Doctors Me(ドクターズミー)- 【育毛医療コラム】vol.4: 薄毛治療薬の定番、フィナステリド製剤は精子に影響する!?

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フィナステリド製剤とは

薄毛治療薬としてもっとも耳にすることが多いフィナステリド製剤。皮膚科やAGA専門病院で処方を受けたり、ネットで自身での入手が一般的になっています。しかし、そのリスクは正しく伝わっているでしょうか?

“薄毛や抜け毛はお医者さんにご相談ください“というAGAのテレビコマーシャルが2006年11月より開始されて以降、薄毛を治療するという考え方が定着しています。

「AGAは進行性であるため、髪の毛を増やすことのみでなく、抜け毛の進行を遅くし、現状を維持することも治療効果です。治療効果は抜け毛が減ったかどうかが目安となり、その判定には6ヵ月の治療が基本となります。」
という考えのもと、早期から根気よく治療する重要性が強調され、内服しはじめたらいかに長く内服をし続けるかがポイントとなる風潮があります。

薄毛はQOL疾患

昨年2013年、大阪大学大学院皮膚・毛髪再生医学教授 板見 智先生はフィナステリド製剤について以下のように発表しています。

●フィナステリド製剤は6カ月で効果が無ければ中止と添付文書に記載されているが、6カ月〜1年で満足度が上がる場合が多く、1年内服以後、3年間での有効率は80%と報告されている。

●現状維持効果は確実だが、著効例は20%以下で、中等度改善以上は40%程度であるため、過大な期待を抱かせることは禁物。

●内服を中止すると再び脱毛症は進行し始めるが、あくまで本人のQOL(quality of life:生活の質)を高めるのが目的であり、中止するかどうかは本人の自由意思である。

薄毛は病気ではなくQOL疾患である以上、一般的な病気と比較して軽視されやすい傾向があります。しかし本人の自由意思だからこそ、その安全性に対してもきちんと情報提供を受け、理解した上で使用する必要があります。

フィナステリド製剤は精子に影響を与える!

海外の不妊治療の中で、多くの男性がフィナステリド製剤を服用して症例が増加したことから、過去に知られていなかった問題が出てきています。

日本の研究でもフィナステリド製剤の服用により、精子の数の減少や精子のDNAにダメージを与える可能性、無精子症のレベルまで悪化させる可能性が報告されています[※1]

AGAは思春期以降に発症するため、容姿に注意を払い、対策をとることを希望される患者様は丁度、結婚の適齢期や妊活に取り組む世代の方々が多くなります。

フィナステリド製剤の効能書のその他の副作用には

・ 1〜5%でリビドー減退(性的欲求が衰退すること)
・ 1%未満で勃起機能不全、射精障害、精液量減少

が記載されています。

新婚EDの30%は離婚との報告もあります。副作用の頻度が低いから、気のせいだから、と片づけられる問題ではありません。海外では精液からのパートナーへのフィナステリドの暴露を避けるためコンドームの使用を勧めています。特に妊婦では胎児の性分化に影響するため必要です。

十分な情報が行き渡っていないのがQOL疾患の問題の一つです。

フィナステリド製剤投与中止後もその影響は持続することがある?!

現在海外では、フィナステリド症候群というフィナステリド製剤を服用しての後遺症が問題視されています。

2010年以降、EUやイギリス、アメリカの医療関係省庁の指導により説明書の内容が改定されました。使用上の注意が追記され「リビドー減退や勃起機能不全、射精障害は投与中止後も継続したとの報告がある」と明記するよう指導されました。

日本では2012年1月の改定版から「市販後において、投与中止後も持続したとの報告がある。」と追記され勃起機能不全、リビドー減退、射精障害の順に副作用が追記されました。

医薬品であるからと、多大な効果を安易に期待するのではなく、それに伴うリスクを十分に理解した上で内服を検討する必要があります。

〜医師:橋口 華子〜

脚注

[※1]
Fertil Steril 2011; 95: 1786.e9-11
Fertil Steril 2011; 95: 2125.e13-14
Fertil Steril. 2013 Dec;100(6):1542-6. doi: 10.1016/j.fertnstert.2013.07.2000. Epub 2013 Sep 4.