病状がさらに進めば、体温調節の失調が起きて体温の異常上昇、痙れん、昏睡などの症状が現れ、最悪の場合は死に至ることになる。そこで必要なのが、専門家の意見を基にした次のような「緊急対処法」。この機会に、ぜひ頭に入れておこう。
 ◆倒れた場所が屋外の時…日蔭で涼しいところへ避難させ衣類を素早く脱がせて体を冷やす。首、脇の下、太腿の付け根など、血管が皮膚表面に近い所をうちわなどで冷やし、氷のうや濡れタオルなどで拭く。
 ◆水分・塩分を補給する…水分だけでは汗によって失われた塩分を補給できないため、スポーツドリンクなどを少しずつ飲ませる。ただし、意識がなく救急車を待っているような時は、無理に水分を飲ませない。
 ◆皮膚が青白く体温が正常な時…この場合、倒れた人の足は、心臓より高くし、仰向けに寝かせ、水分・塩分入りの飲料を少しずつ飲ませる。
 ◆皮膚が赤く、熱っぽい場合…直ちに寝かせるのではなく、クッションや衣類を体の下に敷くなどして、上半身を高くし、座っている姿勢に近い状態にする。体を冷却するために、氷で集中的に冷やすのがベスト。氷がなければ水を体に吹き付け、風を送って冷やす。アルコールで拭くのも良い。

 次に、こうした熱中症を未然に防ぐ「熱中症にかからない」ための予防ポイントを、熱中症などの季節病に詳しい気象業務支援センター専任・平川恒久氏に聞いた。
 「熱中症対策の予防では、まず身体を暑さに慣らすことが挙げられます。とくに涼しい日の後の暑い日は、熱中症に注意。気温が20℃近く下がった翌日、30℃近くまで上がった時になりやすい。その時の対策の一つが衣類です。1枚の衣類は5℃程度の体感温度を左右する。寒い日には衣類を重ね着し、暑くなったら脱ぐ。それをこまめに行ってください。たった1枚の上着の着脱が、熱中症予防につながります」

 ほか、平川氏は熱中症予防の具体策として、次の点を挙げている。
 ●喉の渇きを感じたら直ぐに水分補給…喉の渇きを覚えた時点で、すでに初期の熱中症と考えられる。夏の場合は喉の渇きがなかったとしても、こまめな水分を摂ることが大事(塩分入りが望ましい)。
 ●ビールでの水分補給は…運動後のキンキンに冷えたビールは最高!? スペインのグラナダ大学の研究では、「運動後の脱水症状の改善にビールが良い」との結果が出ている。大量のミネラル分や炭酸が有効な理由だ。ただし、飲む量は男性で500ミリリットル、女性は250ミリリットルまで。ガブ飲みは、逆に危険だ。
 ●水分は“胃に優しい”15℃前後が良い…補給する水分は「ぬるめの白湯が一番」と言うのはウソ。理想の水温は5〜15℃。冷蔵庫から取り出してコップに注いだぐらいが、その温度だ。
 ●猛暑日は、冷房の効いたデパート入口や、地下街へ避難…厚労省の暑さ指数(WBGT)は気温・湿度・風速・輻射熱を総合的に判断したものだが、室内温度28℃でも湿度55%を超えると熱中症の警戒が必要。
 ●クーラーを上手に使って熱中症対策…クーラーをつけっ放しで寝ると体に悪い」とは思わないで、「ドライ」や風量調整で上手に使っての睡眠は有効策だ。

 以上の熱中症の的確な対策や提言を参考に、猛暑から“心臓”を守るべし。