ヒロシさん

「ヒロシです」のネタで一世を風靡し、一時は最高月収4,000万円となったものの、その後低迷し、最低月収0円へ。人生の酸いも甘いも知り尽くしたお笑い芸人のヒロシさんに、夢を追いかけるアラサー女性の仕事と結婚の悩みを聞いてもらいました。

>>【前編はこちら】僕は「ヒロシです」で死んでいきます  最高月収4,000万、最低月収0円の芸人・ヒロシの現在

自分が欠点だと思っていることを生かしたら、上手くいく時もある

――ここからはアラサー女性のお悩み相談をさせていただきます。30代になると、自分の可能性に限界を感じてきますが、その時、どう仕事に向き合ったらいいですか?

ヒロシ:僕もとっくに限界は感じています。お笑いを始めた時はダウンタウンさんみたいになりたかったんです。でも、現実はなれないんだ、ということがわかってきます。その時に、方向転換しようと思って、売れるために違う道を作ろうと生まれたネタが「ヒロシです」なんです。僕は、極度の人見知りなので、ツッコミされないし、ひと言で完結できるネタを考えた結果、あのネタができました。昔からすごいモテモテで、テンションが高かったら、このネタはできていないと思います。そもそも、家がお金持ちだったり、何不自由なく暮らしていたら、お笑いも始めていないですしね。やり方を変えて、自分が欠点だと思っていることを生かしたら、上手くいく時もあるんじゃないですかね。

もしも、芸人という仕事に行き詰まって、向いてないなと思ったときに、自分が辞めようと思って辞めれば違う仕事はできますよね。でも、充実度が少なかったりする訳でしょ? 結局は自分で決めたほうがいいということですよね。考えすぎてもよくわかんないんですよ。ある程度考えたら、やるかやらないかがわかってくると思います。誰かに相談しても、結局、所詮他人事ですからね。自分で決めるしかないんじゃないかな。

――芸人、俳優、歌手など、東京で一発当ててやろう! と夢に向かっている人は山ほどいると思いますが、あきらめ時についてどう思いますか?

ヒロシ:僕、最近思うんですけれど、別に売れなくても自分が楽しけりゃいいんじゃない? という考えもありますよね。前は年とって売れなかったら、最悪だなと思ってたんですけど、好きなお笑いに携わって死んでいけたら、お金がなくても、贅沢ができなくても、いいんじゃないんですかね。人によって各々の幸せの価値観があるからわからないけれど、自分が幸せならいいんじゃないでしょうか?

僕は、サラリーマンが向いていないし絶対無理なんですけれど、もしもサラリーマンになったら、給料だって倍ぐらいもらえるかもしれないし、ボーナスも出て良い生活ができるかもしれない。でも、おそらくひどく病むんですよね。例えば30歳までで芸人辞めますとか決めて実際に30歳で辞めて、よその仕事に就いたとしても、はっきり言ってその仕事はぜんぜんおもしろくない可能性があるわけじゃないですか。芸人の人たちはおもしろいことが好きだから、急に違う仕事にほっぽり出されても、物足りないかもしれません。だから、イヤなこともいっぱいあるけど、アルバイトをしてでも、そっちを選んでいいかな、と最近思うようになってきたんです。30代の女性にとって、良い話かわからないですけど、結局は自分がやりたいようにやればいいんです。

10年ぐらい前、32歳ぐらいの時にブームになって売れる前は、何度もやめたいなと思っていました。でも、売れたら売れたで忙しすぎるし、いろいろなことが精神的にきつくて、やめときゃよかったなと思ってしまいました。それに、売れなくなると、上からモノを言ってくる人がいっぱい出てくるんです。でも、世間ではいなくなったとされていますが、応援してくれる方もいますし、何だかんだで食えてますから、良い方だと思ってます。

結婚したって絶対幸せになるなんて言えないですよ

――結婚についておうかがいします。結婚を熱望するアラサー女性と、最近話題になっている40代の結婚できない男性がうまく結婚に結びつかないのはなぜなのか疑問なのですが、40代のヒロシさんはどういう女性を相手にしたいと思いますか?

ヒロシ:僕は人が信用できないから、理想の女性についてはわからないですね。ただ、アラサー女性がなぜ結婚できないのか、身も蓋もないこと言いますが、結婚ができないという人は、おそらく多少顔と性格に問題があるんでしょう。若い頃は、若いというだけでちやほやされるから勘違いして、そのまま年をとってしまった可能性もあるので、それなら理想を下げるしかない。

そうすると、給料をあんまりもらっていなくて、顔も不細工な男しか残っていないんですよ。それで妥協して、幸せになるのか、ということですよね。どうでもいい相手とでも、結婚はできると思います。でも、選ぼうとするから結婚できないんでしょ。結婚をひとつのゴールと思っているんだったら、誰でもいいから結婚すればいいけど、実際に結婚したら、ロクなもんじゃないわけじゃないですか。そもそも、結婚なんてしたってさ〜。絶対幸せになるなんて言えないですよ? そうとも限らないかもしれないけど。

――ヒロシさんは結婚されないんですか?

ヒロシ:しないですね。だって、例えば結婚したとします。僕は家を買うなら一軒家がいいから、一軒家を建てるでしょ。そしたら、すぐにヒロシの家だってバレる。そこから出てくる嫁はヒロシの嫁でしょ。バカにされるでしょ。子どもが出てきたら、ヒロシの子どもでしょ。バカにされるでしょ。絶対にいじめられるから、かわいそうですもん。子どもいませんが。

僕も43歳だから、普通のサラリーマンだったら、結婚しているんでしょうけど……しょうがないですよね。普通じゃない道を歩んじゃったから。そんな中でも、一発屋というバカにされる職業になっちゃったから、しょうがない。結婚したいと思ったらするだろうけど、今は恐れの方が強いですね。

――仕事も恋もうまくいない人生に疲れた女性にメッセージをお願いします!

ヒロシ:今は無理でも、行きたいなと思う方向に頭を向けておきなさいよ、ということかな。ダメでもダメでも向いていれば、向かないよりは近づいていくんだから。結婚がしたいなら、婚活パーティに行けばいい。何もしなかったらゼロだけど、とりあえず婚活パーティ行ったら、奇跡が起こるかもしれないし。1回目でダメなら何回もいけばいい。その中で変な結婚詐欺とか遭うかもしれないけど、あきらめたら結婚できないんですから。

僕だって、超売れっ子になりたいと思って、無理だと思いつつも、完全に無理だと思ってたら、そこには辿り着けない。でも、無理じゃない、無理じゃない、と思っていれば、運が良ければいつか売れるかもしれない。あきらめないで、頭を向けておけばいいんじゃないかな。と思うけど、まぁ無理なものは無理っていうのもありますね。僕がダウンタウンさんになろうと思っても無理なんですから。

「ヒロシのお店」

[店舗情報]
●カフェ&カラオケ喫茶「ヒロシのお店
住所:東京都中野区中央2-8-5-B1
電話:03-3365-0555
営業:12:00〜18:00、19:00〜23:00
定休:月曜

(上浦未来)