ハリルホジッチ監督が記者会見で独壇場 川島永嗣らの裏話も続々

写真拡大

6月のシンガポール戦に引き分け、8月の東アジアカップでは1勝も挙げられず、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の魔法は輝きを失ったように見える。ここからはメディアの厳しい追及に監督が機嫌を悪くし、次第に情報が隠されていき、それをメディアが暴いて書き立てる――という流れが予想された。

だが、ハリルホジッチ監督はメディアより一枚上手だったと言えるだろう。27日、9月のカンボジア戦、アフガニスタン戦に臨む日本代表が発表されたが、これまでどおり監督のペースだけで会見は進み、メディアは肝心なことを聞けないままに時間だけが過ぎ去った。

まず、時間前に監督が先頭となり会見場に入場して先手を取った。メンバー発表では、ワールドカップ・南アフリカ大会直前から正GKの座を手にしていた川島永嗣が選外になったという事実だけでも衝撃だったが、ハリルホジッチ監督はさらに裏話までぶちまけた。

「たとえばフランス(のクラブへの移籍)なんかもしっかりサポートしていきたいと思っていますし、そういったこともやっていたのですが、アグレッシブなレスポンスがありませんでした」

そして川島の話だけでは終わらなかった。長友佑都についても踏み込んだ話が出る。

「クラブを変えたいと言っているようですが、それも実現できていないし、移籍するかどうかも全然分かりません」

「対戦相手の分析はどこまでできているのか」という質問に対しは、暴走が始まった。相手は5人のDFを並べるという認識を明らかにした後、なぜかPKの話に飛んだ。

「選手に学んで欲しいことがあります。この7試合でまだPKを一回ももらっていない。それを言いたい。90パーセント支配していたシンがボール戦でも、相手は自分のペナルティエリアの中で一度もファウルをしなかった。ファウルをもらえば、それはPKなのです。そういうことは学んで欲しい」

「ずるがしこくやり続けろといっているのではなく、これはフットボールの中ではインテリジェンスなのです。ファウルを相手から誘う、特にペナルティの中で。時々試合の中で必要になってきます。ただ、それがメインではなくパスからゴールを取らなければいけない」

交代策についての質問を受けたときもPKに話が行く。

「PKをもらうという発想がないのかもしれない。それを教えなければいけないというのもあります。私は17歳でFWでした。人生でも多くの点を取りました。何度もPKを取りました。自分で取りに行きました。それで得点を取り、試合を動かしました。それを日本代表のFWに教えなければいけない」

最後の質問の前には自分から話を振った。

「私を困らせるような質問をしていいですよ。試合に勝っていないので批判を受けます。たとえば、霜田正浩技術委員長がベンチで私の横にいて、批判されていると聞きました。それは私が要求しました」

当然次の質問は、霜田委員長に「ベンチに入っていて監督を評価できるのか」という質問になった。

会見終了後にはダメ押しのように「車の事故についての話はいいのですか? みなさん、私の健康に気を遣ってくれてありがとう」と記者たちをドキリとさせると、去って行った。

この監督が完全に主導権を握った記者会見ではあまりに話題が多すぎて、本来はとても大切なはずの、「浦和の武藤雄樹がなぜ選ばれなかったのか」「パワープレーの要因がいないのはなぜか」などという、これまでなら当然聞かれていた質問が出なかった。

1つの質問に対しての答えが長く、しかも質問とは関係ない方向に飛んでいくので聞いているほうは話の筋を捕まえるのが大変だ。暴走した話だけでも十分に記事になりそうなので、思わず大切な部分を忘れてしまいそうになる。そのため今回の会見でも、主導権はまたしてもハリルホジッチ監督が握った。意図的ではないようにも見えるが、もしかするとこれはまだ監督のマジックが残っているということかもしれない。

【日本蹴球合同会社/森雅史】