マヨネーズの75%は油(右は一度凍らせて解凍したもの)

写真拡大

 2006年に再発した娘のアトピーを治すため、我が家の食卓は植物油を摂らない「断油食」に切り替えました。

『油を断てばアトピーはここまで治る―どんなに重い症状でも家庭で簡単に治せる!』(永田良隆/三笠書房)には、皮膚上に現れた炎症を鎮めるには、体内にある火元を鎮火させなければならないと記されていました。すなわち、アトピーを再発した当時の娘の体は、植物油(リノール酸)と動物性たんぱく質(肉、卵、牛乳)の摂り過ぎが原因である「火元」が燃え盛っている状態で、この火元を鎮火させなければなりませんでした。

 そこで、思い切って「断油食」に切り替えることにしました。それまで使っていたサラダ油やごま油、オリーブオイルなどの植物油を摂らない食生活です。正直なところ、この時点では良い結果を得る確証はなかったのですが、とにかく実行することにしました。

●断油から3週間で劇的な変化

 断油食を行うには、重要な前提があります。それは「栄養は過不足なくバランスよく摂る」ということです。断油に気を取られるあまり、偏った食で別の病気になったのでは本末転倒です。

 また、脂肪酸(油脂)は三大栄養素のひとつであり不足してはいけない大切な栄養素です。その中でも特にオメガ6脂肪酸(主にリノール酸)とオメガ3脂肪酸(アルファリノレン酸/ALA、ドコサヘキサエン酸/DHA、エイコサペンタエン酸/EPA)は体内で合成できない必須脂肪酸なので、必ず外から摂り入れなければなりません。

 したがって、いきなりの「断油食」には不安もありましたが、よく調べるとオメガ6のリノール酸は含有量の多少はあっても、ほぼすべての食べ物に含まれているので、バランスの良い食事をしていれば、植物油を断っても不足することは考えられません。オメガ3のうちALAは野菜や海藻類に含まれていても微量なので、DHAやEPAの多い魚メニューを増やしてオメガ3の不足を防ぎました。卵や牛乳は娘にとってアレルゲンだったため、ほとんど摂っていなかったのですが、よく食べていた牛、豚、鶏の肉類も極力減らしました。

 しかし、これだけでは断油は不十分です。マヨネーズやドレッシングにも植物油は含まれています。いわゆる「隠れ油」です。当然、これらの調味料も断ちました。ほかにもチョコレートやアイスクリームなど、一見植物油など含まれていなさそうな食べ物にも植物油は使われています。市販のカレールーなど、「隠れ油」については次回以降詳しく説明いたします。

 こうして断油食をしばらく続けると、はじめにつらかった痒みが軽減し、3週間後には目で確認できるほど皮膚炎が劇的に改善しました。アトピーが再発して1年以上泣く思いをしていたのに、たった3週間でここまできれいになったのですから、その変化に家族全員が驚きました。

 その後も断油食は続けましたが、リノール酸が少なくALAの多いえごま油やアマニ油を知り、これらの良質な油を少し摂る「少油生活」に移行しました。すると皮膚炎の劇的な改善以外にも娘の体に変化がありました。まず体重が減り、毎年5月まで携帯カイロが必要なほどひどかった冷えや体のだるさもなくなり、便秘や慢性鼻炎も改善し、「体の芯から調子が良い感じを初めて実感した」と言って喜んでいました。

●現代人は油病?

 同じ少油生活をしていた私たち夫婦にも変化がありました。私は10代の頃から苦しめられてきた花粉症がなくなってしまいました。妻はこの頃がちょうど更年期の時期だったのですが、何事もなく無症状で通過してしまいました。

 こうした変化のすべてが植物油だけにあると立証はできませんが、生活のなかで変えたのは植物油の摂り方と種類だけなので、実体験として植物油の怖さを知りました。

 この体験から、あることに気づきました。断油する前の私たちの食生活は、特にみだれていたわけではなく、現代人にとって普通の食生活です。つまり、誰でも植物油が過剰の食生活を無意識に続けている可能性があります。したがって誰もが「油病」にかかっているのではないかということです。

 もしそうであるならば由々しきことです。それ以後、私たち夫婦は植物油の実態に迫ろうと研究を続けました。
(文=林裕之/植物油研究家、林葉子/知食料理研究家)