【相続税】大切な人に“遺産”をすべて残せない場合も!? 知っておきたい仕組み&トラブル予防法

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家族のために遺したい遺産。しかし、そのシステムは単純に見えて、じつは複雑だったりします。いざという時に困らないために、子どもがいない夫婦などに起こりがちな相続問題を、終活研究会の会員で行政書士の吉井朋子さん(Green Garden行政書士事務所代表)に聞きました。

財産が少ない家庭ほどモメる!? 「相続税トラブル」注意点&解決法

当然、家族に遺したい遺産。法定相続分で定められているのは、配偶者に半分(1/2)、残りの半分を子どもたちが分けます(1人なら1/2、2人なら1/4、3人なら1/6)。しかし、子どものいない夫婦の場合、事情が変わってきます。

1.子どもがいない夫婦。夫が亡くなっても、妻に遺産全部は遺せない?

夫婦二人だけの家族の場合、当然、配偶者にすべての遺産が遺せると考えている方は多いのではないでしょうか? じつは、それは大きな間違いです。

配偶者の両親、もしくは父母どちらかが存命の場合、配偶者は2/3の遺産しか受け取れません。もし配偶者の父母が亡くなっていた場合でも、配偶者に兄弟姉妹がいる場合、配偶者は3/4、残り1/4を兄弟姉妹が分けることになります。もし、配偶者の兄弟姉妹が亡くなっていた場合でも、権利はその子どもに移りますから、配偶者の取り分は変わりません。

これは、生前、疎遠だったとしても関係ありません。例えば、財産が家しかなかった場合、最悪マイホームを手放さなければならないかもしれないのです。

2.配偶者が再婚の場合の注意点

夫や妻にかつての配偶者との間に子どもがいた場合、それぞれ養育権がなかったとしても、その子どもに相続権があります。その場合でも、配偶者が1/2、子どもが1/2と、法定相続分に変化はありません。

例えば、前妻との間の子どもと現在の妻(存命中)の間にそれぞれ1人ずつ子どもがいる場合は、彼らが1/4ずつ相続することとなります。

一方、どんなに愛情を注いでいたとしても、配偶者の連れ子には遺産が遺せません。おかしいと思われるかもしれませんが、血縁関係は何にも勝ります。

3.叔父・叔母がいる場合、ややこしくなることも!

あなたの叔父・叔母のなかに、独身、あるいは結婚していても子どもがいない方はいますか? そんな叔父・叔母がいて、かつその両親(あなたから見れば祖父・祖母)が死亡している場合は、叔父・叔母の兄弟姉妹(あなたの親、叔父叔母)に相続権が発生します。しかもあなたの親が亡くなっていた場合、あなたに相続権が移ります。

こういうケースでは、権利が回ってきた甥姪世代は、叔父・叔母もしくは従兄妹と、相続について話し合わなければなりません。年代、生活状況がまったく異なる疎遠な親族との思わぬ騒動に巻き込まれると、連絡に時間や手間を要する恐れもありますので、注意したいものです。

一方、近年は、おひとり様シニア層が増えてきたため、叔父・叔母などでも、そのような境遇の方がいるかも知れません。そういったシニア層が、認知症などを患った時のための制度があります。成年後見制度というものです。あなたの周りにおひとり様の伯父・叔母がいる場合、後見人になる方もいるかと思います。

4.相続で揉めないためにできること

法定相続人制度では、個人の思いとは裏腹な相続がされることも多いのが実情。しかし、お世話になった人に遺産を遺したいと思うのが人情ですよね? 

そこで、効力を発揮するのが「遺言」です。遺言を記しておけば、法定相続人でない人に、遺産を遺すことができます。特定の親族のみ、配偶者の連れ子などにも、財産を遺すことが可能になるのです。おもな遺言の方法には、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。

「自筆証書遺言」とは、文字通り本人が記すもので、いつでもかけるので手軽です。しかし、隠匿・改ざん・偽造されるリスクがつきまとい、その真偽をめぐって相続争いが起きる可能性があります。また、検認手続きが必要で、最悪の場合、様式不備により遺言が無効になってしまう危険性も孕んでいます。

一方、「公正証書遺言」は、隠匿・改ざん・偽造されるリスクがなく、検認手続きも不要です。しかし、資産に応じた費用が必要で、証人2人が必要になります。