9月シリーズの予想スタメンで、カッコ内の選手はサブという位置付け。中盤は長谷部と山口の2ボランチで、香川がトップ下になる可能性もあるだろう。

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 8月27日、9月のワールドカップ・アジア予選(3日のカンボジア戦、8日のアフガニスタン戦)に挑む日本代表のメンバー23名が発表された。ハリルホジッチ監督が会見の席で「3年後のワールドカップを見据えている」とコメントした割には、“ガチ”な面子になった印象だ。

【Photo】9.3カンボジア戦&9.8アフガニスタン戦に向けたメンバー23人
 
 直近の4試合でアジア勢に1勝もできていない焦りだろうか、目先の試合・結果に捉われ過ぎている感も否めない。ハリルホジッチ監督自ら「疲れているように見える」と言った宇佐美を、なぜ招集したのか。“3年後”を想定しているなら、代わりに20歳の浅野(広島)を呼んでもよかったはずだ。
 
 東アジアカップで2ゴールを決めた武藤(浦和)の落選も解せない。

 同大会でアピールに成功した米倉を左SBとして招集した理由が「東アジアカップでの好パフォーマンス。良い働きをすればメンバーに入れる」(ハリルホジッチ監督)なら、同大会でノーゴールだった永井ではなく、武藤こそエントリーされるべきではなかったか。
 
 またCFの一番手・岡崎の控えとして選ばれたのも、「大久保(川崎/33歳)と豊田(鳥栖/30歳)は年齢的に考えると……」と話しておきながら、29歳で豊田と同じ北京五輪世代の興梠である。興梠の実力にケチをつけているわけではなく、ハリルホジッチ監督の選考基準にいまひとつ一貫性が感じられないのは不安要素だ。
 
 目先の結果だけを追うのか、それとも3年後を見据えているのか、今回のメンバー選考からは、明確な指標が見えなかった。
 
 川島の落選はさして大きなトピックではない。フリーの状態(8月27日時点で所属クラブは未確定)で、しかも試合勘に不安があるのだから、むしろ外されて当然という見方もできる。
 
 その意味では、インテルで出番に恵まれていない長友もあえて招集する必要はなかっただろう。イタリアで去就問題に揺れている彼の現状を考えれば、今回は見送る“勇気”があっても良かった。
 
 勇気に欠けるメンバー選考から予測するかぎり、ピッチに立つのも“ガチ”なメンバーだろう。

 GKは東アジアカップで2試合に先発した西川で、4バックは右から「ポテンシャルがあって、フィジカルも強い」酒井宏、「クラブで定期的に試合に出ている」吉田、「A代表に相応しい選手になってきた」槙野、代表実績で群を抜く長友になるはずだ。
 
 3枚の中盤は形はともかく、「キャプテンとして重要」な長谷部、「東アジアカップで素晴らしいプレーをした」山口、「攻撃のキーとなる」香川。そして3トップは右から、「香川と同じく重要」な本田、「人間性も素晴らしい」岡崎、「能力はかなりある」宇佐美。ハリルホジッチ監督のコメントもヒントにして選べば、以上の11人になる可能性が高い。
 
 ちなみに、ハリルホジッチ監督の見立てでは「遠藤と原口は中盤の選手」。G大阪で不動に近い右SBの米倉も、今回の代表活動では東アジアカップで「プロになって初めてプレーした」左SBが主戦場になる。
 
 果たして、本田や岡崎ら既存の主力に頼って、シンガポールよりも格下のカンボジアやアフガニスタンを倒したところで大きな収穫を得られるのだろうか。この2か国を相手にたとえゴールを量産できたとしても、断じて「決定力不足解消」とは言えない。
 
 せめてものリクエストは、若手の積極起用。例えば、リオ五輪世代の遠藤を長谷部に代えてアンカーとしてスタメンに抜擢する。現実味はかなり乏しいが、そういう勇気をハリルホジッチ監督には示してもらいたい。
 
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)