溺れた人への対処法 Yayimages/PIXTA(ピクスタ)

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 今年の夏も、海や河川で遊泳した人は多いだろう。楽しいレジャーの一方で、毎年水難事故も多発している。警視庁の統計データによれば、2014年中に全国で水難に遭った1491人中、740人もの方が亡くなったり、行方不明になったりしている。

 川や海で溺れている人を見て、あわててすぐさま飛び込んで、溺れている人を救助しようとする人は少なくない。だが、助けようとした人まで溺れて亡くなってしまう、二次被害も後を絶たない。

 なぜ、すぐに飛び込んでしまうのだろう。いてもたってもいられない思いから、我を忘れて反射的に行動するからなのか。ひょっとしたら、ドラマや映画でそんな救助シーンを目にすることが多いからかもしれない。

 理由はどうであれ、溺れている人を自らが飛び込んで助けるというのは、最もやってはいけない救助手段だ。"泳ぎ"で助けに向かうのが危険な理由は、すでに溺れている人がいるくらいだから、遭難しやすい水域だといえる。無事に、救助対象者にまで泳ぎ着けるかの確証はない。

 仮に溺れている人の元に泳ぎ着けても、パニック状態となって藁をもつかむ思いで、助けにきた人にしがみつこうとする。よほど訓練を積んだ人でないかぎり、翻弄されて共倒れになってしまうのだ。

 そこで正しい救助方法を紹介したい。そして、自分が溺れてしまった場合にも、どのような対処が最も適切なのかも合わせて見てみよう。

二次被害は周囲を混乱に! 巻き込まれないためには?

 溺れている人を見たら、何よりも先に「自分自身の身の安全を確保」しよう。ライフセーバーなどの専門家は、このことを必ず大事にする。二次被害は周囲を混乱させ、さらに救助活動を複雑にさせてしまう最悪の事態だ。

 次に、救助のための道具を用意する。たとえば、近くに浮きそうなものはないかを探し、溺れている人のほうへ投げたり、ロープを送ったりするなどの行動である。これが、自身の安全を最優先しつつ、確実に溺れている人を助ける方法である。

 「浮くもの」には、1.5リットル程度のペットボトルに少量の水を入れたものや、ビニール袋に空気を入れたもの、クーラーボックス、浮き輪やビーチボール、ビーチパラソル、ポリタンク、衣類などが詰まったバッグなどがある。

 また、ロープや棒、板きれなどを溺れている人のほうに差し出し、つかまらせて引き寄せるという方法もある。手が届きそうな場合には、引き込まれないように"陸にうつぶせ"になって手を伸ばすのがポイントだ。

 大切なのは、自分一人で救助しようとしないことだ。溺れている人を見かけたら、まずは大声を上げるなど、事故を周囲に知らしめよう。そして、近くの人に119番の消防か118番の海上保安庁への通報を依頼しよう。周囲に人がいない場合は、自分が行ってもいい。飛び込まずに、浮くものを探して投げ入れ、救助を待つのが賢明である。

自分が溺れたらどうすればいいか?

 一方、自分が溺れてしまった側だったら、どうすればいいのだろうか。多くの人は、必死に"泳ごう"とするが、これは大きな間違いだ。溺れるほどの水域なら、簡単には泳ぎきれないはずだ。無理に泳ごうとすると、いずれ体力が尽きて呼吸の確保すら困難になる。

 一番適切なのは「とにかく浮いて救助を待つ」ことだ。浮くものが近くにないか探しつつ、泳がないで体力の消耗を防いで待とう。浮くことができれば、呼吸が確保できる。もし浮くものを投げ入れてもらった場合には、ラッコのように抱きかかえる姿勢をとる。

水難に遭っても、発見しても、パニックに陥ってリスクの高い方法を選んでしまいがちだ。適切の対処方法を覚えておき、万が一の場合に備えてもらいたい。
(文=編集部)