女性誌『non-no』『FRAU』『VERY』の読者はどんな人格? 漫画家・能町みね子さんが分析
初めて訪れる美容室はなにかと緊張するもの。
あなたはどっち? “人差し指”で分かる、「男性脳」と「女性脳」の違い
特に新しく担当してくれる美容師さんと何を話そうか構えてしまいますよね。先に要望だけ伝えて、後は雑誌に没頭し、「話しかけてこないでオーラ」を全身で出す人も多いのではないでしょうか。
35歳男の筆者は、先日、初めてとなる美容室に行ってきました。
どうなるかと思ってはいましたが、気さくな美容師さんのおかげもあって、リラックスした時間を過ごすことができました。
さりげなく、「美容師さんもお客さんとのコミュニケーションは大変じゃないですか?」と本音を探ったところ、やはり最初に伝えた髪形の要望だけだと難しいこともあり、コミュニケーションをとりながら調整することもあるそう。また、お互いがリラックスするためには、何げない会話でも必要だと教えてもらいました。
美容師の会話は「必要ない」という人の声はよく聞こえてきますが、「話しかけてくるな」と気をはっていても疲れますし、逆に美容師さんからぶっちゃけトークを聞き出しても良いのではないでしょうか。
そんな美容室の時間で気になることがありました。目の前に並べられた雑誌です。店内にある雑誌の中から、美容師さんが選んで持ってきてくれるのですが、私の目の前には雑誌『LEON』『OCEANS』『マデュロ』『SPA!』が並べられました。ちょっとギラギラ感の強い大人系雑誌がそろい面食らいました(汗)。
どちらかというと普段は、雑誌『BRUTUS』『Casa BRUTUS』や女性誌の『Premium』などを購入し、文化系を前面に押し出していたのですが、美容師さんには全くそう写らなかったそうです。
美容師さん曰く35歳という私の年齢を聞いて、年相応の雑誌をチョイスしてくれたそう。当日、スーツ姿で訪れたのも影響したのでしょう。ただ、「自分の見た目はこんな雰囲気なのね」と学ぶにはちょうど良い機会でした。
少し前置きが長くなりましたが、雑誌って、「こんな人が読んでいそう」というイメージがありますよね。その雑誌のイメージを通して、読んでいる人の雰囲気が想像できるのです。
そんな雑誌と人格に注目し、独自の視点で分析をしているのが、漫画家の能町みね子さん。自著『雑誌の人格』は、雑誌『装苑』での連載が書籍化したもので、あの素敵な雑誌も、イカした雑誌も本当はこんな人格だったと、約40もの雑誌の人格を紹介しています。これが大変面白いので、本日はその一部を紹介させてもらいます。
例えば、女性誌の『non-no』は、「自信のなさすら奥ゆかしさとして長所に転じさせる力を持った『女性性』の強いモテる女子」と表現されています。
知名度の高い同雑誌ですが、ファッションの傾向としては特に偏りがなく、無難なものとなっています。逆にそれが多くの女性に刺さるようで、誌面には多くのアイテムが並び、カタログのように楽しむことができる一冊となっています。
『non-no』読者の特徴としては、恋愛面でもそこまで活発ではなく、むしろ古風な考え方を持っているとのこと。専業主婦でも良いし、普通にイケメンが好きだったりします。
いわゆる普通の女性。そんな彼女たちがもつ武器は「女性性」だそう。
そして、それが希薄なところがまた良く、恋愛が苦手な男子大学生が想像する「身近な女子」を具現化したものに近いと、同書では紹介されています。何となくイメージが沸きますよね。
他にも雑誌『JJ』は、「『モテ』も『コンサバ』も超えて仕事(ファッション関係?)に生きる、野心と中身のある女子。」と紹介され、『FRAU』は、「野心はさほどなく、手の届くところにある贅沢を享受するのがうまい女子たち。」と。
また、『VERY』は、「家族という生活基盤を大事にする『ママ』文化の中心的存在。セレブに憧れつつ、下世話さも捨てきれない。」。
『美STORY』は、「あきまで生活を第一にしつつ、『美魔女』に少しは近づこうと現実的に前向き生きる女の人。」。『エココロ』は、「『よく選択して暮らす』という価値観を土台とし、豊かで快適な、ある種の『社交界』を楽しむ大人の女性」。
あなたの愛読書はこれらに含まれていましたか? 雑誌を通して人格をイメージするのは、なかなか妄想癖のある方には楽しみな遊び方では?
ちなみに男性誌の『LEON』は、「仕事はできるし金もある。そんな今だからこそどうにか女にモテたい、愛すべき中年」と紹介されています。
なんだか自分とは180度違うタイプですけど、この雑誌を選んでくれた美容師さんに感謝!!
【書籍情報】『雑誌の人格』能町みね子著 文化出版局