TPPがサブカルを滅ぼす? 世界のオタク市場への意外な影響と問題点

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このところ話題となっているTPP(環太平洋パートナーシップ協定)。関税を撤廃し、貿易の自由化を目指すものだ。海外から税金のかからない安い商品が輸入されることにより、国内の商品が売れなくなるのではないか、ということで、特に米や畜産など農業関係の問題としてとらえている人が多いと思う。

しかし、実はTPPは関税撤廃だけが目標ではない。そして、それが日本の誇るサブカルチャーの世界を直撃しようとしているのだ。

●オタク文化は今やメジャーに
マンガ、アニメ、ゲームなどにのめり込んだ人々が、独自の世界を築き上げてきたオタク文化。今や日本のサブカルチャーの中心でもあり、世界に日本が誇る、文化の1つであるとともに、世界的にも大きな市場となっている

マンガやアニメ、ゲームの登場人物になりきるコスプレイヤーたちがいることは誰もが知っている。毎年2回、東京ビックサイトで開催される大規模の同人誌販売会コミケ(コミックマーケット)は、日本全国のみならず世界各地から来場者が集まり、ニュースにもなるほどだ。もはや「オタク」は世界共通語だけでなく、世界的な市場でもある。

●TPPがサブカルに与える衝撃とは?
さて、このオタク文化を初めとするサブカルチャーに、どうしてTPPが影響してくるのか。それはTPPの関税の撤廃と対をなす、もう1つの目標、各国でのルールの統一にある。
この中に、著作権侵害を「非親告罪」とするという項目があるのだ。

現在、日本では、著作権侵害は「親告罪」である。
つまり、著作物の作者が訴えて始めて成立する罪となる仕組みだ。
ところが「非親告罪」の場合は、作者(著作者)でなくても誰でも訴えることができるようになる。

サブカル文化の中心にあるコスプレや同人誌の中心は、二次創作物である。
原則としては、創作活動を行うためには原作者の許可が必要なのだが、今のところ黙認されているというのが現状だ。
こういったユーザー主体のコミュニティで盛り上がることで、ファンがさらに増えたり、正規のグッズが売れたりするのだから、原作者側にとってもメリットにあるからだ。

まさに、この「もちつもたれつ」「あうんの呼吸」といった、ゆるい関係が今のオタク文化の発展を支えてきたと言ってもいいだろう。この関係に、「非親告罪」化はくさびを打ち込もうとしているのである。

●非親告罪化になるとサブカル世界は縮小する
著作権侵害が非親告罪になると、誰でもが告訴できるようになる。作者が目を光らせていなくても、著作権を侵害しているものを見つけることができるという点では、不正な利用を防止するには良いだろう。悪質なものについて監視できることは、作者側にとっての大きなメリットなる。

しかし、「非親告罪」化は、作者が容認してもいいと思っている活動や制作物でも、罪に問われてしまう危険性が出てくる。
場合によっては、二次創作をしている人がいやがらせで告訴される可能性もある。

このように、いつどこで誰からか告訴されてしまうかわからないという状況は、二次創作の世界や活動を萎縮させ、衰退させる要因となる恐れがあるのだ。

せっかく日本で花開き、世界に広まったオタク文化をすたらせないためにも、著作権の非親告罪については慎重に検討してもらいたいものだ。
仮に受け入れることになっても、判断基準の明確なルールの設定やガイドラインの設置など、十分に配慮して交渉してもらいたい。