遺骨を遺棄するのは犯罪だが、遺失物の遺骨で罪を問われたケースは聞かない

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お墓がなく、手元に置いておくことも無理なのか、遺骨を意図的に公共施設などに置いたまま立ち去り、遺失物にする人たちがいる。その遺骨はどうなるのか。ダイヤモンドQ編集部が調査してみた。

 遺骨は、勝手に破棄することは法律上できない。そのため、お墓に納骨するか、自宅においておくしかない。その遺骨が遠い親戚のものだったりしたら、取扱いに苦慮する人もいるだろう。そこで、遺骨をわざと電車の網棚や公衆トイレなどに置き去る人がいる。

 かつては、電車の網棚に置いていく人が多かったと言われるが、最近では、スーパーのトイレに遺骨が置き去られていたという事件も発生している。 

 こうした忘れ物の遺骨はどうなるのだろうか。

 どこで遺失物となっても、遺骨は事件性を見極めるために直ちに警察に引き渡される。事件性がないと判断されると、3ヵ月間保存され、合同埋葬施設に祭られる。

 警察は実態を詳細には公表していないが、取材に応じる形でデータが明らかになっている。「読売新聞」の報道によれば2012年に九州圏で16個、近畿・四国圏で27個、警視庁管内で10個の骨壺の遺失物があった。遺骨を供養しているお寺の話として「遺骨置き去りが2倍のペースで増えている」と伝えられている。

誰の遺骨か特定できない

 遺失物の骨壺には共通点が多い。戒名札や火葬場を特定できるような包みが取り除かれていることだ。つまり忘れたのではなく、「捨てる気で捨てた」のだ。

 遺失物としての遺骨放棄は、刑法でいう遺棄罪に当たる可能性がある。一般ごみなどとして捨てれば、「習俗上の埋葬儀礼に反する」として、遺棄罪の適用を検討されるが、遺失物で罪を問われたケースは今のところ聞かない。そもそも、置き去ったのが誰か分からないのだから、罪に問いようがないのだ。

 遺失物にすることに対しては、「死者への弔いの感情がない。死者の尊厳を犯しているのではないか」という批判がある。遺骨には亡くなった方の魂が宿っているという考え方もあるので、それは当然だろう。

 一方で、ある県警の遺失物担当者は、「遺骨を遺失物にしたということは、一度は遺骨を受け取っているということ。その後、さまざまな事情で遺失物にしてしまったのだろうが、遺骨を受け取っただけ、死者への愛情は多少なりとも残っていたのではないだろうか。遺骨を置き去った人をむげに批判するべきではない」と語る。遺骨を置き去る側にも、さまざまな事情があるのだ。

 最近は、お墓を購入する余裕がなく、自宅で遺骨を何個も保管しているという家庭も多く、何とか処理したいと考える人もでてくるのだろう。ただし、いくら遺骨の取り扱いに困っているからといって、置き忘れるのはやはり故人に対して失礼だ。今は、数万円から遺骨を合祀してくれるお寺も登場している。故人を思い出して、よく考えてから行動してほしい。