Doctors Me(ドクターズミー)- 【目からウロコのお悩み相談室 vol.2】子育てコミュニケーション編

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こんにちは、家族カウンセラーの宮本まき子です。前回の、【目からウロコのお悩み相談室】子育てコミュニケーション編 vol.1では、新生児期〜よちよち期までの子育てコミュニケーションについてお話しました。

今回は、子育てコミュニケーション編vol.2、ということで、子どもの「半熟たまご期」についてお話します。

親の度量が試される「半熟たまご期」編

「集団社会生活」は子どもにとって「未知の世界への冒険」の日々。そこで繰り返される失敗、挫折、自信喪失、戸惑い、悔しさなどはこのあとの人生に役立つ「経験力の貯金」です。「ダメもと」で何でもやらせてみましょう。

見かけは一丁前の人間ですが、知識度、経験値は極端に少ないのです。生意気な言動にも「半熟たまご期」と達観して、大人の度量で対応を。コミュニケーションはより高度なテクニックが必要で、メインが「アピール」と「共感」。「取り引き」、「妥協」、「演技力」はオプションでどうぞ。(ちなみに恋のテクニックも同じなんですのよ)

○プレ学齢期(4〜6歳児)
Q:下の子が生まれてから「僕のこと好き?何番目に好き?」とうるさく聞きます

A:「所属・愛情の欲求」が強いこの時期はひたすら「あなたの存在が何よりも大事」というメッセージを雨あられと降り注ぎましょう。ギュッと抱きしめてささやいてもよし、おでこにチュッとキスして「好き好き」アピールしてもよし。太陽のような笑顔と、滋養分たっぷりの「愛シャワー」を毎日注げば身体も自尊心もすくすくと伸びます。

「どちらかと言えば赤ちゃんのほうが可愛い」と生真面目に答えたり、「おまえは橋の下から拾ってきた(年配者のほとんどが一度は聞かされたみたい)」などとからかってはいけません。子どもが受けた失望感は潜在意識にもぐりこんで生涯のトラウマになります。ちなみに「うるさい!おまえみたいなガキは大嫌いだ!」と怒鳴るのは「八つ当たり」という児童虐待です。

Q:いたずらがひどくて叱ってばかり。よその子は聞き分けがいいのにとイライラします。

A:幼児期は想像力旺盛で、小さな冒険家、小さな芸術家、小さな科学者だらけ。彼らの独創的な行動を総称して「いたずら」と呼びます。この時期にやっとかないと、おとなになってから(ナイフなんぞで)いたずらすることもあるので要注意。

叱ったあとは即、倍返しで「ほめる」こともお忘れなく。「サッカーがうまいから」とか「お勉強するから」などのように、ほめるのに条件付けをするのはNG。シンプルに感嘆詞を並べましょう。「えらい、すごい、すばらしい、お見事、よくできたわね、ご立派、お利口さん、天才だね、さすが○○ちゃん…」などほめて、ほめて、ほめ殺す。「やったぁ」という達成感に親が共感してくれれば子どもはもっと伸びます。

○学齢前期(小学校1〜3年)
Q:内弁慶で引っ込み思案、クラスの集団生活に溶け込めない様子です。

A:「集団生活」とは30人以上の級友全員と仲良くすることだと勘違いしていませんか? 企業の部課長並みの配慮を小さな頭脳でやれというほうが無理難題な話。たった一人でいいからウマが合う子をみつけて、なけなしの知恵をしぼり、あらゆるコミュニケーション手段をとって友だちになろうとする、その努力だけで十分でしょう。

園は「お遊び集団」ですが、小学校は「社会の縮図」、タイプの違う子どもたちを毎日観察するだけでもたくさんのことを学べます。溶け込まないのも「自分らしさ」「個性」かもしれません。

Q:学校でもうわの空で勉強をしません。親が教えようとしても無視します。

A:残念ながら小学校の担任とウマが合わないために、早々と勉強への興味を失うこともあります。「勉強は楽しい」との実感を持たせるために、余裕があれば入塾、家庭教師も一つの選択かも。

できれば超ベテランより体育会系のネアカな大学生なんぞがいいですねぇ。算数教えながらコロンブスのアメリカ発見の話なんぞに脱線してくれて、子どもの目がキラキラすれば最高の師弟コミュニケーション。他人の力を借りるのも子育てのうちです。

○学齢後期(小学校4〜6年)
Q:子どもが友だちと万引きしましたが、理由をいいません。

A:この年齢は「ギャング・エイジ」といって、「徒党(ギャング)を組んで悪さをする時期」です。おばちゃまの教え子の大学生750人中、94%がギャングエイジを経験。例えば「悪さやりました」170人グループのデータでは「いじめ95、盗み33、万引き33、火遊びなどのいたずら22、親の金をくすねる18、器物破損18、ケンカ16、不法侵入16、喫煙3etc.」と、あっぱれな(?)やんちゃぶり。

心理学的には、「親や教師より友だちが大事。仲間との交流で友情や結束を学ぶ行動」ですが、仲間うちで盛り上がるには「大人の規制」をぶっ壊すのが一番刺激的。「やってはいけないこと」に敢えて挑戦、仲間の共同作業は「秘密厳守」です。「チクるのは仲間への裏切り」でもありますが、どこまでも「遊び気分」なので、万引きの理由を問われても「わかんない」のがホンネでしょう。

Q:ギャング・エイジは予防できますか?やってしまった後はどう対処したらいい?

A:鎖でつないで箱に入れておけば予防できます。でも、経験させるならイマしかありませんよ(と悪魔?のささやき)。小学生なら世間は「いたずら、遊び」と寛容に見逃してくれますが、中高生でやれば立派な犯罪。やるぞ、やるぞと待ち構えていて悪さのシッポをつかんだら、そこからが親の「演技力」の見せ所であります。

「万引きした店で母が土下座して謝った」「ドロボーを捕まえたと両親に交番につきだされた」「ケガをさせた人の前で父親が号泣して謝罪した」「ショックで母が寝込み、死ぬと脅された」「家を追い出されて、雪の日に納屋で寝た」など、どれもデータをくれた大学生たちの、見事な親たちの対応です。

「親は本気で自分に向き合っている」「社会は悪さを許さない」その事実に深く心打たれ、葛藤して、大きく成長するチャンスがギャング・エイジです。くれぐれも先回りして止めたりしませんように。

まき子おばちゃまからの伝言

「みんな悪いことをして大きくなった」、ギャング・エイジのデータに協力してくれた山梨大の「保育と文化」の講座生たちの感想です。18歳の彼らが13〜15歳の心理を鮮明に覚えていてくれたおかげで、このあとの「思春期」のデータもとれました。次回は中高生と親の交流にお答えしますね。

〜家族カウンセラー・エッセイスト・評論家:宮本 まき子〜