専門誌では読めない雑学コラム
【木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第17回】

 日本アマチュアゴルフ界の、変わった"風習"とでも言うのでしょうか、クラブハウス入場時のジャケット着用のルール、なんとかならないですかね。さすがに夏の酷暑時は、ジャケットを着なくてもいい、となっていますがね。暑くて着なくていいなら、年中着なくていいと思いますが、どうでしょうか。

 そもそもジャケット着用のマナーは、英国からの伝来です。あちらの国では、ネクタイをしめて、ジャケットを着用してプレイしていたのですから、そりゃ筋金入りです。

 でも、アメリカにゴルフが伝来し、すぐにやめたのが、ジャケット着用でした。カウボーイの国の人は、実用的な服装を好みますから、プレイ中にジャケットは着たがりませんね。だいたい暑くて、満足にプレイすることなんてできないし......。

 ジャケット着用を簡素化して編み出されたのが、襟付きのポロシャツです。その襟が、ジャケットの名残。せめて襟を正して、ジェントルマンのスポーツをしよう、となったんですね。

 日本は、英国コンプレックスな方が多いので、ジャケットが好きな方が多いです。というか、一部の中途半端な名門コースが、ジャケット着用を義務づけて格式を上げたい、そういう目論見が、そこはかとなく見え隠れしています。

 鶴舞カントリー倶楽部(千葉県)でも、私が会員だった頃、新しい社長がやって来て、クラブハウスの入り口に立って、ジャケットを着てないメンバーに着用を促すようなことをやっていました。その社長、まるで中学校の門前に待ち構えて生徒指導する先生みたいに振舞うんです。

 それには、私もさすがに頭にきて、「それはやり過ぎじゃないの?」と、クレームを出しましたよ。その場ではラチが開かないので、そのまま社長室で1時間ぐらい、激しい意見の応酬となりました。

 そして、最終的に「絶対、ジャケットは着ませんから、除名なり、何なり、好きにしてください」と私が言うや、「除名はできませんが、こちらとしてもジャケット着用の運動は続けます」と、相手も譲らない。そこで、こちらは最終兵器を持ち出しました。

「最近、鶴舞CCが、売りに出ているみたいですね。ジャケット着用より、もっと経営面でやることあるんじゃないの?」と、言い放ったんです。そしたら、相手は黙りこくって、「なんで、そんな話を知っているの?」っていう顔をして、何も言えなくなったのです。

 その後、鶴舞CCは、三井系から東急系に経営が移りました。つまりその頃、売りに出ていたのは、間違いなかったんですね。

 まあそれはいいとして、そもそもジャケットって、ゴルフのプレイに必要なんですか? クラブハウスの玄関に入って、名前を書く間の、わずか30秒だけでしょう。あとは、ロッカーの中に仕舞い込んでいるだけ。プレイ後に、立派なパーティーがあるならジャケットを着ますが、一般のプレイだけならまったく必要ないでしょう。

 歴史も、格式もあり、会員権相場が500万円以上の、真の名門コースに行くなら、ちゃんとジャケットを着て行きます。「あそこは格式が高いから、ジャケット着て行こう」って自ずと思いますよ。

 名門は、長い年月をかけて、そういう雰囲気を作り上げてきたのです。我々は、歴史の重み、メンバーの質の高さに敬意を表して、ジャケットを着るのです。

 なのに、中途半端な"自称名門コース"は、ネットでばんばんビジターを入れているわけですよ。それでいて、ジャケット着用はないんじゃないのって、思うわけです。私は、それを言いたいのです。

【プロフィール】
■木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa