朝ドラ「まれ」(NHK 月〜土 朝8時〜)8月13日(木)放送。第20週「男たちのウイークエンド」第118話より。脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出:西村武五郎


118話は、こんな話


村に仕掛けられた数々の悪戯はたわいないものではあったが、執念を感じると一徹(葉山奨之)は警戒する。標的は徹なのではないかと。やがて、何通もの「報いを受けてください」というメールが届き、徹は慄然とする。

今日の、西村演出


徹に脅迫メールやファックスが来くるというどシリアスなエピソードを、しとしと雨とゴロゴロ雷のホラー調で見せる西村武五郎演出。
冒頭の悪戯3つを「事件簿」としてまとめたり、おそらく地元の方々に出演してもらっていたり、見知らぬお年寄りのアップからオープニングに入るところなど快調です。良きにつけ悪しきにつけ、すっかり西村演出に注目するようになってしまいました。

今日は、しんみり


慎一郎(ガッツ石松)が洋一郎の見合い相手の母親(藤あや子)とお見合いをしたところ、希(土屋太鳳)のつくってきたケーキ・ウイークエンド(週末に家族で食べるケーキ)を見て亡くなった妻のことを思い出してしまいます。
何もしなかったけどとしあわせだったと、「ずっとこういう暮らしが続くと思っとてんけどなあ・・・」としんみり。
それを見て希は、「ふたりの時間やまんでしあわせやってんね」と、自分と圭太(山崎賢人)のしあわせについて考えます。
希がいなくなったら、圭太は再婚しないと言うものの、「ぜってえにする」と希は笑いながら、
「いつ何やどうなるか先のことはわからんげんね」

「この人生の設計図ちゃもっとシンプルでいいのかもしれん 大事なことだけ ほんだけでいいがかも」と思います。
死んでもそばにいて見守ってる、という気持ちが、笑いにしながらさりげなく描かれていたのは良かったです。慎一郎も再婚を思い切れなかったし。

お盆に入った13日に、亡くなった人を思う話が描かれるのは、人生の設計図ならぬ脚本の設計図がしっかり書かれているのでしょう。
希の設計図のように切り貼りみたいにして修正追加しながら、「まれ」の脚本設計しているのかな〜なんて、そのご苦労を想像してしまいました。
「いつ何やどうなるか先のことはわからんげんね」と希が言うように、「まれ」は決して場当たり的ではなく、「いつ何やどうなるか先のことはわからん」という展開に意識的にしているのだというアンサーなのかなとも。

人生における大事なこととは何か。
「まれ」では“仕事”ではなくて“家族”なんですよね。
ふたりで一緒に過ごすかけがえのない時間が、ある日突然なくなってしまうこともあるからこそ、毎日を大事に過ごそうと思わせた118話ですが、その余韻が引かないうちに、禍々しい徹の脅迫事件をもってきてさざ波を立てるところが、なんとも気ぜわしい。

そこで、つっこ「まれ」


大事な家族まで不幸になってもらう、とメールに書かれているため、徹は家族を思って恐怖するのですが、この気ぜわしい展開を見ていると、とにかく機械的に物語をすすめているように感じてしまうんです。書かなきゃいけないテーマを書くために周辺を固めていく、作り手の意図(設計図)が見えすぎてしまう。当然、作りものですから書き手の意図が入っているに決まっているとはいえ、それを感じさせないほどドラマにのめり込みたいと思うのは贅沢でしょうか。今日はしんみり余韻に浸っていたかった・・・
(木俣冬)

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いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))