朝ドラ「まれ」(NHK 月〜土 朝8時〜)8月15日(土)放送。第20週「男たちのウイークエンド」第120話より。脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出:西村武五郎


120話は、こんな話


失踪した徹(大泉洋)は、希(土屋太鳳)のケーキ屋のために大量の企画書や資料を残していた。それでも、残された家族の気持ちを考えない徹に怒りと悲しみを覚えることを抑えられない希に、圭太(山崎賢人)が徹の本当の思いを説く。

120話は、終始シリアス


珍しく、15分間笑いがなく、シリアスなトーンで貫きました。照明もアンバーを多用して、落ち着いた画面になっていました。
でも、前もそう思ったのですが、いままで何度も、真剣に考えてもすぐにあっけなく解決されて肩すかしをくらわせられてきたため、どうも流れに素直に乗れないんです。
出ていった徹に対して、登場人物たちも、これまでの彼の行いから鑑みてまた戻ってくるんじゃ・・・と口々に言います。でも、彼らはあくまでも、そう言ってざわつく気持ちを落ち着かせているというトーンです。真面目に受け止めているんです、徹の行為を。素直ですね、「まれ」のひとたちは。
こっちは、そんなに素直でもないし、切り替えがそんなに早くできるほど器用でもないので、徹が割烹着着て女将さん(ごっこ)している姿が目に焼き付いて離れなくて、この回のシリアストーンとのギャップに混乱しました。相反する命令をされて壊れてしまうロボットみたいな気分です。
あんなに、素敵な生き方と思っていた元治(田中泯)と文(田中裕子)の真面目なやりとり(いままで本気で怒ったのは2回という場面)すら、響かなくなってしまって、哀しい・・・。

心を鬼にして、つっこ「まれ」


「夢は家族そのもの」と気づく徹。
その昔、東京に住んでいたころ、仕事がうまくいかなくて絶望していた徹は、幼い希がつくってくれたケーキで救われたので、希のパティシエの夢をかなえたいのだと語ります。
感動的なところなのでしょうけれど、いまさら、そんな話する? そんなふうに思っていたなら、もう少し前に人生立て直しているのでは? 
それに、紙袋二袋分も、資料や企画書つくって、これだけやれるなら、今までももうちょっと何かしら仕事できると思うんですよね。
「まれ」は、人間とは、かくも忘れっぽく回り道ばかりして愚かである、ということを描きたいのだ、と思って納得させるしかありません。
(木俣冬)

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いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))