なるジゴロギミックだったマーク・ヘンリーが、当時77歳の老女メイ・ヤング(元女子レスラー)を妊娠させるというストーリーがそれ。
 このストーリーが展開された際、ヘンリーの抗争相手によってテーブルの上に投げ捨てられたりしたほか、メイさんの"妊娠シーン"では「手」だけが生まれるという謎のオチとなり、WWE史上でも指折りの珍場面となりました(「手」の正体には諸説あり)。

 こう比べても本作の方がブラックな気がしますが、ドタバタ超展開ホームコメディの名匠ヒューズらしいツボを押さえた内容なので、同様の方向性の"アメリカのお下劣なサザエさん"『シンプソンズ』が楽しめるなら、本作もイケるハズ。
 『ハングオーバー』シリーズのエド・ヘルムズ主演の続編的リメイク版(※)でも本作からのセルフパロディが多数あるそうなので、予習の意味もかねて観るのも一興です。

(文/シングウヤスアキ)

※ 主人公は大人になった長男ラスティ。過去シリーズでの父クラーク役チェビー・チェイス、母エレン役ビヴァリー・ダンジェロは続投で、2015年7月末に米国公開予定。日本での配給が待たれます。