【MLB】「3000本安打は過程にすぎず」「技術と体はまだ発達」イチローの準備と思考法

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チーム状態に関係なく、自らのルーティンを守り続ける


 チームにとっては再び低迷が続き、「失われた1年」であるが、そんなシーズンであるからこそイチローの卓越している部分が光っていると地元紙『Sun Sentinel』では特集を組んで報じている。

 記者のデーブ・ハイド氏は最年長野手であるイチローは、試合終了とともに次の試合への準備を始めていると明かす。

 試合を終え、ロッカーに戻ったイチローはすぐさまスパイク磨き、そしてオイルを使ってのグローブの手入れに入る。「次の日の始まりだ」とイチローも話しており、細かいことだが卓越性は細かい積み重ねから成り立つ。イチローは来る日も来る日もヒットを打ち続け、チームがどんな状態に合ってもその影響を感じさせずに自らのルーティンを守っている。

 チームの状態が悪いからこそ、イチローの厳密さを賞賛せずにはいられない。41歳でもなお、3000本安打記録に日々近づけていけるその理由がわかってくる。

 スタジアムを後にすると、イチローは家に帰り、食事までの間にピラティス用のマシンを使って翌日に向けての準備をする。そして食事のあとには再び、マシンで体を動かしたのちに2時間のマッサージを毎日欠かさず受ける。

 イチローが41歳になってもグラウンドで貢献し続けることができ、体重を常に170-171ポンド(約77kg)で維持し、3000本安打という偉大な記録に迫っている理由をハイド氏は短く語った。それは消化試合となってしまっている試合前でも、試合開始4時間前までにはインタビューを終えたいという本人の準備に対する考えだという。

若いころに比べて柔軟性が向上


 インタビュー中、イチローは「体をほぐしながらでもいいか」と尋ね、クラブハウスでフォームローラーを腰の下に置き、そこから股関節や脇腹など体全体をほぐしていきながらインタビューを受ける。この日々のルーティンもあってかイチローは若い頃に比べても体が柔らかくなったと語っている。

“I’m more flexible now than I was younger, technology has improved and our knowledge about the human body has improved. Everybody thinks that at this age you have to feel this way or that way, but that’s not been my experience.”
「若い頃に比べても体は柔らかくなっている。技術や人体の知識が発達している。ある年齢に達すると、一般的に体はこういう状態であるべきだと思われがちだが、私はそういった体験をしたことはない」

 オールスター休暇中であっても、試合がない休養日であってもイチローは球場に足を運び数時間、体を動かすことを欠かさない。そういった取り組みが数字にもしっかり現れてきている。7月月間の打率は.195だったものの、8月は現地22日までで打率が.365とシーズン終盤に入っても衰えることがない。

すべてのヒットが大事


 シーズン開幕時は4人目の外野手として、どれだけ出場のチャンスがあるのかという疑問があがっていた。しかしチームの低迷や外野陣の怪我によってイチローは貴重な役割を担うこととなり、現在は大記録達成に向けてチームはイチローと来季の契約を結ぶのか否かが注目されている。

“I’m just doing everything I can to prepare myself to get in the game the next day. And every at-bat I want to get a hit. I’m doing the same things over and over. That’s how I think. That’s my approach. Obviously, 3,000 is not the finish. It’s not the goal. It’s just a process that’s going to come when it finishes. Fans see numbers like 2,500 or 3,000. They see the milestones. But for me, every one of the hits is important ? 2,391 or 2,932 is just as important.”
「次の日の試合に出場するために出来る限りの準備をしているだけ。全打席でヒットを打ちたいと思っている。同じことの繰り返しを続けている。それが自分の考え方であり、アプローチである。当たり前だけど、3000本安打が終わりではない。それが目標でもない。全てが終わった時の過程に過ぎない。ファンは2500本安打や3000本安打の節目を見てくれるかもしれない。だが自分にとっては全てのヒットが大事であり、2391本目であっても2392本目であっても同じくらい重要だ」

「次の日の準備をすること。次のヒットを打つこと。それが自分の目標だ」と語るイチロー。チームの状態や周囲に左右されず、日々のルーティンを大切にし続けるイチローから我々も何かを学べられるのではないだろうか。

出典:In lost Marlins year, Ichiro’s excellence more evident on Sun Sentinel by Dave Hyde on August 22 2015