世界陸上での日本男子長距離勢総崩れを受け、2020年東京五輪は「地の利だけ」で戦う作戦へと方針転換するの巻。
2020年、東京でデスマーチを!

日本人は長距離走が得意という認識、ひょっとしてそれは違っていたのかもしれません。マラソンでの伝統的な強さ、そして人気。何となくコレ合ってますねという感覚。いろいろなスポーツにおいて、その辺の認識がベースとなって、「走り勝つ」というような戦略を立ててきました。しかし、本当にそうなのか。

世界陸上・北京大会。世界からの距離がどんどん遠くなる日本男子長距離勢は、大会開始からわずか1日ちょっとで大惨敗敗走となりました。初日早朝の男子マラソンでは、エース格の今井正人の欠場もあって藤原正和の21位が最高という結果。男子マラソン連続入賞記録は8大会で途絶えました。1万メートルでは鎧坂哲哉の18位を最高として、村山謙太・設楽悠太は完走者中最下位ワンツーを決める逆に印象的な走りぶり。

そして、大会2日目に行なわれた期待の20キロ競歩ではTBSが「超人BIG8」に掲げ、今大会日本勢最大の期待を受けて出場した世界記録保持者・鈴木雄介が途中棄権となり、メダルはおろか入賞すらないという結果に。まだ今季ランキングで上位に日本勢が顔を出す50キロ競歩が残っていますが、ここまでの流れを覆すほどの結果が出せるかどうか。なるほど、この感じでは新国立競技場にサブトラックもつかないわけです。

世界との戦いを見るに、もう5000・10000メートルあたりではまったく勝負になっていない状況。それは100メートルとか400メートルとか800メートルとかと同じように、基本的な素質の部分で「全然違うな」と感じさせられるものが、距離が長くなるごとにより大きな差となって積み上がっている感じです。逆に、100メートルとかだといいとこ0.5秒くらいしか差がつかないので、その差を詰められるかどうかはさておき、上手いことやったらひっくり返せるんじゃないかという気さえしてきました。たとえば相手がボルトでも、向こうが1歩つまずいてくれたり、ちょっとフライングしてくれたら勝てますからね。

ひょっとして日本人が得意なのは、長距離を安定かつ高速で駆け抜ける勝負ではなく、泥沼につかりながらのデスマーチなのかもしれない。社会情勢を見ても、デスマーチ愛好家は数多く見受けられますし。その意味で、走り切るのは当たり前で、その中での駆け引きやらスピード勝負やらが出てくると、それはもう「向いてない」ゾーンに入ってくるのかもしれません。日本が弱くなったのではなく、日本が勝負に持ち込めるほどの過酷さは42.195キロ程度では起こらないように、トレーニングや調整法が進化してしまったと考えるべきなのではないか。「得意なはずが何故弱い」という苛立ちから脱却すべき時は、もうとっくにきていたのだ…そんなことを思わされる今大会でした。

ということで、せめて2020年東京五輪だけは地の利を活かして勝ちたいという5年越しの作戦を立てていきましょう。

◆まともな勝負をしようなどと思うな!地獄、灼熱地獄を走らせるのだ!

まずは大会の出鼻を切って落とした男子マラソン。そもそもの時点で、今大会は敗走必至の状況でした。2月の東京マラソンで日本歴代6位となる2時間7分39秒の記録をマークした今井正人が、大会を前に髄膜炎による欠場を余儀なくされたのです。エースを欠いた日本勢の陣容は前田和浩・藤原正和というベテラン2名。安定感はあるかもしれないが、大きく化ける伸び代や未来への期待感は特にない。入賞すればリオの代表に内定するという条件も、すごい遠くにぶら下がったニンジンのようなものでした。

灼熱のアジア気候の中でのレースということもあり、序盤は5キロ16分台のスローペース。世界記録が2時間2分台に突入した昨今、走りやすい冬のレースではもはや影を踏むこともできない差がありますが、このペースでのレースなら十分についていくことは可能。その意味で、高速レースよりはまだ灼熱地獄のほうがチャンスはある、はずでした。

↓実際にレース序盤は何故か市民ランナーが先導するという、スピード無関係の勝負に!

