藤原令子

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現在放送中のドラマ『デスノート』で主人公・夜神月の妹・粧裕役を好演し、注目を集める若手女優、藤原令子。CM、ドラマ、映画と数多くの作品に出演し、女優としての礎を築いてきた彼女が初めてのコメディに挑戦したのが、人気バラエティ番組を映画化した『内村さまぁ〜ず THE MOVIE エンジェル』(9月11日公開)だ。番組レギュラーの内村光良、三村マサカズ、大竹一樹に加え、総勢56人ものお笑いタレントが出演する本作で藤原はヒロイン・夕子役を演じている。
「オーディションの話を頂く前から『内村さまぁ〜ず』の番組自体のファンだったので、受かったって聞いた時はすごく嬉しかったです」と出演が決まった時の心境を振り返る藤原。劇中では泥酔した夕子が三村演じる主人公のマサルや内村演じる次郎らを相手にくだを巻くシーンがあるが、実際に夕子役のオーディションでも酔っ払った演技の審査があったそうで、オーディション当日のエピソードをはにかみながら教えてくれた。
「前日に広島で映画の打ち上げがあって、帰ってきてそのまま行ったんですけど、初めての打ち上げで少し飲んでしまって、少し二日酔いだったんです。今までも二日酔いにはなったことがなかったので、逆にもしかしたらいけるかもって思ってました(笑)」とピンチをチャンスに変えた。そして勝ち獲った夕子役で、とても20歳とは思えない見事な酔っ払いぶりを披露している。

最初は「女優にこだわっていなかった」芸能界入りした意外な理由

百戦錬磨の芸人たちが演じるコメディの現場は、やはりかなり自由度の高いものだったようで、「一応“こういう流れ”という台本はあるんですけど、それがちゃんと反映されたことは少なくて、セリフもどんどん(アドリブで)入ってくる」という、これまでに経験してきた現場とはまったくタイプの違うものだった。
当然不安もあったが、内村やさまぁ〜ずの2人から「そのまんまでやれば大丈夫。普通のこと言ったら『普通のこと言ってんな』って突っ込むし」と言われ、身を委ねた。「突然振られることもあるんですけど、そういう時はドキドキしながら、なんとか対応していました」とアドリブ満載の撮影を振り返る。

映画は「演じることで依頼人の悩みを解決する劇団兼探偵事務所」が舞台。藤原演じる女優志望の夕子は、女優になりたい一心で生き急いでしまう。
女優志望という点で過去の自分と重なる部分はあったのかと尋ねると、意外な答えが返ってきた。「最初は“チヤホヤされたい”っていう理由で事務所に入ったので、私はあそこまで女優にはこだわっていなかったですね」と、飾ることなくあっけらかんと打ち明ける。しかし、初めから仕事に恵まれたわけではない。「入るのはすんなり入れちゃったんですけど、入ってからが大変で、当時はそんなに向上心もなかったので、オーディションも全然受からなかった。何回も『落ちた』と聞いては落ち込んでました」と劇中の夕子にも通じる我慢の時期があったことを伺わせる。そんな苦難の時代を経て、今では女優業に全力投球。「今なら『何が何でもやりたい』っていう気持ちも、わかるといえばわかる」と夕子の貪欲さにも理解を示す。

そんな夕子は物語の途中、内村光良演じる次郎に、成功を急ぐよりも今を楽しみながら演じることの大切さを諭される。その言葉は初のコメディ、そして初めてのヒロイン役に気を張っていた藤原の胸にも「すんなり入ってきた」という。「その後のシーンでの表情をカメラマンさんに褒めていただいて、たぶん私自身の気が張ってたのもとれたんだなって思いました」と演技を楽しむ余裕が生まれたようだ。

もうすぐ21歳。同期・有村架純の活躍に「私も負けてられない」

本作のほかにも、前述のドラマ『デスノート』に加え、秋には初主演映画『シネマの天使』の公開が控えている藤原。“注目の若手女優”としてその名前がメディアに登場する機会も増え、今まさに女優としての階段を駆け上っている。「同じ事務所の(有村)架純ちゃんが『時間が足りない、時間が足りない』って言うのを聞いてて、『時間いっぱいあるのにな?』って思ってたんです。今になって『全然足りないってこういうことなんだ』って、わかるようになりましたね」と笑う。
その有村架純とは、ほぼ同じタイミングで事務所に加入した旧知の仲。現在、飛ぶ鳥を落とす勢いの有村の活躍に「もちろん悔しい気持ちもあるけれど、それ相応の努力をしてたのを知っている。私も負けてられないなって思う」と、同期の活躍を刺激とし、自身もさらなる飛躍を誓う。

8月16日には21歳の誕生日を迎える。「私も夕子と一緒で周りが見えなくなっちゃう時があるので、21歳らしい落ち着きを持って、楽しみながらお仕事ができたら」と抱負を述べ、今後は「いろんな役をやってみたい」と意欲的。「今まであまり年上の役をやったことがないので、そういうのも研究しながらやりたいですね」。そう語る藤原令子は、かつて「チヤホヤされたくてこの業界に入った」とは思えない、真摯に芝居と向き合う女優の顔だった。