Mac、iPhone、iPad間でファイル共有が簡単にできるAirDropだが、公開範囲の設定を注意しておかないと見知らぬ誰かからスパム行為を受けかねない。

◎注意しておきたいAirDropの公開範囲
AirDropはiOS 7以降を搭載したiPhone(iPhone 5以降)やiPod touch(第5世代)、iPad間で動作する機能。OS X Yosemite搭載のMacでも対応したことから、iPhoneなどiOS同士だけでなく、MacOSのMacBookとiPhone間でも容易に写真やファイルのデータ交換が可能という便利な機能だ。

使い方は、iPhoneでコントロールセンターを出して、AirDropをクリックし公開範囲を指定するだけ。Macの場合はFinderから「移動」→「AirDrop」を選択、あるいはFinderウインドウのサイドバーで「AirDrop」を選択する。

これだけで、近くにいる公開されている相手が見える。
なお、AirDropはWi-FiとBluetoothを利用するが、あらかじめ両者をオンにしておかなくとも、AirDropをオンにするとWi-FiもBluetoothもオンになる点も便利だ。

ただ、注意しておきたいのがAirDropの公開範囲だ。現状では、
・オフ
・連絡先のみ
・すべての人

しか選べない。

オンかオフしかないような大雑把すぎる感じだが、基本的には「すべての人」に設定して使うことになる。
「連絡先のみ」の場合に表示される相手は、自分も相手もiCloudにサインインしており、連絡先データを同期しており、それぞれのメールアドレス(Apple IDにしているもの)が登録されている必要があるためだ。

つまり、初めて会った人とその場ですぐにファイル交換したい場合は、「すべての人」を選択するしかない。

しかし、この場合、近くにあるすべてのAirDrop対応デバイスからも見えてしまう。

これは、知らない相手でも自分にファイルを送りつけることが可能な状態だ。
もちろん、送られてきたファイルを受信するかどうか確認画面が表示されるが、画像であればプレビューが表示されてしまうため、見たくない類の写真が送られてきた場合は、否応なく目にしてしまうという事態になる。

予防策としては、
ピンポイントで使うときだけオン、使い終わったらオフというように設定をこまめに切り替えることだ。
通常、コントロールセンターはロック画面からもアクセスできるので、こうした設定変更もそう手間ではない(階層も深くない)。

あるいは、そもそもAirDropなんて必要ない、ファイルの交換もすることなんて想像できないというなら、機能制限でオフにしてしまうことも可能だ。
「設定」→「一般」→「機能制限」で「機能制限を設定」をオンにし、AirDropの許可をオフにすればいい。

◎デバイスの名前にも注意
また、前述のようにAirDropの公開時やインターネット共有、Bluetooth共有をオンにしている場合、自分のiPhoneが近くにいる他の人のデバイスから検索可能な状態となっている。

このときiPhone(デバイス)の名前を本名にしていると、それがすべて、見ず知らずの人に公開されてしまうことになる。
「◯◯◯◯のiPhone」というような表示、電車やカフェでWi-Fi接続を探すとき、けっこう目にするのではないか?

購入した際の初期設定時は、通常デバイス名にはApple IDに紐付いた本名が自動で設定されるので、この際、変更しておこう。
「設定」→「一般」→「情報」の名前欄で、本名ではない、何かわかりやすいニックネームなどに入力し直せばいい。

ピアツーピア(サーバーを介さない)のファイル共有機能は便利だし、iOSでも、このあともきっと進化していく機能だと思われる。
ユーザー側は、その機能を使う/使わないにかかわらず、自分のデバイスの設定がどうなっていて、それが他の人に公開されている状態なのか、どう見えるのか確認しておくことだ。
OSのバージョンアップ時に、新機能(や変更点)を確認しておくことも必要だろう。


大内孝子