20日に起こった福岡西方沖地震では、電話会社の交換機や電話線に被害は生じなかったようだ。ただ、災害が発生したときの常で被災地への電話は一時かかりにくくなった。電話会社は地震発生直後から災害用伝言ダイヤルや伝言板のサービスを開始していたが、被災地への通話が殺到したようだ。被災地につながりやすい電話はあるのか。

 公衆電話は災害時につながりやすいと言われるが、「音声通話はどういった経路で電話をかけても、最後の交換機が一緒なので、公衆電話が必ずつながるとは限らないんですよ」とNTT西日本の担当者は語る。NTTでは固定電話の発信規制をしたが、公衆電話は規制の対象外だった。しかし、九州地方にかかってくる電話の本数そのものが増えれば、公衆電話といえどもつながりにくくなるようだ。

 10年前の阪神・淡路大震災の時につながりやすかったと言われた携帯電話はどうだったか。今回NTTドコモやauでは音声通話の規制を最大で8割ほど行った。携帯電話の利用者数が当時と比べて多くなっているので、災害時につながりやすい、とは言えない。メールについては、ドコモとauのCDMA 1X WINでは、規制を行わなかったという。auの端末ではWIN以外は構造上、音声と同時にメールも規制がかかったとのことだが、データの流れ方が違うので、メールの方がつながりやすかったとのこと。

 固定電話と携帯がつながりにくくなれば、人々はインターネットに情報を求める。近年インターネットへの接続回線として、電話線を利用するADSLが主流となってきている。ADSLは電話局内で電話網に入る手前で、音声信号とデータ信号の行き先が分かれるので、固定電話に規制がかかっても接続回線としては影響を受けない。ただし、接続プロバイダー側が混雑してしまうと、接続回線側で規制が行われていなくても、つながりにくくなってしまう。IP電話についても同様で、プロバイダー側の混雑により、つながりにくくなる可能性があるという。

 では、電話会社が利用を呼びかける災害用伝言ダイヤルなどは、どのような仕組みなのか。災害用伝言ダイヤルを提供するNTTのホームページによれば、「災害時は、被災地内と全国から被災地への電話回線は混雑しますが、被災地から全国への発信回線、被災地外と全国間の電話回線は比較的余裕があります」とある。被災地に比べれば回線に余裕のある地域に「伝言」を分散させて、回線の混雑が一部に集中しないようにしている。

 公衆電話や携帯電話といった手段を問わず、被災地に通話が集中すれば電話がつながりにくい状態(ふくそう)が発生する。災害時に被災地へつながりやすい電話は、ない…。【了】