足裏のアーチがない偏平足の人は、足がむくみやすいって本当?

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土ふまずのアーチは本来、親指の付け根からかかとにかけて縦長にあるもので、歩いたり走ったりするときのバネや、地面の衝撃を吸収する役割を果たしている。 “偏平足”とは、土ふまずが床と接するくらい足裏が平らな状態とか。なにか健康に悪いことがあるの?

「偏平足は足にかかる負担が大きく、片足立ちができなくなると問題です」と話すのは、フットケア外来を行う皮膚科医の高山かおるさん。足のアーチの役割について教えてもらった。

「偏平足になると、体のバランスをとることが難しくなり、長く歩くと疲れやい傾向が。また、足首やひざに負担がかかる足の使い方をしているために、痛みが出る場合もあります。さらに、足の指や筋肉の連動がうまくいっておらず足のむくみや冷えを引き起こす可能性も」(同)

こうしたプチ不調は、土ふまずのアーチを整える歩き方を意識することで、ある程度まで改善できる。「おへそから上が天井から引っ張られるイメージで立ち、足先をまっすぐ前に向け、かかとで着地をしてから、重心を土ふまずの外側からつま先まで移動することを心がけましょう。指の付け根まで重心を移動したら、指先で地面を蹴るのがポイントです。足の指を使うことでアーチにばかりに荷重することがなくなり、足に負担をかけずに歩けます」(同)

だれでも乳幼児のころは偏平足だけど、成長過程で土ふまずが形成されるそう。なかには生まれつきの特性で偏平足のまま大人になる人もいるとか。一方、筋肉量の低下や肥満、運動不足、足に合わない靴などの要因が複合的にからみあって、大人になってから偏平足になる場合もある。

ちなみに、女性の9割が該当するともいわれているのが “隠れ偏平足”。

「専門用語では『開張足(かいちょうそく)』といい、親指から小指の付け根にかけてある“足裏の横のアーチ”が崩れて、指が広がっている状態です。横のアーチには体重の圧力を分散する働きがあるため、開張足だと指の付け根に体重がそのままのしかかり、本来浮いているはずの中指の付け根あたりが靴に当たってタコができやすくなることも」(同)

対策には、「足の指でグー、チョキ、パーを繰り返す運動が有効。足裏の筋力が鍛えられて指の動きがなめらかになり、横のアーチの崩れを防ぐ効果が期待できます」(同)

意外な症状を招くこともある偏平足。足の指をよく動かしてアーチがしっかりある健康的な足裏を目指そう。

高山かおる
埼玉県済生会川口総合病院皮膚科主任部長。東京医科歯科大学皮膚科特任講師。1995年、山形大学医学部卒業。日本の大学病院では珍しい皮膚科のフットケア外来を開局。専門は、接触性皮膚炎、フットケア、美容。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。一般社団法人足育研究会代表。