レストランでは塩の超過に注意 sibrikov/PIXTA(ピクスタ)

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 忙しい私たち現代人の暮らしに、今やなくてはならないものがファストフードチェーンなどの「外食」。安い・早い・便利ゆえ、つい週に何回も利用してしまう。すると、「あまり頻繁だと身体を壊さないかな」と、健康のことが頭をよぎることもあるだろう。

 確かにファストフードはヘルシーではないイメージが強い。同じ外食をするなら、ハンバーガーショップで慌ただしく食べるより、少しお金と時間をかけても、レストランで食事をしたいと考える人も少なくない。

 だが、ファストフード大国の米国で、「ファストフード店よりも普通のレストランで食事をするほうが塩分やコレステロールの摂取量が多い」とする研究が『European Journal of Clinical Nutrition』(7月1日)に掲載された。

 報告した米イリノイ大学の主任研究者のルオペン・アン助教授は、「ファストフードは悪者にされがちだが、それはあくまでも家での食事と比較した場合のこと」と指摘している。

レストランは塩、ファストフードは油に注意

 今回の研究では、2003〜2010年にわたる全米健康栄養調査(NHNES)によって収集されたデータを解析。約1万8100人(成人男女)に、24時間以内に摂取した食事を2回記述してもらったところ、3人に1人弱がファストフード店で、4~5人に1人がフルサービスのレストランで食事をしていた。

 解析の結果、ビタミンB6、E、Kなどのビタミン類や、銅、亜鉛、カリウム、オメガ3脂肪酸については、ファストフードや家で作る食事よりもレストランの方が豊富で健康的であった。

 半面、レストランの食事には、家で作る食事に比べて、1日あたり58mgの余分なコレステロールが含まれていた。それに対してファストフードの超過分は10mgにとどまった。さらにナトリウムの量も、レストランは家での食事に比べて1日当たり412mg多かったのに対し、ファストフードは300mgだった。

 これについては、「ナトリウムの超過はより問題だ。アメリカ人のナトリウム摂取量はすでに推奨上限量をかなり超えている。高血圧や心臓病などの健康問題をもたらしていると考えられる」(アン助教授)と語っている。

 一方、飽和脂肪酸や砂糖の含有量は、ファストフードが最悪。繊維質、ビタミンA、D、C、マグネシウムも著しく乏しかった。ちなみに、レストランで注文したメニューを自宅で食べた場合、外食よりも健康的な内容だったという。「おそらく外食は社交的イベントであることが多く、食事に費やす時間が長いため食べ過ぎるのだろう」(同助教授)と指摘する。

 高級レストランであろうと「外食」である以上、家での食事よりもヘルシーとはいえず、利用しすぎは健康を損ねる危険がある。塩分の過剰摂取などは、むしろファストフードよりも警戒しなければならない。

外食の普及とリンクする肥満

 ちなみに、イリノイ大学の別の調査では、ファストフード、ファミリーレストラン、カフェテリア、高級レストランといった業態にかかわらず、外食は家食より1回あたり平均200kcal熱量が多くなることが判明している。

「たかが200kcal」かもしれない。しかしこれが1週間に数回となると合計でかなりの熱量になる。頻繁に繰り返すと、1年後には体重が数kg増ということにもなりかねない。

 日本では欧米に比べると極端な肥満は少ないが、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、男性の場合ほとんどの世代で10年前、20年前から肥満者の割合が増えている。特に40代〜60代男性の肥満者は3人に1人、女性も60歳以上では4人に1人が肥満だ。

 それとリンクするように、日本人の外食や加工食品(総菜、弁当などの中食含む)にかける費用は年々増加している。平成2年は、食費に占める生鮮食品の割合が24.3%なのに対し、「外食+加工食品」は75.7%。ところが、15年後(平成17年)には「外食+加工食品」が81.7%、生鮮食品は18.4%と変化した。

 20~30年前とは比べものにならないほど、外食は身近でリーズナブルなものになった。その結果、肥満の増加があり、「食の低価格化」には「低栄養価」が潜んでいる。生鮮食品を用いて手作りする家庭料理のほうが、結局は栄養的価値が高く、経済的だと指摘する専門家もいる。

 便利になったがゆえに、「食」に費やす労力が減ってしまった時代だからこそ、手料理を楽しむことをより意識すべきなのかもしれない。
(文=編集部)