国産豚肉よりも安い価格で販売されながら、そのおいしさはほとんど変わらないというカナダ産チルドポークが近年、年率2ケタ増で輸入量が増え続けている。カナダポークが国内に定着し、さらに販売量を増やしていることについてカナダポーク・インターナショナル日本事務所の日本マーケティングディレクター、野村昇司氏(写真)に聞いた。

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 国産豚肉よりも安い価格で販売されながら、そのおいしさはほとんど変わらないというカナダ産チルドポークが近年、年率2ケタ増で輸入量が増え続けている。カナダポークが国内に定着し、さらに販売量を増やしていることについてカナダポーク・インターナショナル日本事務所の日本マーケティングディレクター、野村昇司氏(写真)に聞いた。

――日本で消費される豚肉の約半分は輸入ポークで、約82万トンの輸入ポークの中で、スーパーなどで生肉として販売されているチルド(低温冷蔵)ポークの3〜4割はカナダポークが占めるそうですね。カナダ産チルドポークの輸入量は、近年は年々2ケタの伸び率で拡大を続け、2014年の実績では前年比16.2%増となり、輸入量は10万トンの大台を超えました。日本で、これほどカナダポークが消費される理由は?

 日本が輸入している豚肉は、生肉として流通するチルドポークと、加工用に輸入されているフローズン(冷凍)ポークに分けられます。トータルの輸入量はアメリカがトップで、カナダは2位です。

 カナダ産チルドポークが日本で好まれるのは、カナダでの豚肉生産が、日本と共通点が多いことが理由のひとつだと思います。日本の養豚家はおいしい豚肉作りに大変な努力をされていて、世界的にみても高い品質の豚肉を生産されていると思います。たとえば、「三元豚」という言葉を聞いたことがあると思いますが、日本ではランドレース種とヨークシャー種にデュロック種を掛け合わせた「三元豚」が主流ですが、この掛け合わせはカナダでも同じです。

 また、豚の飼料について、カナダは日本と同じように、コーンを主として麦を使っています。アメリカではコーンと大豆を主体に用いています。麦を使う事によって肉質が異なってきますので、カナダの豚肉はアメリカ産と比べて、日本により近い、おいしい豚肉になっていると思います。

 これは、豚の種類や飼料だけにとどまらず、肥育期間や出荷体制など、豚肉の生産から流通に至る過程で、カナダポークは日本の仕様を多く取り入れていることが特徴です。このようなカナダポークについての理解が、日本の豚肉流通業界で浸透してきた結果、年々カナダポークの輸入量が拡大するという現状につながっているのだと思います。

――カナダが日本向けの豚肉に、それほど気を遣っているのは何故ですか?

 そもそもカナダは、豚肉生産を重要な輸出産業として育成していることがあげられます。カナダの気候と広大な土地は、世界でもっとも養豚に適した環境のひとつといわれています。また、肥沃な土壌と気候は、質の高い飼料用穀物の生産にも適しています。カナダでは豚肉生産の65%は輸出されています。これは、生産の80%を国内で消費しているアメリカとは大きな違いです。

 そして、豚肉の輸出先として数量では加工用に大量供給しているアメリカ向けが1位で日本は2番目ですが、金額面では日本が1位になります。日本は、カナダにとって豚肉の輸出先として大変重要な国なのです。また、チルド状態で安心・安全に輸送できることを考えても、将来にわたって日本は主要な輸出先であり続けると考えられています。

――カナダポークの「おいしい」という部分について、なぜ「おいしい」といえるのでしょうか?

 日本の国産豚肉は、おいしいのです。ですから、日本の豚肉と同じように生産されているカナダの豚肉もおいしいといえるのですが、付け加えれば、カナダの雄大な土地を利用して伸び伸びと育てられている豚、そして、栄養豊かな十分な飼料で育てられている豚をチルド状態で届けていることがポイントだと思います。