ひょっとして、埼玉県の学校職員とかじゃないか!?

埼玉県の学校職員にやたら早いのがひとりいるって聞いたことあるぞ!

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しかし、チャンスのはずのスローペースを日本勢は活かすことができません。前田は15キロすぎに先頭集団から早くも脱落し、藤原も21キロすぎには安定の脱落。脱落する直前には暑さ対策で被っていたはずの帽子を脱ぎ捨てる場面も。「帽子、暑いな!」「邪魔だコレ!」「捨てよう!」という暑熱対策ミニコントも披露されました。出場2選手が脱落する前にふたりとも帽子を脱ぎ捨てるという様式美には、帽子メーカーも含めて会心の「てへぺろ」であります。

↓最終的に藤原は21位、前田40位でゴール!ゴール場面は何だか競歩みたいな見た目に!


日本陸連肝入りのナショナルチームから出た3選手が、病気・大敗・惨敗で散った!

よくわからない選手もたくさんいる中での普通のチカラ負け!

↓10000メートルでは箱根駅伝で東洋大の黄金時代を築いた設楽悠太が完走者中最下位に!


何かもう「早くも最後尾を周回遅れにしました!」って先頭の強さを讃えるためのダシみたいになってきたな!

おかげで、ゴールする場面はダイジェストに残らない順位なのに、周回遅れにされる場面でダイジェストに残ることに成功してるわ!

「面白い抜かれ方」とか考えていったほうがいいかもしれんね!

↓今大会最大の期待を背負って歩き出した20キロ競歩の鈴木雄介も途中棄権!

どうするんだよ!今夜の情熱大陸!

「世界一早く歩く男・鈴木雄介の世界陸上金メダルをかけた戦いに完全密着」しちゃってるんだぞ!

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まったくいいところなく消えた日本長距離勢。エース格である今井正人・鈴木雄介がいずれもベストの状態で大会を迎えられなかったことなど、惜しまれる点はあるものの、それも含めての勝負なんだと言われたらグウの音も出ません。そもそも3人出場しているわけで、エース格以外をまったく諦めた感じで見守る状況自体が、大きな「実力差」なのでしょう。

ただ、まったく希望がないわけではありません。灼熱のアジア気候は誰にとっても苦しいものです。マラソンではキメット(世界記録保持者)、キプサング(前世界記録保持者)といったケニア勢を含めて20名以上が途中棄権するという過酷なレースとなりました。相手がどれだけ早かろうが、こちらがどれだけ遅かろうが棄権したら負けです。極端な話、全員棄権してひとりだけ完走すればその人が金メダルなのです。

また、そうした過酷レースの影響で意外な伏兵が台頭したことから、その経験不足などが露見する場面もありました。レース途中で先頭に立ったレソトのラモネネ(誰?)は、給水で自分のボトルを探してしばし立ち止まってしまいます。スペシャルドリンクが取れなくても、その先に水は置いてあるわけで、立ち止まる理由はないのですが、何故か立ち止まったのです。

さらに、最終的に優勝したエリトリアのゲブラスラシエ(※有名なハイレ・ゲブレセラシエではない)も、レース終盤で道に迷って「ここ曲がるの!?」と周囲に確認してみたり、おそらくまだもう1周あると思っていたのでしょうがゴールインしたあとも走りつづけてみたり、下調べという面では不十分なところを感じさせました。

↓「常識的に考えてまだもう1周あるだろ」とゴールを駆け抜けてからも走りつづける選手たち!


