多面な活躍を見せる! 武井壮さん(オフィシャルサイトより)

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 8月16日、仏・リオンで行われた「世界マスターズ陸上競技選手権大会」において、40〜44歳が出場する「M40クラス」の400mリレーで、タレントの武井壮さんが金メダルを獲得した。武井さんは日本代表チームのアンカーとして出場。世界記録には及ばなかったが、42秒70という日本記録を更新する好タイムで金メダルを獲得した。

 陸上・十種競技の元日本チャンピオンの武井さんは、この2年間、仕事の合間に毎日1時間、全力を尽くしてトレーニングを続けてきた。その努力の結果が、世界の舞台での金メダル獲得だった。

 地上最強の"百獣の王"をめざしてトレーニングを続けているという武井さんだが、先日、ロックバンド氣志團の綾小路翔さんを"救う"というナイスな一面を見せている。武井さんの適切な指示による応急処置で、綾小路さんが靱帯損傷の危機を免れたというものだ。

「スーパードクター直太朗!」の影には......

 今年1月に右足の骨折および靱帯損傷のケガを負い、8月14日に受けた検査で骨折が完治したと報告した綾小路さんだが、その少し前にも再び階段で足首をひねり、危うく靱帯を損傷しかねなかったという。

 綾小路さんは足首をひねった際、ちょうど居合わせた友人で歌手の森山直太朗さんに応急処置をしてもらったという。激痛はあったもののそれ以上は悪化せず、骨にも異常はなかった。最初はテーピング処置を施した森山さんだったが、綾小路さんの腫れた足首の状態が気になり、友人の武井さんに連絡をとって適切な方法を聞き、再度、処置を行ったという。

 ネット上では、森山さんを「スーパードクター直太朗!」と称賛する驚きの声があがったが、その影には武井さんの的確なアドバイスがあったというわけだ。

足首をひねったときの応急処置とは

 足首をひねる、くじく、いわゆる足の捻挫(足関節捻挫)とは、関節に無理な力がかかることによって、靭帯などの組織を痛めてしまうこをいう。スポーツに限らず、日常の場面においても頻度や重症度が高く、習慣化しやすいケガのひとつだ。治りきっていないうちに同じ箇所を傷めると、容易に捻挫を繰り返すようになる。

 最初の応急処置が、その後の回復・治癒に大きく影響する。今回の「悪化せずに大事に至らなかった」という綾小路さんのエピソードは、的確な処置を象徴したものといえる。

 では、私たちが同じアクシデントに見舞われた際、どうすればよいのか? 一般的には「RICE処置」が基本とされている。「RICE処置(Rise, Ice, Compression and Elevationの頭文字)」とは、「安静、冷やす、圧迫・挙上(心臓より高い位置)」のことだ。

 「RICE処置を適切に行うことで、足関節捻挫の慢性化を防ぐことができる」とアドバイスするのは、豪・Curtin大学で最新の理学療法を学んだ理学療法士の三木貴弘氏。「足関節捻挫が"くせになる"のは、治りきっていない状態で日常生活を続けてまたケガをする、ギックリ腰を繰り返すのと似たようなメカニズム」だという。

 綾小路さんの場合も「RICE処置によって炎症症状を最小限に抑え、痛みと腫れが数日でひいたのだろう」と三木氏は推測する。

新定説は「冷やし過ぎは悪化させて回復が遅れる」!

 ただし、RICE処置のICE(冷やす)に関しては、「冷やし過ぎることで逆にケガを悪化させ、回復が遅れる」のが定説だという。三木氏はスポーツ医学専門誌『Sportsmedicin』(2015 NO.171)の「アイシングの有効性をめぐる文献的考察」で、いくつかその理由を述べている。

 「1978 年にRICE 処置を提唱したDr. Gabe Mirkin が、2014 年に自身のホームページ内で『RICE 処置は回復を遅らせるものかもしれない』と述べており(正しくはそのなかの安静とアイシング)、組織が回復するのに必要な炎症反応まで抑えると、修復に必須のホルモン『IGF-1』の放出も遮ってしまう」のだという。

 三木氏は「具体的には、冷やす場合は20分以内を目安に。捻挫のあとは周りの筋肉が萎縮している場合がある。足関節周りにある『固有受容器』という感覚器の機能も低下したままだと、再びケガをしやすくなる。筋力トレーニングなどのリハビリを行わずに、安静だけで日常生活に復帰するのはお勧めしない」とアドバイスをする。

 一説によると1日に人口1万人あたり1人が受傷するといわれている足の捻挫。もし、このようなアクシデントに見舞われた場合、まずはRICE 処置を行い、冷やす場合は20分以内にとどめるのがポイントだ。
(文=編集部)