消防庁によると、7月中旬の1週間(13〜19日)に、全国で6165人が熱中症の症状で救急搬送され、うち14人が搬送中に死亡した。前年度に比べ搬送者は2倍以上に膨れ上がり、その傾向は今後、さらに増えると予測されている。
 「一般的に熱中症というと高齢者が倒れるイメージが強いのですが、野外で働く人やスポーツ観戦のスタンドで倒れ搬送される場合も非常に多く、若い人でも十分な注意が必要です」(専門医)

 熱中症は、軽症から重症まで3段階(I〜III度)に分けられる。
 I度は「めまい、立ちくらみ、筋肉痛、汗が止まらない」などがある。II度は「頭痛、吐き気、体がだるい、虚脱感」の症状が出る。III度になると、「意識がない、痙れんを起こす、体温が高く、呼びかけにも返事がおかしい。真っ直ぐに歩けない。走れない」など症状が重症化する。
 「例えば、倒れた人を目の当たりした場合、救急車が到着するまでにすべきことは、屋外なら木陰など涼しい場所へ避難させること、屋内ならクーラーの効いた部屋へ移すこと。その際、意識がなければ、胃の中のものを吐いた時に喉が詰まらないよう横向きに寝かせる。こうしたちょっとした知識を持つだけで、大切な命を救うことができることもあります。もちろん、他にも対処の仕方や熱中症にならない防止策があります。自分のためにも家族のためにも、しっかりと学習をしておきましょう」
 こう語るのは、昭和大学病院救命救急センターの担当医だ。

 熱中症には起こりやすい条件がある。前日に比べ急激に気温が上がった時や、アスファルトなどで舗装された場所に長時間いる時、残業続きや寝不足で体の疲労度が強い時などが危険。
 また、昔は熱中症のことを「日射病」と呼んでいた事もあり、夏の直射日光に当たると熱中症になると思っている人が多いが、実は熱中症の原因は気温に加え湿度が高いことにある。
 「気温が30℃、湿度が70%を超えると起こしやすくなります。人間は発汗によって体温調節をしていますが、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、結果、体温が体内にこもってしまうからなのです。そのため、熱中症は屋外だけでなく室内でも多発する。特に温度と湿度が高くなるキッチンや浴室で熱中症になることが多いようで、猛暑だった昨年も熱中症による死亡者の45%が自宅でかかっています」(同)

 熱中症の症状は、進行度合いによって違ってくる。最初は過度の発汗によって水分・塩分代謝の失調が起きるので、前述したような頭痛やめまい、吐き気などの症状が現れ、次いで循環機能の失調が起きることで全身倦怠感、脱力感、血圧低下、意識喪失といった症状が出るようになる。