朝ドラ「まれ」(NHK 月〜土 朝8時〜)8月12日(水)放送。第20週「男たちのウイークエンド」第117話より。脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出:西村武五郎


117話は、こんな話


倒産した徹(大泉洋)の会社の元社員たちが能登にやって来た。徹に恨みをもってやって来たのではと藍子(常盤貴子)は心配するが、徹がお誘いしたのだと言う。ホッとしたのもつかの間、突如、奇妙な悪戯が村に起り始め・・・。

今日の、つっこ「まれ」


徹の元会社の部下役は、お笑いコンビ・しずるとパンクブーブーの4人。
元部下たちを能登にお誘いした旅費はどこから出てるのか。本人たちの自腹なのか。罪滅ぼしでお誘いしたなら自腹じゃないよね。でも徹にそんなお金あるのかな・・・。まさか、まいもん食堂(安そう)でのおもてなしだけで済ませているの? 徹、そりゃあかんて・・・。

この4人、思わせぶりな演出がいくつもあるため、奇妙な悪戯の犯人であろうことは誰でもわかりますが、この悪戯があまりにも子供騙し。朝ドラだと悪意もこのレベルでないと放送できないってことなのでしょうか。
それにしても、神社の狛犬を派手に着飾らせるとか、いけないことではありますけれど、ほのぼのし過ぎでは・・・

しあわせのかたちとウイークエンド


一子(清水富美加)が「しあわせのかたち」の取材をはじめたことに端を発し、20週は、「しあわせ」がことあるごとに強調されます。
「お互い、家族のしあわせや、一番」(文/田中裕子)、「結婚ちゃいいね なんかすごいしあわせやね なんも特別なことしとらんがに」(希/土屋太鳳)、「離れてた3年間で気がついたことがある・・・」(徹)などの名台詞集をはじめ、徹と藍子、希と圭太夫婦のひとときの仲睦まじい様子や、洋一郎(高畑裕太)がお見合い相手に振られたものの、相手の母親(藤あや子)が慎一郎(ガッツ石松)に興味をもって再婚の機運が訪れるエピソードなど、しあわせのかたちとは何なのか、と問いかけるような場面が続々と描かれます。

危機に陥っても何度でも結婚しようとする徹と藍子の姿を見ていたら、大泉洋の出演していた映画『しあわせのパン』(12年、三島有紀子監督)の主題歌だった矢野顕子の「ひとつだけ」を思い出しました。
この映画は、東京から北海道に移住してベーカリーカフェを営む夫婦(原田知世、大泉洋)のハートウォームなお話で、堅調に人気のあるおしゃれナチュラル生活映画のひとつです。
主題歌「ひとつだけ」は79年に生まれてからずっと長く愛されている有名な歌。たくさんあるほしいもののなかからただひとつだけほしいものを見つけたという内容で、2番の歌詞もよくて、いちばんたのしいことは好きなひとの口から夢を聞くことというものです。これを聴くと、「まれ」のいやにまったりした世界も理解できる気がしてくるのです。きっと藍子も同じ気持ちなのではないでしょうか。徹と藍子のふたりの脳内には、この曲がかかっていそうと妄想します。矢野顕子ソロバージョンのほかに、忌野清志郎と矢野顕子のデュエットバージョンが存在し、ふたりでこの歌を歌うことでキュン度が増幅しますので、藍子と徹はこっちを脳内再生しているに違いありません。
あくまで妄想ですが、そんなこ
とを考えると、終戦の日のある今週、震災も戦争も描かない「まれ」が、お金も出世もほんとになにもないけれど、愛と平和だけはある人たちの「しあわせ」を、粛々と言っていいほど黙々と描き続けていることは、じつのところとても大切なことに挑んでいるような気もしてくるのです。
「ティラミス わたしを幸せにして、と訳されることもある」(希)というセリフから、なぜ今週のサブタイトルを「しあわせのティラミス」にしなかったのか、と疑問を覚えましたが、ウイークエンドは辻口博啓シェフもつくっている「週末に大切な人と一緒に食べるケーキ」だそうで。http://recipe.cotta.jp/blogger/special_detail.php?recipe_id=1167

今週末土曜日・15日は終戦の日。そこに「ウイークエンド」という示唆的な意味にもとれるケーキをサブタイトルにもってくることができたという奇跡的なシンクロ。とすると、ドラマの神様は「まれ」に微笑んでいる気がします。
いろいろすったもんだはありそうですが、大切な人と週末一緒に過ごせるしあわせを感じながら、祈りながら、このドラマを見ることができますように。
もうあんまり無理してズッコケ的な笑い入れなくていいんで。
(木俣冬)

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いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))