ハリル、得点力不足解消へカンボジア戦でミドル弾とPK獲得を狙う

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文=青山知雄

 シンガポール戦と同じ轍を踏まないために――。

 27日に9月のワールドアップ アジア2次予選に向けた日本代表23人を発表したヴァイッド・ハリルホジッチ監督。記者会見の壇上で「改めてシンガポール戦の映像を見返して、当時よりもイライラした。カンボジア戦も同じシナリオになることが予想されるが、シンガポール戦と同じようなアクシデントは繰り返したくはない」と語り、決定力不足に泣いてスコアレスドローに終わった6月の教訓を糧に、9月シリーズへ向かうことを明らかにした。

 9月3日にホームでカンボジア代表と、同8日には中立地のイランでアフガニスタン代表とアジア2次予選を戦う日本代表。ともに格下相手のゲームとなるだけに、今回も人数をかけて守りを固めるチームへの対応が求められることになりそうだ。

 相手を崩し切れずに無得点に終わったシンガポール戦、未勝利で最下位だった東アジアカップの苦戦を受けて「いろいろ考えた」という指揮官は、アジアの対戦国分析を入念に進めているという。そして「カンボジアはかなり引いてブロックを作り、カウンターを狙ってくると見ています。相手は5バックで臨んでくることが予想されるので、トレーニングでも5人のDFを置いてトレーニングすることを考えています。ポイントは相手の低いラインをどう不安定にするか。今はミドルシュートが少ないので、これを積極的に使いたい」と説明し、試合に向けてのイメージを明らかにした。

 いつものように立ち上がってメンバーと彼らの選出理由を説明した際にも、長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)や山口蛍(セレッソ大阪)、柴崎岳(鹿島アントラーズ)、原口元気(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)ら複数の選手に対して中距離弾への期待を語っており、引いて守る相手に対して遠目からでも積極的なシュート意識を求めていくことが予想される。

 得点力不足を解消するカギとして、監督がもう一つ挙げたのが、ここまで1本も獲得していないPKについてだ。

「この2試合で重要視しなければならないことは?」と聞かれた監督は、「選手たちに学んでほしいことがある」と切り出した。

 3月から7試合を戦ってきたハリル・ジャパンだが、ここまでに獲得したPKはゼロ。「試合の90パーセントを支配したシンガポール戦でも、相手は自陣のペナルティエリア内でファウルを冒していない。そういう雰囲気を作れていないのかもしれない」と語った。このデータを受けたハリルホジッチ監督は、「自分は17歳からFWとしてプレーしてきて、たくさんのPKを獲得した。そのPKでチームを勝たせたことは何度もある」と自身の経験を口にし、「それを日本代表のFWにも教えたい。ずる賢くプレーすることを求めているわけではない。ペナルティエリア内でファウルを誘うのはインテリジェンス。ボールを見る代わりに相手を見たりすることもあるし、時にはファウルを誘うようなことも必要だ。そういったことがチームを強くすることにもつながる」とノウハウを落とし込んでいく意気込みも語った。

 決定力不足は日本サッカー界にとって積年の課題。守りを固めるアジア勢に苦しめられた記憶も一度や二度ではない。指揮官は「1点を取るのが難しい試合もある」とも口にしている。と同時に、今月は各年代の日本代表合宿を視察して「ゴールを取れる選手を見つけることは簡単な仕事ではない」という感想を持ったのも事実。一朝一夕で解決できる問題ではないが、それでも試合はやってくる。公式戦でアジア相手に4戦未勝利と悩むハリルホジッチ監督が、試合に臨むタクティクスだけでなく、短期間で選手たちにゴールをもぎ取るヒントの伝授を狙う。