ぜんそくは空気の通り道である気管支内に炎症が生じ、粘膜のむくみや筋肉(平滑筋)が収縮して空気の通りが悪くなる病気。発作が生じると「ぜーぜー」という独特な音を伴う呼吸困難が生じ、重症の場合は気道がふさがり窒息死を招くこともある。

 近年、成人後に発症する成人ぜんそくが増えているが、その半数は過労やストレスを発端に発症する「非アレルギー型」。忙しさに紛れて予防薬の吸入を怠り、発作を起こして後悔するパターンに陥りがちだ。予防薬があまり効かない重症の患者は、複数の薬を組み合わせ、何とか発作をなだめるくらいしか手だてがなかった。

 しかし昨年末、国内で初めて18歳以上の重度の気管支ぜんそくに対する外科的治療が保険承認された。使用する医療機器は、この7月から販売が開始されている。

 外科的治療、といっても喉の切開は全く必要がない。口から細いカテーテル(カテ)を気管支末端まで挿入した後、カテ先に展開される細い電極で気管支壁を約65度で10秒間ほど加熱。慢性的な炎症によって分厚くなった平滑筋の量が減少し、気道の広さを確保すると同時に外からの刺激に対する過敏性も緩和される。

 治療は気管支を三つのブロックに分けて、3週間ごとに行われる。1回の治療にかかる時間は1時間程度だが、術直後は呼吸器症状が一時的に悪化するため、1〜2泊入院が必要だ。

 3回の治療を終了した後は、重症発作が激減。その効果は少なくとも5年は続くことが確認されている。根治術ではないので標準的な予防薬は手放せないが、ぜんそくによる仕事や学業での損失日数は確実に減る。何より、発作への不安が和らぐのは朗報だろう。

 国内のぜんそくのカテ治療の実績は、今年5月現在で10例ほどとまだまだ発展途上である。ちなみに、この「気管支狭窄拡張術」1回の自己負担額は、3割負担で術料が3万0450円、カテ代が12万7350円。そのほか、入院費、検査費等を考えると3回分の総費用は決して安くはない。治療に興味がある方は事前に高額療養費制度についても調べておくといい。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)