Doctors Me(ドクターズミー)- 【DNA Diet and Lifestyle】vol.12: 流行りの遺伝子検査サービス。それって本当?

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「○○になりやすい遺伝子」はある!

今までお話してきた通り、遺伝子は親から引き継いでいますので、

・親が太っていると太りやすい
・親が糖尿病だと糖尿病になりやすい

など、子どもは「なりやすい遺伝子」を受け継いでいる可能性があります。つまり子どももそうした病気になりやすい傾向があるのです。

どんな遺伝子が発見されている?

さて、これまで遺伝子は数々発見されています。

1. 肥満遺伝子
肥満に関連した遺伝子だけでもFTO、UCP1遺伝子など現時点で10種類以上わかっています[※1]。こうした遺伝子のタイプによって、どこに脂肪が付きやすいか、痩せやすいかどうかなどまで、ある程度決まっているのは事実です。

2. 糖尿病遺伝子
糖尿病に関連する遺伝子も以前から何種類も発見されています。2008年にも新たにKCNQ1報告されています。[※2]

3. 喘息遺伝子
喘息に関係する遺伝子など30種類以上も報告されています。[※3]

4. 時計遺伝子
体の1日のリズムは時計遺伝子によって大きく支配されています。以前から6種類知られており、2014年にも新たにchronoという遺伝子が報告されました。[※4]

その他にも記憶に関する遺伝子、リウマチ、花粉症、うつ、胆石、痛風、円形脱毛症など様々な遺伝子が見つかっており、一つの病気・状態に関する遺伝子も多数に渡ります。
このように遺伝子は多数報告されており、まだまだ解明されていないものも多くあります。しかも一つの事柄に一つの遺伝子が関わっているのではなく、多数の遺伝子が関わっているのです。

遺伝子検査の意義とは?

最近は日本やアメリカなど複数の企業が「遺伝子を調べて病気になる危険性を知ろう」という目的の?遺伝子検査をしています。遺伝子検査をした私の友人は「ガンよりも血管の病気になりやすいという結果だった」と話していました。

ところでアメリカでは2013年12月にFDA(米医薬食品局)が遺伝子検査を止めるように23 and Meという企業に勧告しています。この件に関しては、検査精度のみならず23 and MeとFDAの関係性や、23 and Meの検査キットや販売方法に法的問題があった可能性があるようですが…。

法的な問題はともかく、私はこうした検査はどの程度あてになるか、医学的には疑問が残ると考えます。
精度の問題もありますが、そもそも全ての遺伝子が分かっているわけでもなく、しかも、分かっている遺伝子の全てが検査されるわけでもないからです。
そもそも一つの遺伝子の変異だけで起きる一般的な病気は少ないですし、病気の直接の誘因となる「遺伝子の機能」は食事や生活によって簡単に良くも悪くも変化します。

遺伝子検査をしたいと思っている場合は、こうした現実をよく知っておくことが必須ですし、そもそも遺伝子を検査に一喜一憂するより、食事や生活をヒト本来のものにする方が有効であると思う今日この頃です。

〜医師:松本 明子〜

脚注

[※1] 東アジア人集団の肥満の個人差を左右する遺伝子を同定
肥満における遺伝子解析の臨床応用
[※2] 東アジア人の2型糖尿病発症に関わる遺伝子領域を8つ発見
2型糖尿病に関連する遺伝子「KCNQ1」を発見
[※3] アレルギー疾患の遺伝疫学研究の現状
[※4] 最後の時計遺伝子見つかる