地味にツボるなwww

これフィールドの選手が教えなかったら、あと1周してきただろwww

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こうした「隙」を突かない手はありません。狙いは2020年東京五輪。灼熱の東京で、タダのかけっこなら強いかもしれない海外勢の経験不足・下調べ不足を突くのです。コッチはあと5年後にここで五輪があることを知っているのですから、あらかじめ準備をして何が悪い。「地の利」を徹底的に活かし、ぶっちゃけ「地の利だけ」で戦いましょう。

まず日本代表は暑さに強い面々を選考します。どうせ世界の舞台ではハシにも棒にもかからない程度のベスト記録など無視して、灼熱地獄でどれだけ頑張れるかのみをもってメンバーを選びます。気温35度超、湿度70%超の条件で2時間10分程度を安定して出せることが目安となるでしょう。選考レースではスペシャルドリンクもホットで提供し、徹底的に暑さに強いメンバーを絞り込むのです。五輪本番当日は案外涼しかったりするかもしれませんが、それは捨てます。好条件ではどのみち勝てないので、灼熱地獄一本に賭けた大勝負でいきましょう。

そして、コース。まず平坦な道は基本的にカットです。東京にある坂道をつなぎ、なければ新たに作って、42.195キロ中の20キロぶんくらいを上り坂、残り20キロぶんを下り坂にしましょう。イメージとしては箱根駅伝の5区山登りと6区山下りをいってこいする感じ。登りと下り、どちらかに不得手がある選手をコースの罠で引っ掛けるのです。もちろん日本勢は全員「山の神」です。場合によっては「42.195キロずっと登り」という高尾山登山道でもOKです。

アンド、路面。東京の道はキレイな舗装がされていますが、一旦それを崩しまして、日本の伝統美である玉砂利などを敷き詰めた罠ゾーンを設けます。玉砂利の上を走ったことのない海外勢は、足を取られて苦しむことでしょう。そのほか、「ミストシャワーの下に何故か敷設されためっちゃ滑りやすい駅の床のタイル」「先進都市にこんなものあるんだ!?ぬかるんだ泥道」「ドングリがいっぱい落ちてる」などの悪路の数々。練習を積んだ日本勢以外は対応に窮するはずです。

さらに、そのコースに複雑怪奇な曲がり角を設置します。いかにもコッチにいきそうな大通りを無視して細い道に突っ込むルート、右に曲がって左に曲がって右に曲がって左に曲がってするウネウネの道。「土地勘がある者」しかまともに進めないようなコースで、下調べ不足の選手をまとめて引っ掛けます。先頭を行く走者が、道を確認するためにずっとキョロキョロする展開。上手くすれば「日本選手についていこう」と40キロ過ぎまで日本勢の後ろに全員がつく大集団となるかもしれません。

また、灼熱地獄を演出するためにコース沿いの民家等に依頼し、エアコンの室外機をコースに向けてもらうようにします。「すごい暑い風がくるな…」「必要以上に暑い」「風がくると余計に暑い」という感覚は、灼熱地獄に不慣れな海外勢の体調を一気に悪化させることでしょう。もちろん日本勢は事前に室外機の場所をチェックしているので、キッツイところは避けて走ります。

最後の競技場決戦も、もちろん罠です。「常識的に考えて場内を1周するだろ」と考えた選手たちに突きつける「2.5周」の罠。1周して通常のゴール位置に到達した選手が立ち止まってガッツポーズなどすればシメたもの。その隙に日本勢はもう1周をスタコラサッサです。ただ、それだけでは追いつかれてしまうかもしれません。そこでもう0.5周です。2周目を終えて今度こそゴールだとガッツポースする海外勢をしり目に、日本勢はバックストレートにあるゴール地点へとエッサホイサ。「ゴール、そっちなん!?」と連中が気づいたときには、日本勢はゴールを駆け抜けているという寸法です。

いかがでしょうか。「汚い」とお思いでしょうか。しかし、これぐらい地の利を用意してあげないと、2020年に勝負できる気などしない。あと5年で本番ということは、そこで勝ち負けするような選手はもう大学生とかの年代のはず。その年代で、現代表に割って入るくらいでなければ、ようよう勝負にはならないでしょう。2020年は徹底的に「地の利」で。世界の新聞が「死の道の行軍」と書き立てる過酷なレースにこそ、わずかな勝機があります。「完走8人のレースで日本勢が8位入賞」あたりを最大目標において、地の利を整えていきたいものですね。

いっそ、新国立の通路に「初見だと絶対落ちる穴」でも設置しますかね!