路上の弁当屋は衛生面で淘汰!? MM4/PIXTA(ピクスタ)

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 普段のランチは、オフィス街で路上販売している弁当を買いに行くのが日課という人は多いだろう。しかし、今年10月1日から、その弁当店が姿を消す可能性が出てきた。というのも、衛生上の問題から、路上販売の弁当店などは、これまで届け出だけで済んだものの、今後は保健所へ許可を取る必要が生じ、さらに食品衛生責任者の設置や、細かな設備基準をクリアする必要が出てきたのである。

 弁当や総菜などを運搬するための容器は、直射日光を遮る遮光性があり、完全に密閉できる蓋必須、温度計の常備、消毒用薬品を入れた容器を収容することなど、食品衛生管理を徹底しなくてはならなくなった。お気に入りの弁当屋でランチを物色するのが毎日のひそかな楽しみという人にとっては、ショックかもしれないが、この厳しい管理基準から、すべての路上販売の弁当店が生き残るとは言い難い。

路上販売の弁当は不衛生なのか?

 一般社団法人・健康栄養支援センターの代表理事で栄養士でもある諏訪淳子さんによれば、弁当の路上販売には、衛生上リスクがあるという。

 「弁当等の屋外販売は屋内販売に比べ、衛生上望ましい販売形態ではありません。その衛生状態は、屋内や自動車での販売と比べ、天候や直射日光、路面からの反射熱、外気温といった環境条件による影響を受けやすい状況にあります。このため、こういった環境影響から弁当等の温度上昇を極力防止することが必要になります」

 東京都食品安全審議会によれば、都内では、平成26年2月現在、路上販売の弁当、いわゆる「行商用弁当」による食中毒の発生は認められていないという。しかし、都内の保健所には苦情が寄せられている。その内容は、道路の占有、固定店舗の営業妨害のほか、不衛生といったものがあったそうだ。

 この行商用弁当の衛生に関する問題として、6割近くが保冷容器でない運搬容器を使用しており、ほぼ半数が運搬容器の蓋を開けたままで販売している傾向があるという。また、細菌検査の結果、製造時と行商販売時とを比較すると、細菌数と大腸菌群数の不適合率が12.6ポイント増加したことから、行商行為が細菌数を増やしていることが判明。その要因は、保冷効果の低い管理状況に由来するものだと推測されている。

路上弁当はどう選ぶべき?

 利用者側としては、今後、路上弁当に対して少し意識を変える必要がありそうだ。栄養士の諏訪さんに、路上弁当を購入するときの注意点を伺った。

 「路上弁当の販売は歩道で固定されたところが多く、運搬容器を解放したまま販売されているところも多くみられます。本来であれば、ビルの中や自動車での販売形態が望ましいですが、路上であれば弁当等を運搬容器に入れて温度管理を心がけていると思われるところを選びましょう。お弁当のおかずは、生ものが入っていないものを。当然、販売している人の身なりの清潔感も一つの指標となるでしょう」

 平成20年から平成24年までの5年間で、路上販売の弁当に限らず、弁当によって発生した食中毒の原因物質で最も多かったのは、「ノロウイルス」で患者数は740名、次いで「ウエルシュ菌」は472名、「黄色ブドウ球菌」は60名、「サルモネラ属菌」は23名と続く。

 ノロウイルスは、カキの内臓に多いため、カキ料理には気をつけたい。その他、魚介類が最も多く検出されている。また、意外と知られていないウエルシュ菌は、牛・豚・鶏などの食肉に汚染されていることが多い菌だ。しかし65度以上に加熱しても死なないため、一度に大量のスープやカレーなどを調理した際に発生しやすいため、弁当類もリスクはある。
黄色ブドウ球菌は、どの食品でも食中毒の原因となるが、特に穀類やその加工食品に多く見られ、特におにぎりが食中毒発生の4割を占めている。弁当も報告の多い菌である。サルモネラ属菌は、生肉、レバー、卵に含まれる。肉や卵を外食する場合は、必ず加熱されたものを選びたい。

 もうじき路上の弁当屋が、衛生面で淘汰されることになる。お気に入りの弁当屋が、衛生面でレベルアップし、生き残るのを期待したい。
(文=編集部)